ハッテンサウナ劇場

つい先日の平日昼間のハッテンサウナにて…
・・・・・・

談話室の前をスルーしようとしたとき、中から声を掛けられた

「シーコさん！」

声の主は いい意味で個性のある若い女装さん

えっと・・・？？

わたしは黙って顔を寄せてみるが思い出せない

「アタシ、〇〇です」

すこし時間はかかったがその名前で気が付いた。わからないのも当然で、きょうが初対面の女装さんだった。それも本人画像も無いまま数年前にDMで数回やり取りがあっただけの。

それでもSNSで わたしの言葉と作品をずっと読み続けてくれていた

訊けばきょうわたしが来るかもとダメ元で逢いに来てくれたそうだ

前日発信した来館の臭わせ肛門臭ツイートに気付いてくれた
わざわざ遠方からわたしに逢いに来てくれた女装さんとの驚きの出逢いに自然と会話も弾む

「シーコさんのボーヤにしてもらおうかな (笑)」

DMでやりとりしていた印象はちょっと怖そうなアタオカ女装さんだったが、問わず語りで身の上話を聴くうちに良いひと感が伝わる
片や本人いわく、わたしは安易に話しかけてきた相手にいきなり排泄物を投げつけるイメージだったのこと…

いつもならこの流れでカマレズに誘いドサクサで挿入させてから棄てるのだが、きょうのわたしは違った


『ねぇ、よかったらネタ見てくれる？』

「え？ あ、はい、よろこんで！」

『大部屋で。ショートコントなんだけど...』

「じゃぁ先に入って（場を）暖めてきます！」

・・・・・・

ネタをいくら脳内再生しようが、客に伝わるかなんてわからない。そろそろショートコントというジャンルで演者シーコを試したくなっていたところだった。
サブカル方面をこじらせた目の前の彼女相手なら、最悪スベッても誤魔化せるしSNSブロックすれば済む

ネタは演者が人前で演じて初めて命が吹き込まれる
いつかその日が来ればと、演目と構成は準備してあった

ショートコント①
ブリッジ
ショートコント②
ブリッジ

・・・・・・
香盤表
女装漫談： なにが哀しくて☆シーコ

隣のビル工事の音が出囃子に聞こえる

ふぅぅ・・・

深く呼吸し気持ちを整え袖から大部屋ぶたいに向かう

さっきまで遊んでいた肛門から、ローションが滴り落ちた


（了）

ハッテンサウナ劇場
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