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挑戦中ー「家のこと」を大切にするはたらき方ー

家中をピカピカに、洗濯物は何から何までピシーッと畳んでくれるお手伝いさんが定期的に来てくれて、
作り置きを完璧に考えられたメニューでほっぺたがとろけ落ちそうな1週間分のご飯を作ってくれる予約が取れない家政婦の人がいて・・・

そんな風に、家の色々なことをプロの人にアウトソース出来るようになったらどんなに素晴らしいのだろう・・・と私は長い間、夢見ていました。

ある時レシピと格闘しながら作ったガパオライスがしょっぱすぎて食べれない!と不思議に思ったらオイスターソースとウスターソースを間違えていたり。一生懸命洗ったはずのキャベツの料理を出したら茹で上がった芋虫が出てきたり。ちゃんと分類して洗濯したはずなのにお気に入りだった洋服がミニチュアダッグスフンドにぴったりなサイズまで縮んで出てきたことも。
掃除や料理、洗濯といった「家のこと」については、どうも何かうまくいかないなーと苦手意識を抱えてずるずると生きてきました。

家族からのため息にも、もはや慣れっこで、私は家のことは出来ません!と吹っ切れて生きていく覚悟を決めかけた人生三十うん年目にして、地方移住先で出会った人たちの影響で、私の世界がガラリと変わりました。
料理をはじめとして、日々の暮らしを、心から楽しんでいる素敵な人たちを目の前にして、今までは「苦手なのにやらなきゃいけないこと」として心が重かった家のことが、突然とてつもなくお洒落で、魅力的に見え始めました。

丁寧な暮らしとは対極にあるような生活をしていた私が、料理やお掃除を自分らしく楽しめるようになるなんて。誰よりも感動しているこの私自身が、「家のことを大切にするはたらき方 for Dummies」的に、私だからこそかける初心者目線でお伝えしたいと思います。


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はたらくのか、家のことをするのか


一人一人、色々な家庭で生まれ育ってきていて、日々の生活にちゃんと心を込めて向き合う日常が小さい頃から当たり前だった、という人もいるかもしれません。でも、私自身の幼少期は、カオスを絵に描いたようなてんやわんやな毎日を過ごしていて、「家」という存在は必要最低限のことを満たす場所以上ではなかったように記憶しています。

というのも、私の母はシングルマザーで、3人の子どもたちと共になんとか路頭に迷わないように・・・と、はたらくことで精一杯だだったので。
特に食事については、食べられるだけありがたい、という感じで食育のプロの人が聞いたら心を痛めてしまいそうな食生活でした。

母親は夜遅くまで英語教師としてはたらいていたため、時間にも気持ちにも余裕はなく、夕飯は安いお寿司のチェーン店のテイクアウト、マクドナルド、スーパーで安売りシールが貼られたお惣菜、サンドイッチのサブウェイ・・・と大体四つくらいのメニューをローテーションしていく毎日でした。

そんな幼少期を送った私は、人生で一人の人が平均的に食べるであろうお寿司の量の何人か分くらいを既に食べた気がしていて、大人になってからもお寿司への苦手意識が長らく続きました。美味しいお寿司を楽しめるようになるのになったのもつい最近のことです。
それでも、一生懸命子どもたちのためにも必死にはたらている母は最高にカッコ良いし、はたらくってそういうものなんだと幼心に強く刻まれていきました。


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カッコ良く「暮らす」人たちに出会って


決断力と行動力があり、はたらくことをお腹の底から楽しんでいる人が母親として身近にいたものの、残念ながら家のことに丁寧に取り組んでいるロールモデルには私は恵まれていませんでした。周りのせいにするのは良くないと思いつつ、結果として大人になってからの私は料理や掃除をどうやって楽しむかより、どうやったら楽できるかばかりを考えている毎日をずっと送っていました。過去の自分の亡霊の中で生き続けるというのでしょうか。
そんな中、地方移住をした先で日々の暮らしを自分らしく楽しんでいる人たちと突然出会いました。

人との出会いといっても、私がお客さんの一人としてちょっとドキドキしながらたまにお店にお邪魔しているにだけの憧れの方々です。中にはもう他界されていて、文字通り「雲の上」の存在の方なんかもいます。

中でも、私がこの方に出会えただけで移住して良かった!と思っている人が何人かいます。その一人は、森の中でひっそりとパン屋さんを営まれている方です。また、田舎暮らしの教科書なるものがあれば巻頭ページで特集されそうな、森の中にあるパン屋さん。お店の方は、客商売が専門ではなく、職人なんだなーと感じさせる、独特な空気感をお持ちの方ではありますが、それでも、彼女の作り出す「自分の世界」に魅せられる人が、森の中のカーナビ泣かせのお店に次から次へとやってきます。

パン屋のオーナーの方はかつて県外から引っ越してきた移住者の一人。お子様の教育を考えて移住をしたとのことですが、たまたま物件購入をすることになった森の中の一軒家は、大きな倉庫が使われずに全く放置されていて煮るなり焼くなり好きにしてください的な「おまけ」のような形でついてきたそうです。そんな物件売買の専門家の方には価値がないと判断された倉庫を、時間をかけてリノベーションしていき、パン屋に改装していきました。そして、その前にあるお庭は、何かのルールがあるのかないのかわかりませんが、一つ一つのお花がとてもワイルドに気持ちよさそうに咲き誇っていて、その場にいるだけで私も生命力のようなものをもらいます。

クリスマスの時期にはクリスマスツリーに手作りのジンジャーブレッドクッキーを飾っていて、25日に訪れたお客さんにあげていくということでした。コーヒーをパンと一緒に注文すると、やかんでお湯をシュッシュと沸かしてくれて丁寧にドリップしてくれます。

他にもちょっと益子町まで足を伸ばして陶芸家の故濱田庄司さんの「おうち」にもほぼ毎シーズン訪問しています。ちなみに我が家では恐れ多くもハマショー、と親しみと尊敬を込めて呼んでいます。

工房と自宅の一部が開放されているハマショー(さん)のおうちには、彼が陶器作りのインスピレーションにしたという、日本や世界各地でみつけた、名もなき人たちが日常の道具や飾りものとして作ったという、いわゆる「民藝(みんげい)」も展示されています。誰かが既に良いと太鼓判を押したものでなく、普通に暮らしていたら見逃してしまいそうなものに美しさを見出したハマショー(さん)のようなセンスを私も持てるようになれたらいいなーといつも訪問する度に思います。


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一歩一歩、一つ一つ・・・


住む場所を変えたら、たまたま出会うことになった、毎日の暮らしをそれぞれ独自の感性で生きている素敵な人たち。はたらいている限り暮らしは後回しで当然、と思っていた私は考えを改めて、はたらくも暮らすもどちらも大切にすることに挑戦してみようと決めました。
しかし、それはラジオ体操しかやったことがないのに、いきなりブレイクダンサーを目指すくらい、どこから手をつけていいのか分からないことでした。

そこで、私が取り組んだことは、自分の習慣の中にいくつかの新しいことを取り入れるということです。
「はじめは人が習慣を作り、それから習慣が人を作る。」と英国の詩人のジョン・ドライデンという方が言ったそうですが、一気に自分が憧れの人たちのように変化することは出来なくても、毎日のちょっとしたことの積み重ねで、いつかは理想の世界まで近付いて行けそうな気がしてきます。

そんなこんなで、自分のそれまでの一日の、そして1週間のスケジュールをちょっと変えてみました。具体的には、朝起きて子どもが保育園に行く前にはベッドメイキングを済ませて、寝室の掃除をルンバにお任せ。
平日の朝の仕事に取り掛かる前には、心を整えるため、なんて言うと大袈裟ですが、棚や窓を水拭きするルーティーンを入れました。また、オンラインでの朝のミーティングが終わり次第、寝室のルンバを今度はリビングに持ってきてポチッと押すのも日課の一つに。

週末については、床にある物をまずは片付けるまでは家を出ないと決めたり。土曜日か日曜日のどちらかは、道の駅に立ち寄ってお花を買うようにしています。

一旦、日常のスケジュールの中に組み込んでしまえば、あえて考えたり悩むことなく自然と出来るようになるので、仕事の忙しさや自分の気分に左右されることなく、家の中が整うようになりました。


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「ママはお花が大好きなんだー」と息子がお散歩の時に言いながらお花を摘んでいた、と保育園の先生が教えてくれました。いつの間にか息子からはお花好きのママとして記憶されているなんて、とほっこり嬉しくなりました。
また、金継ぎセットなるものを使って、私が不器用ながらも頑張って修復した我が家のクマのお皿なんかは、子どもたちが「金ぴかクマちゃんはオレの!」「わたしのクマしゃん!」と取り合いなる位で、私はその度に娘と息子のけんかの仲裁どこそこ、思わずニンマリしてしまいます。

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少しずつではありますが、自分たちなりの彩りが加えられて効率性だけではない生活になってきています。それは私にとってはとても新鮮で、家族にとってはいつの間にか多分それなりに楽しめる日常の一部になりつつあります。

こんな風に好きになりはじめた料理やお掃除を家政婦さんに任せるなんてもったいない!と思い始めました。
とはいえ、お掃除ロボットのルンバが動かなくなると、あーもう、お先真っ暗!とばかりに慌てふためいてしまったりする自分もいるので、まあ、まだまだ長い道のりの「本気の丁寧な暮らし」が来るその日に向けてー例えば、ほうきで心を込めてお掃除するいつかの未来とかーこの変化の過程も楽しめればいいかなーと思っている次第です。

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【Podcastの新エピソードを公開しました!(6月8日)】
本ブログ記事に関連する内容で、Podcastで新エピソード「『ほどほど』に、はたらくということー頑張ることだけが全てじゃないー」(17分)を配信しています!

頑張ったら、結果がついてくる。そんな思いは、実は裏返すと、頑張らないと結果がついてこない、という考え方になるのかと思います。最近は、意識して自分にとっての「ほどほど」ではたらくようにしています。

出産の翌日から病室ではたらいていたくらい、はたらけるだけはたらかなきゃ!という思いに囚われていた私が、どんな風に考え方を変えていったのかということをお話ししています。
もし良ければぜひお聞きください^^
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