☆心友との小説 3☆
どうも朔月です!
今回も【|起の章】の続きを投稿していきます。
「…ごめんね、隼斗…」
「謝らなくていいんだよ。俺は何とも思ってねぇから」
そう答え、一階の保健室へ向かって進む。
「…失礼します」
扉を開け、電気を付ける。
「自分でベッドまで行けるか?…有津真?」
バタン…ガチャ、
「え、おい!何で鍵締めて!?ってうわぁっ!!」
有津真が突然扉の鍵を締め、俺の腕を掴みベッドに押し倒した。
「ちょっ…離せって…!」
凄い力だ…!どこからこんな力が…!?
普段の大人しい有津真からは考えられないような力に困惑していると。
有津真が俺の右腕の制服の袖を捲り上げた。
「…この間、体育の時。君は長袖を着ていたけど、手を洗うときに袖を捲り上げたよね?そのときに、見えた気がしたんだ…この刻印がね。やっぱり、君が…」
「!!…離せって!!」
ドン!
「あ…!ご、ごめん有津真!結構力、入ってたよな…」
ベッド上に尻餅をつく形になった有津真に声を掛ける。
すると有津真はニコリと笑い、
「大丈夫だよ。僕も君が嫌がることをしちゃったわけだし…」
と答えた。
「…ごめんな。じゃあ、後はベッドに寝てるか?」
「うん。あ、授業終わったら来て欲しいな」
「?ああ、分かった。あ、梨夜からあの祠に調査に行くって話、聞いてるか?」
「聞いているよ。正直僕は、あの祠に行くのは反対なんだけどね…」
「俺も反対なんだよな。荒木も危ないから行くなって言ってたし。でも、梨夜は行く気マンマンだし…。架芭音なら、今の梨夜を止められるかもしれねぇが…」
「…やめといたほうがいいだろうね。あの子は事件が起こったりする前から、あの祠に異常な興味を示していたし。行き過ぎた好奇心は身を滅ぼすよ…」
有津真はそこまで言うとベッド上からベッドの端に腰を下ろし、俺に言った。
「あの子は人の気持ちを読んだり感じたりするのが下手な子だ。だから今回の祠に調査に行くことだって、皆の命をも危険に晒すことになるかもしれないというのに、自分のことだけを押し付け、強引に進めてしまっている…君達はこれまでの付き合いもあるし優しいから付き合ってあげるのかもしれないが、知らない人からすれば有り得ない行動だ。すぐ一人になると思うよ…」
「…そうだな…流石にずっとこんな感じ、ってわけにもいかないし、そこは梨夜自身が気付くしかないな。ま、架芭音がよく気に掛けてるみたいだから、大丈夫じゃないか?」
「そうだといいけどね…」
梨夜のことに関して憂《うれ》う表情を見せる有津真。しかし、一瞬で顔をいつもの穏やかな表情に戻すと、
「君のことも心配な部分はあるけど…分かりやすいし、堂在くんや角田くんも居るし…大丈夫かな?」
「分かりやすいって…」
そんなに俺、分かりやすい行動とってるか…?
あ、けど。人と関わりたくないってのは、顔や行動に出ちゃってるかもな。
そんな俺に話し掛けられる架芭音や義哉は凄いと思うけど。
架芭音や義哉とは、好きな小説を通して知り合い、話すようになった。小学一年の頃からの付き合いだから…もう十二年の付き合いになる。
が、俺は色々、過去に色々と心に傷を負った出来事があり、そこからは架芭音や義哉、いや、人と関わるのを恐いと思うようになった。傷を負ってからは、二人に真正面から向き合うことが出来なくもなった。
…それでも二人は、俺に話し掛け、傍に居てくれる。
感謝しているのだ、本当は。
…二人には伝えられないでいるけど。
そんな長い付き合いの中、二人に共通して言えることがある。
それは二人が決して嘘を吐かないということ。他人の悪口も絶対に言わない。
少なくとも俺の前では、かもしれないが。それでも。
稀に見るいい奴らだなって思う。
梨夜?梨夜は…正直言って苦手だ。体が人一倍弱いくせに、頑張るのは凄いなと感心するのだが、それ故に面倒事に付き合わすのは止めて欲しい。自分の気持ちを他人に押し付けるようなことや、後先考えずに行動することもだ。
…と言っても、あの性格は簡単には直らないだろうが…。
「…有津真、俺が"祈巫女"だってこと、秘密な。この事に関してはそれ以上聞かないでくれ」
「分かったよ、隼斗。秘密にしておくね」
「ありがとう、有津真。じゃ、また放課後にな。ゆっくり休めよ」
「うん、ありがとう隼斗。またね」
有津真に別れを言い、保健室を後にする。
にしても有津真、なんか変だったな…。特に瞳が、狂気を帯びていたような気が…?
…いいや、考えないようにしよう。 3
今回はここまでです。
閲覧頂きありがとうございましたm(*_ _)m
また続きを投稿していきますので、良ければ覗いていって下さいね((ヾ( ◍´꒳`◍ )
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