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戦国マニアだけじゃない!歴史・地理の楽しみ方〜探検家・リサーチャー(なりきりラボ#13)〜

小学生向け、アウトプット型・探究学習プログラム「なりきりラボ」「おしごと算数」(2019年度グッドデザイン賞受賞)。子どもたちの探究心や創造性を刺激する、数十の職業が詰め込まれています。マガジン「なりきりラボ・おしごと算数の世界」では、その一つひとつのタイトルの魅力をご紹介します。今回は、探検家・リサーチャー(なりきりラボ)です。


<プログラム開発者、いわたく&ほっしーに聞きました!>

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いわたく(岩田拓真):
株式会社a.school(エイスクール)代表取締役校長。京都大学総合人間学部卒、東京大学大学院工学系研究科修了(専門分野は、脳科学とイノベーション)。大学院在学中に、ひとり親家庭に対して動機づけ教育を行うNPO法人Motivation Makerを仲間とともに創業し、理事に就任。Boston Consulting Groupにて経営コンサルタントとして勤務した後、a.schoolを創業。探究学習の塾「a.school」を運営するとともに、様々な創造的な教育コンテンツの開発に携わる。自分自身も新しいことを学ぶのが大好き。一児の父。

ほっしー(星功基):
学び表現作家/a.school研究開発者。慶應義塾大学環境情報学部卒業。佐藤雅彦研究室にて「ピタゴラスイッチ」(NHK Eテレ)や「日常にひそむ数理曲線」(ベネッセコーポレーションとの共同研究)などのプロジェクトに携わる。ベネッセコーポレーション進研ゼミ中学講座にて、12年間、理科や数学の教材編集、デジタル推進を担当。「学びは自分たちでつくる:Cスタ」など、学びと表現の間を探る活動・作品づくりを行う。「文字とことばのデザインユニット・二歩」として2019年11月にはじめての絵本を刊行予定。


ー 「探検家」って、なんだか思わずドキドキ・ワクワクしちゃう仕事ですね。

ほっしー:確かに、インディ・ジョーンズやマスターキートンをイメージしてしまうかも(笑)。あそこまでのアクション性はないけれどもインディと同じく、人文科学系・社会科学系の研究者の仕事にせまるプログラムです。

いわたく:なかでも歴史学・地理学にフォーカスしています。あるテーマについて、時間軸・空間軸の二つの切り口から探究するんですが、特に子どもたちが探検家として実体験を伴うリサーチを行うことを重視しています。文献調査で済ませがちな調べ学習だけでなく、インタビューやフィールドワークなど自ら主体的に行動することで謎を解き明かすことができるんだと、探究の幅を広げてみてほしいんです。

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ー なりきりラボには「研究者」というプログラムもありますよね。今回の「探検家・リサーチャー」とはどう違うのでしょう?

いわたく:研究者は主に自然科学系の研究を想定しているので、分野・対象が違いますね。例えばワインを研究しようとなったとき、ワインに含まれる物質の構造や身体に与える影響などを解き明かそうとするのが自然科学。一方で、ワインの歴史やその生産・消費の地理的分布、宗教や文化との関係性を学ぶの人文・社会科学です。

じゃあ自然科学と人文・社会科学の研究ってなにが違うの?というと、一番は実験できるかどうかなんですね。人文・社会科学の研究でも実験をすることはありますが、例えば過去に起こったことは再現できないし、実験室と違ってリアルな社会では、因子を完全にコントロールすることはできない

また、自然科学系の研究は基本的に数値で表すものがほとんどですが、人文・社会科学の研究は定性的な分析・評価も多い。そんな違いを体感してほしくて、理系の「研究者」・文系の「探検家・リサーチャー」とプログラムをわけました。

ー なるほど、たしかに「研究者」では子どもたちが様々な実験を考えやってみるワークがたくさん盛り込まれていましたね。今回はどんなプログラム内容なのでしょうか。

ほっしー:全8回の授業のうち、1コマ目は歴史、2コマ目は地理と学ぶのですが、ここで出てくるのがそれぞれ10の「見方」カード。歴史や地理にあんまり親しみがない子どもでも、まずはとっつきやすくなるための仕掛けです。

例えば歴史の見方。全ての物事には歴史がある、ということを知ってほしくて、例えば、人・モノ・テーマ・地域・国などの切り口からそれぞれの歴史を探ります。これはWhat=「何の」歴史か、に着目した見方ですね。

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一方で、How=「どのように」歴史を見るのか、という見方もあります。HowはWhy=なぜだろう、という問いに連動しているともいえますね。例えば、どうしてパスポートってこの大きさなんだろう、と考えるのは「原因・きっかけ」を探る問いとも言えるし、パスポートができたことで人々の暮らしや世界はどう変わったのかな、と考えるのは「結果・影響」を探る問いとも言える。What=「なに」が同じでも、How=「どのように」が違うと歴史の探り方も変わってくるのです。

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見方カードを使い慣れてくると、複数のカードの掛け算ができるようになってきて、さらに複雑な問いをたてられます。そのうえで、3コマ目でいよいよ、さまざまなフィールドワーク手法の紹介へと突入します!

ー ものごとの「見かた」や調査手法を鍛えた先のアウトプット・プロジェクトは、どんなものが待ち受けているのでしょうか。

ほっしー:オリジナル地歴学会でポスター発表を行う、というのが今回のゴールです。研究テーマの制約は2つ。自分ごととして捉えられる身近なテーマであること、インタビューやフィールドワークなどの手法を生かせること。例えば、教室の外(本郷)を探索して発見した不思議を調べよう、家族のルーツを深堀りしよう、というように。

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ー 「自分ごと」にこだわったのはなぜなんでしょうか。

いわたく:社会科の科目って、例えば戦国マニアや城マニアなどの歴史好きや、てっちゃんと言われる電車・路線図オタクなど、局所的にハマる子は確かにいるんです。でもそれ以外の大多数の子ども達は、なかなか関心を持ちにくい。でも見方を変えれば、もっと関わりしろがあるんだよと伝えたくて。 自分が好きなものの「歴史」や自分にとって身近な場所の「地理」には誰もが関心を持てるのではないでしょうか。

あと、歴史や地理は暗記科目と思われがち。暗記ではなく、ものの見方・考え方をゲットしたあとに、それを活用・応用して探究するのが人文・社会科学の醍醐味だと知ってほしいんです。

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ほっしー:NHKの番組で例えると、大河ドラマではなく、ファミリーヒストリーやブラタモリのイメージですね。身近なところから出発することで自然と、もう少し遠い過去や、海を越えた世界に目を向けられるようになるといいですよね。

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グッドデザイン賞受賞の小学生むけ・アウトプット型探究学習プログラム「なりきりラボ」「おしごと算数」は、東京は本郷・池上の直営校のほか、全国のパートナー校で受講できます!(2020年4月からは、オンライン受講も可能に!)くわしくはエイスクールのホームページをご覧ください。

※エイスクールではCOVID-19感染予防対策のため、2020年4月より全ての授業をオンライン開講しております。2020年4-5月のテーマとして開講している「探検家・リサーチャー」ですが、外に出かけたり人にインタビューをしたりするフィールドワークではなく、オンラインでも実施可能なアンケート調査へと一部内容を変更してお届けしています。




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