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市場のゆがみを是正するヘッジファンド

資産運用会社の中には、高いリスクをとって機動的に運用する「ヘッジファンド」と呼ばれる機関投資家が存在します。

ヘッジファンドはほかの資産運用会社と比べて売買の間隔が短く、株式や債券を短期間で売買する傾向があります。30年かけて運用する年金基金などと比べると、ヘッジファンドは極めて簡単に投資先を変更することができるといえます。

ヘッジファンドの顧客とリスク

株式や債券を長期保有する狭義の資産運用会社には個人投資家や年金基金もお金を預けていますが、ヘッジファンドの顧客は原則としてプロの投資家です。

同業であるプロの投資家を顧客として資産を運用するファンドということになります。

狭義の資産運用会社は、投資のリスクなどを十分に把握できていない可能性のある個人投資家も対象としているため、過度なリスクをとった運用を行わないように法律で規制を受けています。

金融に関する知識の乏しい個人投資家に対しては、リスクについて説明したからと言ってリスクについて理解してもらえるとはかぎりません。そういった投資家が、本来許容できる以上のリスクをとってしまわないように規制があります。

一方、投資のリスクを十分に把握しているプロの投資家を相手にするヘッジファンドにはそのような規制は課されていません。このため、狭義の資産運用会社と比べて、ヘッジファンドはハイリスク・ハイリターンな投資を行うことができるのです。

ヘッジファンドはなぜハイリスクなのか

空売り
借りた株式の売買をすることを「信用売買」といい、信用売のことを俗に「空売り」と呼びます。
また、株式の売りを「ショート」、買いを「ロング」と言い、空売りしている状態のことを「ショートポジション」、株式を購入して保有している状態のことを「ロングポジション」と言います。

株式会社は有限責任です。有限責任での投資は最悪のケースでも株価がゼロになるだけであるため、事業に失敗しても破産することはないということを含意していました。
株式投資においても同じで、通常の売買では最悪のケースでも株価分の損失しか発生しません。

しかし、空売りしたときに100円だった株価が、返却時に300円まで上昇していたらどうでしょうか。このときの損失は1株あたり200円になりますが、これは空売りした当初の株価である100円よりも大きな損失になっています。

株価には上限がありませんから、空売りによる損失にも上限がないことになるのです。これが空売りがハイリスクである所以です。

「空売り」とは
銀行が現金の貸し出しを行っているのはご存知だと思いますが、証券会社は株式を貸し出しています。
株式の返却の満期は半年です。ただし、満期前であればいつ返済しても構いません。株式の貸し出しは、現金の貸し出しと比べると満期が短いものの、利子を支払えば借りることができるという点では借金によく似ています。

返済は現金ではなく株式で行い、借りたものと同じ会社の株式を借りた株式数だけ返却します。

株式を借りてすぐに売却し、半年後に買いなおしてから返却する場合を考えてみましょう。

・借りた時点での株価が100円で返す時点での株価が110円だったとすると、売却時に得たお金が100円で返却時に購入した代金が110円ですから10円の損失となります。

・一方で、借りた時点での株価が100円で返す時点での株価が90円だったとすると、100円で売却したものをあとから90円で買いなおしたことになるので10円の利益になります。

これが、空売りによる「株価が下がると儲かる」という仕組みです。

レバレッジ
ヘッジファンドはレバレッジ取引を行うことが多いです。
レバレッジ取引とは、実際に口座にあるお金を担保に口座の金額以上の取引を行うというものであり、少ない元本でより大きなリターンを得ることができるため「てこの原理」に例えられます。

「レバレッジ取引」とは
レバレッジ取引では、例えば実際に担保価値10億円を口座に保有している&レバレッジ3倍であれば、30億円の金融商品を購入することが可能です。
・これが33億円に値上がりすれば、投資リターンは30%(= (33-30)/10)となり、レバレッジをかけずに行った場合の10%(=(11-10)/10)よりも良いパフォーマンスとなります。

・逆に27億円に値下がりしてしまった場合は、投資リターンは-30%(=(27-30)/10)となり、レバレッジをかけずに行った場合の-10%(=(9-10)/10)よりも悪いパフォーマンスとなります。

これが、ヘッジファンドがハイリスク・ハイリターンと言われる所以です。

ヘッジファンドによるゆがみの是正

ヘッジファンドは、空売りを利用した運用を行うことで、株式市場が上昇傾向にあっても下落傾向にあっても資産を増やすことができます。

資産運用会社は空売りの規制を受けているため、上昇相場でしか資産を増やせません。

このような運用方針は一見するとただのギャンブルのように見えるかもしれません。

しかしながら、市場で過小評価されている会社の株式を機動的に購入し、過大評価されている会社を積極的に空売りするヘッジファンドが存在しなければ、会社が正当に評価されていない状況が放任されてしまうかもしれないのです。

会社が市場から正当に評価されない状態では、魅力的な事業をもつ会社に十分な資金が供給されなくなるだけでなく、魅力的な事業でなくても資金調達を行えてしまいます。そのような状況が続けば、事業を成功させるために尽力するという企業努力のモチベーションが損なわれてしまう可能性もあります。

<出典>
外資就活ドットコム

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