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裸隧道と裸掘隧道2

Asatteca

裸隧道を通り抜け、裸掘隧道へ向かう。
向かうと言っても、すぐそこだ。もうすでに目の前に見えている。
今私がいる空間というのは裸隧道と裸掘隧道に挟まれた、世にも珍しい裸祭りの会場である。

前方約30m、裸掘隧道発見。倒木が邪魔をしており車で通り抜けるのは難しい区間だが、徒歩の踏破性能ならバキバキと枝を折りながら進めるのである。

接近を試みる。
ん?なんか、おかしいね。違和感あるよね。もちろん倒木が道を塞いでるのは道としておかしいんだけど、これ自体は廃道では珍しくないと思う。私がもっともおかしいと感じたのは、これ。

高さ制限3.0m!
ついさっき通り抜けて来た裸隧道の高さ制限を思い出してほしい。

3.4mだったね!
これは、まるで罠じゃないか。3.4m制限の隧道をギリギリで抜けて来た背の高い車両は、突如として出現した3.0m制限の隧道に行手を阻まれ撤退を余儀なくされるのだ。高さ3m以上あるような大型車が転回するスペースなんてないから、裸隧道から坂の上まで延々とバックで引き返すことになるのだ。大変な作業である。3.4m制限なんてせずに最初から3.0m制限にしておけば、少なくとも隧道にバックで戻るような危険は犯さずに済んだのに。いやむしろ、史跡への道との分岐後はこの2本の隧道を通る以外に進む道がないのだから、もっと早く3.0m制限を告知してあげるべきだろう。
もちろん現在廃道状態で、自動車が進入することもない道だから、不都合が現実化することはない。
私はただこの不条理な標識に笑みを浮かべるのみである。

倒木を突破して撮影した裸掘隧道。こちらも扁額や銘板はない。目測では裸隧道との高さの差はわからない。上を見ると、かなり背の高い立派な岩を抜いているのだと分かる。岩のスケールではこの裸掘隧道に軍配だ。
隧道の向こうに見えるガードパイプは、現道の国道489号の歩道のものである。

道のど真ん中に落石ぃ!いつどこから落ちて来たのか特定はできないが、万が一このサイズの落石が直撃すれば命に関わる。やはり廃道は危険と隣り合わせだ。とはいえ、直撃する可能性自体は天文学的に低いだろうから、過剰に恐れることなく進む。

洞内に特別見るものがないのは裸隧道と変わらず。短いのであっという間に通り抜ける。唯一気になったのは右側の溝の位置だ。こんな所に溝を通す道路は見たことがない。

この溝と、側壁側の質感の違う路面。後年になって拡幅した形跡のようにも思える。残念ながら今のところ真相は不明である。

裸堀隧道を抜けると、藪が覆う廃道だ。しかしこの上り坂を15mばかり進めば、右手を走る国道489号と合流できる。

これは別の日に撮影した写真だ。国道489号現道から覗き込んだ裸掘隧道の坑口。
まさに、手が届きそうな距離感にある手頃な廃隧道である。

ところで、山口市徳地の魅力を紹介している、山口市徳地てんこもりマップというパンフレットがある。その一部を転載する。

このマップは山口県唯一の森林軌道である滑森林軌道の路線跡を示した資料として大変興味深いものであるが、今回の話との関係では、ここに注目。

昭和30年代のトラック輸送(大原洞門前)!!運材トラックと山で働く男たちの記念写真。これに映ってる隧道はこれだ。

この坑口の形、岩の形、完全に一致する!裸掘隧道がパンフレットの大原洞門である。大原洞門、これが正式名称なのか?
それにしてもこのパンフレットの写真の迫力よ。ほんとに通ってたんだな、この隧道を!
さらに、パンフレットの写真では、奥にもう一本の隧道が見えている。国道489号の現道を通すために消えてしまった隧道がここにあったのだ。

誰でも気軽に行けるお手頃な廃隧道であったが、こうして過去と繋がることで、一段と感慨深く、愛くるしい隧道に思えてくるのだった。

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