ワープゾーン【SF ショートショート】

うちの弟が通う高校までは、家から車で30分ほどの距離がある。
しかし弟は、ある山を超えるルートだと、自転車で20分で着けるらしいのだ。

幼い頃弟は、その山ー鷺山
ーでよく遊んでいた。
私は茶化して、遊んでいたときにワープゾーンでも見つけたんじゃないかと言っていた。

大学の夏休みは長い。
弟の学校の新学期が始まってからも、私はブラブラしていた。
いつもはだらだらと10時くらいまで寝ているのだが、ある朝早く目が覚めた。
散歩でもしようかな、と思った。
が、なぜかワープゾーンの話をふと思い出し、弟のあとをつけてみることにした。

自分も自転車に乗って、コッソリとついていくのだが、コッソリとする必要はなかった。
弟は、脇目も振らず走っており、それも結構なスピードだったから、堂々としていても気づかれそうにない。むしろ弟のスピードについていくのに必死だった。
弟において行かれそうだし、このスピードならワープゾーンなんて使わなくとも20分で学校に着けそうだ。
疲れて諦めかけたが、例の山はもう目前だった。
まあ、山に着くところまでは追ってみるか。そう思った。
山の入り口は急に細くなっていた。
弟は急にスピードを落とし、自転車から降りて押し始めた。私もそこから数メートル手前で自転車から降りて、森の入り口に置いた。
森は一見入り組んでいて見失いそうだったが、不思議なことに、木が林立し、道を作っていた。
あまり近付くと見つかりそうなので木の影に隠れながら、離れて歩いていた。
すると、前方が一瞬ピカッと光った。
しかし木の影に隠れていて、何が起こったのかは良く分からなかった。
怖くなって、もう見つかってもいいから弟に助けを求めようと思い小走りになった。が、前方に弟の姿はなかった。あれ?あれ?と左右前後見渡しても見つからない。自転車を押しながら隠れられるような場所は見つからない。
前方には岩盤があって行き止まりだった。後方からは私が来ていた。
そんな。どこいっちゃったの。途端に不安が押し寄せてきた。
捜索願いを出さなきゃ、と踵を返したとき、小石を蹴飛ばし、それが岩盤の下のほうに当たった。
すると岩盤が光り始めた。
光の方へそっと手を伸ばすと、指先が岩盤を突き抜けた。
これはもしや…と思いそうっと左足を入れ、右足を入れ、ついには上半身をその光に入れた。
全身が眩い光に包まれた、と思った瞬間、私はさっきとは違うところに立っていた。
山は山だけど…、どこ?ここ…。
パニックになっていると、足音がした。誰?と思ったら、弟がそこに立っていた。
後をつけたやましさもあって、怒ってる?と思ったら、苦笑いしていた。
「見つかったね」
「え?」
「ワープゾーン」
「え?まさかほんとにワープゾーンなの?」
弟はちょっと得意げに言った。
「そう。ここ、学校の裏山。鷺山からここに繋がってるんだ」

話を聞くと、子供の頃遊んでいて、たまたま見つけたとのことだった。それで、ワープゾーンを使いたいから、この高校を受けたんだそうな。
それだけ言って、私を鷺山に戻すと、遅刻するからと言って、急ぎ足でワープして行ってしまった。
私はと言うと、もうこのワープゾーンは使わないだろう。
何故なら私の行動範囲には無意味だからだ。


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弟の高校時代の話を思い出して書きました☺



今日、正式に仕事を辞めようと、院長と面談してきました。


そうしたら、思わぬ話がありました。

ホームページやパソコンなどの保守をしてほしいとのことです。

(主に在宅です)


睡眠障害もあり、看護に戻るのはもうちょっと先になりそうなので、月2万〜の仕事ですが、引き受けてきました。

7月にはパソコンも都合してもらえそうです。

もともとデザインの仕事と看護、両方やりたかったので、渡りに船という感じです☺


池ノ上さん、お参り頂いてありがとうございました。

また、皆様いつも応援くださってありがとうございます。

きっと、皆様のおかげでいい方向に向かってるんだと思います☀

本当にいつもありがとうございますm(_ _)m

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