見出し画像

『グロースマーケティング(Growth Marketing)』 作者:株式会社DearOne

著者は、マーケティング事情におけるデジタルトランスフォーメーションに関して、日本はアメリカに大きく遅れを取っていると言う。
日本の場合、「デジタルマーケティングに取り組む」というと、GoogleやFacebookの広告のプランニングをどうする? という話に結びつき易く、即ち新規顧客獲得重視となってしまうが、これでは、「ユーザーの満足」、「継続的な会員化、ファン化の状態」の計測は出来ない。
アメリカでは新規顧客の獲得がゴールではなく、獲得した顧客をいかに継続的な関係へと導けるかを注視している。ここをモニタリング出来なければ、今後競争には勝ち残れない。
「顧客との関係性の構築」という視点が欠けているのが日本に於ける一番大きな課題で、根本的に残されているものなのだと言うのだ。

グロースハックという手法を聞いたことがあるかも知れない。これは、製品やサービスの成長を効率よく行なうためのテクニックや手法を指すが、これに対して、本書では新しい手法としてグロースマーケティングを提唱している。
グロースマーケティングとは?
本書では「企業・事業・製品・サービスの持続的成長にフォーカスしたマーケティング活動」と定義し、グロースハックの上位に位置する概念だとしている。
顧客理解、顧客満足、顧客体験、エンゲージメントというものを視野に入れたマーケティングをしていき、真の顧客満足の追求と、その実現が重要となってきていると言うことだ。

ユーザーの行動を理解しなければ、ニーズは把握出来ない。
例えば、アイスキャンディが、最近ではランニング愛好家や喉を使う仕事をしている人に、アイシング効果や水分補給のツールとして購入されてきていることが多くなっていることとか、食器乾燥機が、塗装後の乾燥を早めるアイテムとして模型愛好家の定番になっているのだとかいうことは、メーカーではプロダクトアウトした際には想定していなかったことに違いない。
企業側が経験と勘から想像するだけでは得られない、実際のユーザーのニーズを得る。データで真の顧客の行動を把握し、ビジネスに活かすデータドリブンと言うものが重要なのである。
そのためには、「Aさん」はWebではどう行動し、実店舗では何を行なったのか、という様な具合に、あらゆる場面での顧客体験をクロスチャンネルで一気通貫で押さえる必要がある。
そして、重要な資産であるデータを上下関係や部門で隔てることなく、データの民主化を行なうことが必要であると言う。これも日本ではなかなか難しそうなことである。

そして、グロースマーケティングには三つの軸がある。
これが本書に於けるもっとも重要なことである。
詳しくお知りになりたい方は是非ご一読を。


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?