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【除草剤】使う人と使わない人で対立はあるのか

お米と言う農産物は基本的に除草剤を使って作ります。一般の人が食べているお米の99.9%は除草剤を使って栽培されてます。

そんなこと言っても、昔は除草剤なんてなかったじゃない。

そう言われるでしょう。その通りです。ですから、子どもまで動員して大勢で草取りをやりました。それでも雑草は残りますから、養分を取られ、お米の収量は今よりうんと少なかったのです。しかし、人間と言うのは「今の不便を便利にする」ことを商売にします。暑い中喜んで草取りをする農民なんているわけがない。そこで登場するのが除草剤。

そもそも、田んぼってそんなに雑草が生えるの?という疑問もあるでしょう。例えばその辺の空き地なんかでも放っておくとすぐに雑草が生え始めますよね。それと同じで、目には見えないけど、田んぼの中には水生植物の種が

ものすごい量埋蔵されている

のです。けれど、もちろん地中の深いところの種は発芽しません。表面から数センチの厚みのところにある種が芽を出すのです。しかし、種はびっしりとあるので、そのままにしておくと面白いくらい雑草が生えて来ます。うそじゃありません。本当です。

でも、雑草の生えている田んぼなんて見たことない。電車や車から見る田んぼはみんなきれいだよ。

そう言われるでしょう。そりゃそうです。だって

除草剤使ってるんですから

田んぼをやる人は除草剤なしに田んぼを作ることは不可能。というくらい除草剤に依存しています。

さて、新規で農業を始める人の中には無農薬、無肥料と言った自然栽培で始めたい。という人が少なくありません。先にも書いたように昔は除草剤と言った農薬を使っていませんでしたから、当然自分たちにもできると思うわけです。そして、やろうと思えばできます。多大な時間を草取りに充てるだけですから。でも長続きしません。草取りは対処療法です。ケガをしてから絆創膏を貼るようなものですね。ケガするの分かっているのに、毎年ケガしてから絆創膏を貼っているとしたら、それはアホです。仮にそういうアホな人がいるとしてもさすがに何年もやりません。

ケガをしないためにはどうすればいいのか。動線が悪いのか、道具が悪いのか、はたまたタイミングが悪いのか。原因を考えて工夫をしなくてはなりません。それをするのが自然栽培です。自然栽培とは知恵比べであり、因果関係を追及する科学です。

世間のイメージでは、自然栽培=自然優しい~癒される~。かも知れませんが、ハッキリ言って戦いです。どちらが先手を打つか。物言わぬ植物エネルギーとの対峙です。真剣にやりますから、こちらの感覚もだんだん研ぎ澄まされてきます。植物の声が聞けるようになってきます。お米は年に1度しか作りませんから、もちろんそこに到達するまで数年かかります。

私は農薬と肥料を使わない自然栽培でお米を作って5年です。そして地域では私以外全員、農薬も肥料も使って作っています。しかし、そういう栽培方法で米を作っている人が私の敵かと言うと全然そんなことはありません。向こうも別に私に敵対していません。私は小さな田んぼですが、彼らほどの大きさの田んぼでは農薬も肥料も使わなければ作れないことを知っています。大勢の人がお米作りをやめていく中、それでもかろうじてお米を作っているだけでもすごいことです。尊敬します。農薬使ってるとか使ってないとか。そんなことちっちぇーよ!って思うわけです。

そして、農薬を使っている人も「Yukiちゃん今年は上手いこと作ったなー」とか、「肥(こえ)入れてないから台風来ても倒れやんなー、ええなー」とか言われます。農薬を「悪」と考えている末端消費者の方もいると思うのですが。実際、現場はそんな感じで仲良くやってます。ちなみに、除草剤撒けば雑草が生えないってもんでもなくて、使い方にも技術がいることは案外知られていません。使い方が下手で雑草生やす人、すごい多いです。ですので、雑草が生えた田んぼだからと言って無農薬とは限りませんので念のため。

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