AIと人の相関性
朝から会議を6つこなして、会議中あるいは会議の合間にちょこちょこ作業をしていたら、気づいたら今日はもうやることがなくなっていたので、そろそろカフェを出て、飲み会に行く準備をゆっくり開始しようと思っている。
今日はオンラインで沢山の人生に会った。私は人材エージェントの職歴がこれまでで一番長いので、その経験をかってくれている社長の命により、営業に加えて、採用担当としての役割も担っている。
ここ数日は、「私の採用スイッチがONになっている」というだけの理由により、毎日人と会いまくっている。うちの会社には採用基準的なものは一切用意されていないので、ものすごく失礼な話なんだけど、完全にその時の私の気分によって面接したり面接しなかったり、というような論理的根拠ゼロの採用活動を、堂々と実行している。メールの返し方が何となく好き、とか、写真が何となく違う気がする、とか、そんな完全なる独断と偏見の世界だ。
今日は3人の候補者と会った。3人会った上に、紹介会社の担当者とも打ち合わせをしたもんだから、今日の私の仕事はただの採用担当人事だ。
というかもはや、令和の世において、職種で仕事を定義するってのもナンセンスなんでしょうね。
ちなみにお会いした3人のうち、2人は無事採用に至りそうで、1名はこちらからお断りになりそうだ。
優秀な国立の大学院を中退して、田舎の実家の目の前にある銭湯でバイトを2年続けてきたという男子が、リクルートスーツにネクタイを締めてオンラインの向こう側にちょこんと座っていた。オンライン会議の入室も開始2分前にリクエストしてくる、折り目正しく几帳面そうな方だった。(ちなみに私は面接直前まで別のオンライン会議をイヤホンで聞き流しながら、手元のスマホで友達と飲み会の日程調整をしていた。)
「なんでこのタイミングで就職しようと思ったんですか?」と質問したら、「その経緯は色々あるんですが、周りの友人とも話して、そうしようと、覚悟して、一歩を踏み出す、と決意しました。。。」と、バリバリの理系男子にしてはめちゃめちゃ曖昧な返答をしてくれた。
「音楽が好きで、AIを使ったサービスを将来作りたくて。」とか「やっぱり音楽はAIには作れなくて、人の手で作るべきものだとは思っているんですが、、」とか、おそらくゴリゴリの音楽好きである自身の本性がばれないように、核心を突く話を敢えて避けているような言い回しで、それはそれは曖昧にお話してくれた。
あー、これだから私は人材業務が好きなんだよな。
そこにはきっと彼なりのロジックがあって、夢があって、決断があって、大きな大きな人生の分岐点があって、言葉じゃうまく説明できないんだけど(たった今オンラインなんかで会ったおばちゃん相手なら尚更)、でも、「就職することにした」っていう覚悟だけは、しっかりその手の中に握りしめている、その感じ。
彼もきっと、あと3年くらいすれば、仕事の片手間で飲み会やらデートやらに思いを馳せることになるんだけど、でも今この瞬間の彼と出会えたことに、私は人材という仕事の喜びを感じるし、私も頑張りたいなと素直に思う。
「うちの会社は、あなたのような未経験者はおそらく採用が難しいんだけど、それはうちの会社の度量がまだまだ小さくて、あなたのそのポテンシャルを生かすことが出来ないからなわけで、数年後にはもしかしたらうちの会社も成長して、あなた自身も成長して、どこかで一緒にお仕事出来ると面白いですね」、とか、そんなようなことを彼に伝えて、オンライン会議を消して、で、私はまた飲み会の場所選びに勤しんで、そしてこれから飲み会に行きます。
良い話でごめん。
私もAIに音楽は作れないし、AIに小説は書けないと思ってるよ。
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