中にいても感じられる自然

朝6時

患者さんの部屋をまわりながら
カーテンをあけていくのが好きだ。

それは、今日という日が始まるのだよ!という合図であるとともに
陽の光を患者さんのもとに届けるためでもある。

陽の光がないとビタミンDを合成することができない。
それは、そのまま入院患者にとっては骨の丈夫さや血中カルシウム濃度の直結する。

まぶしいよ〜
まだ寝かせてちょうだい

なんて言われても、カーテンをしめることはない。

ここでお日様浴びておかないと1日のリズムが乱れますからね〜
これもリハビリの一環だと思って、ね?

と、なだめて部屋を去る。

去年から、これに加えて窓も開けるようになった。
そう、換気のためだ。

だいたい、方々から寒いよ〜と声がするけれど

換気のためだから仕方がないんです
保健所からそう言われてるの

と伝えるとみんな黙りこくる。
そして、布団を顔までひっぱりあげてちぢこまる。


たしかに、今は寒いけれど

春になるとどこからか花の香りがするし
夏は、独特のじとっとした空気が入り込んでくる。

秋には、金木犀の香りと葉っぱが落ちていく音がするし
冬は、湿度のない冷たい空気が容赦なく入ってくる。


換気で窓をあけることによって入ってくる
風や音、匂いは室内では再現できないものばかり。

病室のほの暗い空間に色がさしてくような気がする。

人工物の中に自然が溶け込んでいく。


これからも光と風のちからを借りながら
看護を提供し続けるぞと誓った早春のある朝。


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