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オリジナル童話『じゃんがら池のたからもの』2

じゃんがら池にすむカッパ。
ハチとの出逢いが、彼を変えた。

前回のお話はこちら

第2話


ぽちゃん。ぽちゃん。ざざぁ。ざあー。

その日、森に雨が降りました。

この天気じゃ、きっと
ハチさんも仕事は休みだろうな。

その次の日も、じゃんがら池は
雨がとぎれることはありませんでした。

今日もハチさんは来ないだろうな。

カッパは、
池の奥にあるらしい道のほうを見ては、
ハチのすがたを思い浮かべました。

明日もあさっても雨だったら、
ハチさんとは会えないままだ。

なんて切ないんだろう。

カッパは、ふと、池に浮かぶハスが
ぱらっぱらっと鳴っていることに
気がつきました。

しばらく見ていると、葉っぱの上に
すてきなものが現れたのでした。

そうだ!

カッパは、自分の顔よりも大きな葉っぱを
一枚手にとりました。

ぼくが、ハチさんのところに行こう。

カッパは、初めて池の外に出ることに
決めました。

雨は強い味方でした。

カッパは、池からはいあがり、
力強い一歩を踏み出しました。

息を整え、道沿いにある木を
ひとつ、ふたつと数えながら、
ゆっくり歩きます。

そして、
とうとう百本目の木にたどり着いたのです。

(続)

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