見出し画像

結局なにも変えられなかったという話

昨日、建て替え予定の大樹町役場庁舎の住民説明会に行ってきた。

午後6時。生後1ヶ月の子どもを旦那に託して、会場へ行くのはやや勇気がいった。一番グズる時間帯。案の定、家に帰ると玄関を開けた途端に泣き声が聞こえてきた。

そうまでして、私が住民説明会に行ったのには理由があった。

1970年代に建てられた役場庁舎が耐震に問題があり、建て替えを余儀なくされている。建て替えること自体は賛成だが、その規模が、40年後には人口が半分になる町の規模とは思えない。1970年代に建てられた今の庁舎の16%しか面積が減ってない。総建築費は22億。資材費の高騰も踏まえると25億弱かかる可能性があるらしい。

住民の交流スペースなどはゼロ。全てのスペースが76名の職員の職務スペースと12名の議員のための議会スペースとなっている。

『こんな大きな庁舎がいるのか』

先日SNSに率直な意見をアップすると、大樹町内外の方からたくさんのコメントや反応をいただいた。

人口減少、少子高齢化が叫ばれる今の時代に、どうしてこの規模の庁舎建設に至ったのか、知りたかった。首長がどう考えているのか聞きたかった。

仕事終わりの参加を想定したであろうこの時間帯の説明会だったが、参加したのは10名程度。私ともう一人を除き、全員が60歳以上のように見えた。

議員さんは参加してるだろうと思っていたが、12名の議員のうち参加していたのはたった一人だったことには、正直驚いた。

説明が終わった後、参加者から寄せられた意見(といっても発言したのは4人)はどれも同じ。

★今の時代には大きすぎる建物では
★3階の議会スペースが大きすぎる
★会議室が多い

私が発言した内容も全文で掲載したいと思う。

率直な感想として、『立派すぎる』と感じました。大樹町は20年後には今の人口の3割が減り、40年後には半分になります。私は1ヶ月前に出産しましたが、この子は産まれた時から、40年後には半分は不要になる施設の借金を背負っているのかと思うと、いたたまれなくてこの場に来ました。

何人かのお母さんに聞いてみたところ、みんな口を揃えて、建物にかけるよりも子どもたちのサービスにお金をかけてほしいと言いました。小児科も耳鼻科もなく、子どもが風邪をひくと仕事を休んで帯広まで行かなければいけません。この先人口が減ると、今あるサービスも受けられなくなる可能性もあります。建物に使うお金を極力減らして、今後必要になるサービスのために、使っていただきたいです。

3階の議会スペースにある会議室は、どのくらい大きな会議が開かれているかわかりませんけれども、そんなにバッティングすることもないと思うと2階の会議室と統合できる気がします。そうすることでもっと減築できるのではないでしょうか。

これに対して町長の回答は

議会スペースは以前の庁舎よりは削っている。庁舎を建てることで必要なサービスが受けられなくなるということはない。今後も必要なものはしっかりと対応していく。

とのことだった。

ただ、その具体的な根拠は何もなく、学童保育所の建設も白紙状態のまま。数年前からいろんな会議で子育て世代から言われてきた『子どもを安心して遊ばせられる場所がない』という課題は、相変わらず解決されていない。

町長含め、役場の職員はまじめに仕事されていることは理解している。でも、財政破綻した夕張市だって、大きな政策を決めてきた過去、誰も財政破綻すると思って政策を決めていないだろうと思う。人口が減り税収が減れば、返済の負荷は高くなっていくばかりだ。

結果がでるのはおそらく数十年後。その頃には首長も職員も議員も総変わりしているだろう。いまこの瞬間の決定の責任は、誰も負わないはずだ。

申し訳ないが、私にはその回答は、なんの意味もなかった。

説明会全体としては、これまで検討してきた背景があるため、いま意見をもらっても大きく変えることはできない、という感じの役場側のスタンスがあった。述べられた意見は、要望というよりも想いを伝えるというレベルで留まってしまった形なのがとても残念だった。

帰宅後、子どもの寝顔を見て考えていた。

この子たちが大人になるころ、おそらく今よりも経済は縮小しているだろう。高齢化が進む社会を支えるため、払う年金や税金はますます増え、高齢になっても働けるように若い時から健康を維持するための投資も増えていくはず。

役場庁舎の借金返済に充てられるお金があれば、もっと有意義な資産運用や豊かな体験を得るために使って欲しいというのが、母としての切なる願いだ。

と同時に、この町で、この国で、生きていくことがバカバカしくなったら、どうか後ろめたく思わずに出て行ってほしいと思った。

もし将来に生きづらさを感じたとしたら、それは君たちの責任ではなく、いま生きている大人の責任なのだから。

とはいえそんな大人の一人である母も、昨日の夜に説明会で発言することが精一杯で、じゃあ見直しを要望する署名集めをするかとか、徹底的に戦うかと問われると、そんな勇気もない。

友達に聞いたら、広報誌に入っていた庁舎の設計書すら見ていないという。政治に対する私のまわりの人の反応は、所詮そんなものなのだ。

町の人の声を聞く、といっても実際は、とても重要なことが、ごく限られた人の間だけで検討され、全て根回しが済んだ状態で町民に知らされる。しかし、その状態を生んだのは、町長であり役場職員であり、議員であり、そんな議員を選んだ私たちであり、おかしいと思っても声をあげない私たちであり、そもそも政治に関心を持たない私たちだ。

誰かだけを責めることはできないと思った。いっそ敵がいれば楽なのに。

たぶん、一年後、昨夜のことはなにもなかったかのように、今の計画のまま役場庁舎の建設が始まるだろう。

あぁ、私は弱いなぁ



この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

64
北海道でコミュニケーションをデザインする仕事をしています。企業とお客様、学校と地域、生産者と消費者、異なる領域の溝を埋めるコミュニケーションをデザインすることで、ほしい未来をつくっています。本当に応援したい人と、一緒に未来を作りたい人と仕事しています。(株)キタテラス代表取締役

コメント2件

吐きそうなほどの共感。
変えるという選択は小さな町では茨の道で無責任に応援したいなどとは思いませんが、同じ危機感を持ち、本気で語れる仲間があと10人いれば・・・と思いました。背負い過ぎず、頑張って欲しい。
出れるならそこから出た方がいいかと思います。
似たようなことを感じたことがあって僕はそれで故郷をでました。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。