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☆心友との小説 5☆

どうも朔月です!
今回も【の章】の続きを投稿していきます。

「失礼しまーす」
そう言いながら扉を開けた時、ずらっと並べられた机と椅子の真ん中くらいに、嫌な人物を見つけた。
…げっ。何でここにアイツが…。
そう思っていると横から架芭音かばねが少し大きな声で、
「…あれ、荒木あらぎ先生じゃない?ここにいるなんて珍しいね」
「ば、ばか!声がでけぇよ…!」
架芭音かばねに人差し指を口に当て、静かにという合図をする。
すると架芭音かばねはごめんと呟いた。
…よし気付いてねぇな。今なら端に行けばバレねぇはず…。
そう思った時…
「…お、隼斗はやと架芭音かばねじゃねぇか」
荒木あらぎの声がした。
…くそ…バレた…。
荒木あらぎ先生が図書室で読書なんて、すごく珍しいですね」
架芭音かばねがすごく、という所を強調した。荒木あらぎは心外だという顔をしながら…
「俺だって本くらい読むさ。教師の嗜みとしてな!」
…何が教師の嗜みだ。
意味わかんねー。
てか、嫌味も通じねぇのかよ…?
俺が明らかに不機嫌そうな顔をしながら荒木あらぎから顔を背けた。
すると荒木あらぎが、
「…お?どうした、隼斗はやと。今日はえらくご機嫌斜めだな?」
とわざわざ俺の視界に入って言ってくる。
こっち来んな。お前が視界に入らないようにわざと顔を背けてんだよ。
…ついでに、機嫌が悪りぃのはてめぇのせいなんだよ、荒木あらぎ
「…教師ってのはほこらに行ったり、図書室で本を読んだりしてる程暇なのか?」
俺が嫌味たっぷりに言うと、
「そんなに暇じゃねぇよ。たまには息抜きも必要だろ?」
「…アンタの場合、いつもだろ。肝心なことは人任せ。そのくせ自分はサボる。だから教師は嫌いなんだ」
そう言って図書室を後にする。
「おい、隼斗はやと!」
「悪りぃ、架芭音かばね。今日はやめとくわ」
架芭音かばねにそう告げた。
…くそ、アイツのせいで本が読めなかった…。
イライラ半分、落ち込み半分で二年の教室に戻る。
「お、隼斗はやと!」
「ん?義哉よしや。どうしたんだよ?何か向こうが騒がしいけど…」
「そうなんだよ!聞いてくれ!今一年の男女四人があのほこらから戻ってきたって!『零鬼れいきに会った』って言ってるらしいんだ!」
「!!……零鬼れいきに…?」
ちょうどその時だった。

「きゃああああああああっ!!!」
「!!あの悲鳴、梨夜りよじゃねぇか!?一階からだ、行こうぜ、隼斗はやと!」
「あ、ああ!」
義哉よしやと一緒に一階へと下りる。保健室の手前で梨夜りよが口を押さえて立っており、その先には…血塗れの男女四人が倒れていた。
「な、何があったんだ!?」
「この四人…!ほこらに行ったって言ってた一年の奴らか…?」
隼斗はやと!」
「!…架芭音かばね
「…有津真ゆづまが保健室に居ないんだ!」
「!!」
…どこに行ったんだ…?
「…俺、有津真ゆづまを探してくるよ。架芭音かばね梨夜りよを頼む。義哉よしやは皆がほこらに近付かないよう、見ててくれ」
「わ、分かった!」
それだけ言って俺はその場を後にした。
「…ったく。有津真ゆづまの奴どこに行ったんだよ…。思い当たる所から調べていくか」
…と言っても、一年の教室には居るわけねぇしな…。
とりあえず、二階の二年の教室に行ってみるか。
二階への階段を駆け上がり、長い廊下を進み、二年の教室を目指す。
有津真ゆづま…どこに行ったんだ…
二年の教室に辿り着き、扉を開ける。
あんな騒ぎがあった後だ。誰一人居ない。
「…くそ…どこに行ったんだよ、有津真ゆづま…」
次は図書室に向かう。二年の教室から出て、長い廊下をまた進む。
曲がり角を曲がり、図書室へ向かう。

ガラガラ
「…居ない…げっ」
有津真ゆづまは居なかった。
…が、代わりに俺の大っ嫌いな奴が居た。俺らの担任、荒木あらぎだ。
まだ居たのか…まさか、騒ぎに気付いてないのか…?
向こうはこっちに気付き、近付いてくる。
近付いてくんじゃねぇよ。俺はお前が嫌いなんだっつーの!
「…隼斗はやと?どうしたんだ?」
コイツに言っても仕方ねえと思うけど…一応言っておくか。
「保健室に寝てたはずの有津真ゆづまがいねぇんだ。探してるんだけど…知らないか?」
「…有津真ゆづまが…。…いや、知らないな…。…有津真ゆづまを探すんなら隼斗はやと、コレ付けとけ」
そう言って俺に何かを手渡す。
手を開いてみると、水色の丸い形をしたひものネックレスだった。
「これは水晶のネックレス。水晶には、浄化、守護の力があるらしい。何があるか分からない。とりあえず付けとけ。持っとくだけじゃ駄目だ。身に付けとかなきゃ意味がないぞ」
「…分かった、付けとくよ…」
本当は嫌だったが、荒木あらぎがここまで言ってるし、せっかくなので、付けておくことにした。水晶に浄化、守護の力があることは聞いたことがあるし、信じられると思った。
「俺も探してみる。見つけたら報告するからな」
「分かった。期待せずに待ってるよ」
「期待しないのか!」
そんな荒木あらぎとの会話を最後に図書室を去った。 5

今回はここまでです。
閲覧頂きありがとうございましたm(*_ _)m
また続きを投稿していきますので、良ければ覗いていって下さいね((ヾ( ◍´꒳`◍ )

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