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いいかみんな、耳をよくかっぽじって聞いてくれ 「新幹線大爆破」

絶対に見ない部類の映画、ってあるじゃない。私だったらディズニー映画とかガチの恋愛ものとか、ガチのホラーとか、アニメとか。それで、自分的には絶対に見ないタイプの映画を排除して、そこから見たい映画をチョイスしているわけ。

ほとんどの人って、生きて行くなかでそういう選択をしてると思うの。映画に限らず、飲食店や注文するメニューなんかもそうよね。ついつい、いつも同じようなものを頼む。嗜好って、つまりは個性じゃない?殺し屋のレオンだって、ハードボイルドなのに、お酒じゃなくて牛乳飲んでるのよ。その意外性が印象的な個性になってるわ。

現実世界も「◯◯が好き、◯◯は嫌い」って言う嗜好を強固にしていくと、それが個性として認識されるわ。でも、そうやってくと、どんどん先細りになってくわけ。細く、そして深くなっていくのはマニアや専門家の世界よね。でも、単にこだわりや「私ってこうだから...」って決めつけて、可能性を自分で制限してるとしたら、もったいないように思うの。でも、その可能性って自分じゃなかなか気付くことはできないわ。だって、自分の頭でしか考えられないんだもの。

前置きが長くなっちゃったわね。この「新人バイトO セレクション」マガジンでは、うちの新人バイトOくんが私の為に、私が絶対に見ないような映画を選んでくれて、それを私が見てレビューするって記事よ。つまり、私自身では気付かない新たな世界の扉を開けてくれるってわけ。縛りは以下の2点。

・Amazonプライムにある映画

・私が予告編を見てオッケーを出した作品

今回Oくんが選んでくれたのは、「新幹線大爆破」って言う、1975年の映画。ちなみにOくんは1996年生まれ。予告編はこんな感じね。

まあね、間違いなく見ないわ。だけど、今回はそういう趣向だから、2時間半もあるこの映画を見たわけ。そしたらね、

何これ!名作じゃない!!

こないだ見た「砂の器」よりよっぽどいいわ。数百倍いいわ!

まず、展開にスピード感があって、一気に見せてくれる。何てったって、新幹線だから、展開も同じくらい早いの。しかも、ちゃんとそこに「国鉄」と「警察」って言う国の二つの組織の対立も盛り込んであるし、「新幹線」と「司令部」との関係もうまく描かれてる。よくできてるわ。

これって、キアヌ・リーブス主演のヒット作「スピード」の原典になったって、書いてあるけど、wikiを見ると「スピード」は黒澤明の「暴走機関車」の脚本を参考にしたって書いてあって、この「新幹線大爆破」も「暴走機関車」をキッカケに作られてるの。どっちも原典は一緒だったってことね。でも、「新幹線大爆破」は日本よりも海外で評価が高かったらしいので、後年制作された「スピード」もこれを参考にした可能性もあるわ。まあ、あとは適当に自分で調べてちょうだい。wikiにはかなりの分量の情報があるかから。

ところで、この映画の中で、犯人を捕まえるための会議が何回もあるんだけど、こんなセリフがあるの。ちょっと聞いてくれるかしら。

警視庁A「ホシがドルを要求して来たということは、国外逃亡の計画だと思われる。旅行代理店、各航空会社の切符予約客を洗って欲しい。特に、今日から一週間以内の出発予定者を重点的に調べる」

警視庁B「後藤くんの班に頼む」

後藤「はあ、しかしぃ、今日から一週間って言うと...五万人くらいはいると思われますがねぇ」

警視庁B「女と、50歳以上の老人を除けば三分の二になるだろう」


....


....


女と、50歳以上の老人


....


50歳以上の老人!!!!



みんなー、

落ち着いてー。

こ、れ、は、今から40年近くも前の映画よー。

「なにっ!今なんと言った!50歳以上が老人だと!?」

なんて、誰も言うわけもないの。50歳以上が年寄りなんてことは、公然の了解事項なの。でも、さすがにちょっとびっくりしちゃった。50歳以上を老人って言うことよりも、それを全員が普通に受け止めていることにね。

そんなことより、今の時代、海外旅行をする人たちから「女と50歳以上の老人」を排除したら、間違いなく1/10以下になるわな。まあ、これから映画を見る人は、よーく耳をかっぽじって聞いて欲しいわ。映画開始33分頃だから。

こういう古い映画が面白いのは、当時の文化、ファッションを如実に反映してるところね。当時、一番カッコイイファッションや流行のものが映画の中に登場してるわけ。今だったらオシャレなカフェなんだろうけど、1975年だから、ビルの2階にある、合皮の派手なソファーが置いてあるような、スナックのママみたいな人がやってる、いわゆる喫茶店なの。って、ことは、30年後にはおしゃれなカフェだって、「うわー、あんなお店あったんだ!プッwww」なんて言われるんだろうなぁ、なんて思うわ。

電話も、いちいち公衆電話なの。当たり前だけど。昔はどうやってたんだろう??って思う人は、こういうのを見ると、昔の人たちがどんな連絡手段を取っていたのかがよく分かると思うわ。それでも、当時の最新式の通信機器なわけだし。

とにかく、この映画は2時間半、しっかり見せてくれるし、大満足よ。線路から動けない新幹線はとにかく、先に向かって走るしかない。その中で、全員がひとつになって、乗客救出のために...って言うんじゃないのよね。そこに色々な思惑が絡んでくるのが脚本としてよくできてんのよ。

いくつか言うことがあるとしたら、丹波哲郎が本当に邪魔というか、アンタおらんでもエエやん!って役で、しかも最後の最後の結構大事なシーンでエラそーの出てくんの。何もやってないくせに、特別出演枠ってアレね、邪魔臭いわよね。

丹波哲郎だってこの映画の撮影時は53歳の老人なんだけど、今日私が朝から行って来た地元の「介護予防 すこやか体操教室」なんて参加者25人、全員が75歳以上だったから、この人たちは「すでに死んでいる」って感じよ。

そんなことで、次回の新人バイトOセレクションは

「北斗の拳」よ。お楽しみにね。

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