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旅のご案内

今回、会場となった あーすぷらざ(神奈川県立地球市民かながわプラザ)は、「こどもの豊かな感性の育成」「地球市民意識の醸成」「国際活動の支援」を目的に神奈川県が1998年2月に設置した大型複合施設です。
現在あーすぷらざの運営は、指定管理者として公益社団法人青年海外協力協会(JOCA)が担当しています。JOCAは、あまり聞き覚えがない組織かと思いますが、JICA(独立行政法人国際協力機構)が派遣する青年海外協力隊の帰国隊員を中心に組織されている、内閣府認定の公益社団法人です。

あーすぷらざでは、定期的にあーすぷらざ主催の企画展を開催していまして、昨年のゴールデンウィーク前後に行われた企画展「「あそび」ジャングル 世界はこどもの遊び場だ!」にお声がかかり、出展させて頂いたことをきっかけに、今回、この会場であーすぷらざ主催の個展を開催させて頂くことになりました。

あーすぷらざホームページに「国際理解、国際平和、多文化共生、地球規模の課題等について、楽しく学び、豊かな感性を育む企画展を実施」とあるように、「国際理解、国際平和、多文化共生」といったことを展覧会のテーマの中に含めていきたいとのお話を頂き、私の持つ作品と様々な要件を考慮して、今回の「あそぶミュージアム 旅する光の世界」の企画を提案させて頂きました。

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前置きが長くなりましたが、ここからが「旅のご案内」です。広い館内をまずは3階企画展示室まで上がって頂きます。入口で事前予約の確認、検温、チケットの購入を済ませたら旅の始まりです。

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最初に皆様をお迎えするのは、フラップ式掲示板を模した作品「Transfer B」(作品紹介はこちら)。旅の始まりをイメージしてこの場所に設置しました。

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すぐ隣には、飛行機をモチーフにした『Lines 〜あの空の向こうはこの空〜』(作品紹介はこちら)。明け方の空から、昼の空、そして夜更けの空へと色を変化させた8枚のフレームが、次の世界へとつなぎます。

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こちらは日常の旅をテーマとしたエリア。散歩の中で出会う猫たちをモチーフにした「幸せはそこにある」(作品紹介はこちら)。街の明かりをモチーフにした「Lights」(作品紹介はこちら)。本の世界をモチーフにした「絵そらごと文庫」(作品紹介はこちら)

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日常のエリアから、非日常のエリアへ。その間にあるのは、リンゴが落ちるという物理現象をモチーフにした「Drop」(作品紹介はこちら)。木の枝が作る現実の影。フィルム状の葉を透過して床に現れる色とりどりの光。そしてプロジェクターによって投影されたリンゴの映像。実像と虚像の重なり合った空間を抜けて、非日常の世界へと移動します。

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青いカーペットの上を通過すると、あぶくがぶくぶくと立ち上がり、まるで水中世界を歩いているような気持ちになる『UTAKATA』(作品紹介はこちら)。歩き回るほどに、あぶくが次々と変化し、やがてスクリーン全体が大量のあぶくで覆われます。

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続いて、蓮の葉を模した円形のカーペットが複数配置された空間へ。蓮の葉の上で跳ねれば街が華やぎ、じっと座れば花が咲く『Lotus』(作品紹介はこちら)。騒々しい日常と、幻想的な非日常空間を行き来します。

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旅も終わりに近づいてきました。行き交う船に手を振ると、船の上からも手をふり返してくれる作品『Voyages』(作品紹介はこちら)。さようなら、いってらしゃい。一生懸命手をふれば、一生懸命手をふり返してくれます。

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そして旅の終わりに手と手を取り合って季節を渡る『Hand in Hand』(作品紹介はこちら)。身近な人と互いの存在を確かめ合い、支え合ってこの先も乗り越えていきたい。そういう思いです。

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最後はさようならではなく「また会いましょう」。皆さんと笑顔でまたお会いできることを心から願っています。

「国際理解、国際平和、多文化共生」難しい言葉にも聞こえますが、旅をして異文化に触れ、様々な人と交流することで、そうしたことは深まっていくように思います。と言っても私が思う旅とは必ずしも海外に出向くことばかりではありません。本の中を旅したり街を散歩したり、人と話をしたり。そうした日常の中でも、ほんの少し視点を変えるだけで、知っているようで知らない世界との繋がりに出会う旅が出来るように思います。

それでは皆さん、良い旅を。

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あさのこうへい「あそぶミュージアム 旅する光の世界」
2020年09月01日(火)〜2020年10月18日(日)
http://www.earthplaza.jp/event/20200901asano/

作品付近に消毒液を設置しています。マスク着用、手指消毒に何卒ご協力の程、よろしくお願い致します。

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筆者:浅野耕平 あさのこうへい
1974年、東京都生まれ。東京工芸大学大学院芸術学研究科メディアアート専攻修了。東京工芸大学 芸術学部 インタラクティブメディア学科 教授。第4回ソウル国際メディアアートビエンナーレ(韓国)、アルスエレクトロニカセンター常設展示2009-2010(オーストリア)、浜田市世界こども美術館(2013~)、神奈川県立地球市民かながわプラザ(2019)など、国内外での作品展示の他、東京工芸大学 インタラクティブアート研究室として様々な体験型の展覧会やワークショップの企画制作を行っている。

WEB: http://www.asanokohei.com/
twitter: https://twitter.com/asanokohei
Instagram: https://www.instagram.com/asanokohei_interact/?hl=ja

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