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手に手をとって

作品タイトル「hand in hand」は「手に手を取って」という意味を持ちます。手を繋ぐと、つなぎ方に応じてスクリーンに映し出された葉や花の色やスピードが様々に変化します。そして強く手を握り合うことで季節が変化し四季を順々に渡っていくことができます。

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最初のバージョンの制作は1999年。マルチメディアグランプリ東北で初めて大きな賞を頂き、フランスで行われたmilia2000で初めて海外での展示を経験した作品。そして2000年に大学を卒業し、自分の作家活動の起点になった作品でもあります。

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インターネットが急激に拡大し、インターネットがもたらす明るい未来がそこかしこで語られている頃でした。距離と時間を超えて人々が交流できる。世界はインターネットで繋がっている。とてもわくわくしていた一方で、身近な人との繋がりがより一層希薄になるのではといった不安が私の中にはありました。ならばそのネガティブな不安をポジティブに変換するような作品を作ろうと考え、制作したのがこのHand in Handでした。

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あれから20年経ちました。今、私たちは、直接関わり合うこと、触れあうことに慎重にならなければならない日々の中に身を置いています。そうしたことを考えると、この展覧会でも手をつなぐ作品というのは、出展を控えるべきだったかもしれません。それでも私はこの作品をどうしても展示したいと思いました。

今回の展示で、このHand in Handを会場の一番最後のスペースに設置しました。ふれあうことは、やはりとても大切なことで、今この状況を身近いる大切な人と共に、手に手を取って乗り越えていきたい。会場を出る前に、最後に互いの存在を確かめ合ってほしい。そういう思いをこの作品に込めました。


※写真は過去の展示風景です。
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あさのこうへい「あそぶミュージアム 旅する光の世界」
2020年09月01日(火)〜2020年10月18日(日)
http://www.earthplaza.jp/event/20200901asano/

作品付近に消毒液を設置しています。マスク着用、手指消毒に何卒ご協力の程、よろしくお願い致します。


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