経済学ってな〜に? ー大学受験のミスマッチを防ぐためにー

こんばんは。旭と申します。

Twitterを始めてみて気付いたのですが、ライバルズって思いのほか中高生が多いんですよね。当たり前だろうと思われるかもしれませんが、私が高校生の頃はスマホ自体普及していなかったので、隔世の感すら覚えてしまいます。

ちょうど受験シーズンということで、学生の皆さんには需要があるかと思い、今回は真面目な記事を書かせて頂きます。

さて、皆さんは何の学部に入りたいか決まっていますか?

この大学に入りたい! というのはあっても、学部までは思い至らない方が多いのではないでしょうか。かく言う私も、なんとなくお金のことを学びたいなーと経済学部に入学しました。

私の場合、経済学部で楽しく学ぶことができました。しかし入ってみて初めて分かることも多く、想像もしていなかった授業内容に興味を持てずくすぶってしまう学生さんがいることもまた事実であります。

理論的で難しいことは話しませんし、話せません。今回の記事の目的は、経済学に対して簡単なイメージを持って頂き、事前にミスマッチを防ごうというものになります。



■経済学ってお金のことを考えるの?

経済といえば、為替がいくらとか、GDPが何%増えたとか、なんだかお金が絡んでくるハナシ……そう思っていませんか?

正確にはちょっと違います。経済学というのは、モノの流れを調べる学問です。

世の人々がお金を稼ぐ(=経済活動)のは、ひとえにモノを買うためです。服を買ってオシャレを楽しみ、お肉を買って美味しいご飯を作る。確かにお金を得るために働いているわけですが、そのお金はモノに替える媒体でしかなく、経済活動の本質はモノを手に入れることにあります。

2012年のノーベル経済学賞を受けたアルビン・ロス、ロイド・シャプレー両教授は、マッチング理論を評価されました。これは、例えば臓器提供者と患者をどのように組み合わせれば社会的に好ましいかを理論立てたものです。臓器移植は倫理的な問題でお金を媒介した売買を成立させられませんが、そのようなときにどうマッチングさせるかという問題も、モノ(この場合は臓器)の流れを考える経済学の領域なのです。

こうしてみると、色々な分野に手を出せる学問だと分かります。その通り、割と何でもアリで自由な学問です。

それでは、一般的に経済学がお金のことを考える学問と思われているのはなぜなのでしょうか。

おそらくどの学問でも大切なことですが、ある主張をするのであれば根拠となる証拠が欲しいところです。その証拠が数値であれば客観性を伴うため、なお良いといえるでしょう。

その数値化できるのがお金の強みです。ミルダムの時給がリンゴ5個分と言われてもピンと来ません。500円と聞いて「ああ、うさんくせぇ会社だな」と気付くわけです。

このように、お金の関わる内容であれば定量的な分析をしやすくなります。そのため、モノを見る学問とはいっても、基本的にはお金を見ていくことになります。

研究する題材は確かに何でもアリです。「JASRACの独占市場分析」「自民党衆議院議席と公共事業支出の関連性について」「ゲーム理論によるカードゲーム分析」しかし、その証明には数値的な、金銭的な裏付けが要求される。そのことをよく憶えておいてください。



■どの程度の数学力が求められるの?

なんとなく「文系のくせして数学使うの……」というのはお分かり頂けたと思います。でもご安心ください。よっぽど数学が嫌いでない限り、単位は大丈夫です。

ゼミ(卒業研究)についてはすみません、私も在学時代にすべてのゼミを網羅していたわけではないので、何とも言えないというのが正直なところです。しかし、先程の通り一般科目の履修(授業)に関してのみ申し上げるなら、下記の内容について簡単に理解できていれば問題ありません。

①微分・積分:ミクロ経済学で使用します。計算ができ、「微分することで面積を求められる」ことさえ憶えていれば授業は問題ありません。

②行列:産業連関分析で使用します。計算さえできれば授業は問題ありません。

③対数:回帰分析で使用します。計算すらしません。「対数を用いて、掛け算で表された式を足し算に変換できる」ことを憶えていれば授業は問題ありません。

ただし、一点だけご注意ください。経済学の一つに実証経済という分野があります。これは先駆者の編み出した経済理論を、現実の統計資料を使って実証していく学問でして、統計学が大きな役割を果たします。この統計学は、私含め最初はみんな大苦戦しました。

でも大学レベルであれば、統計学なんて簡単なものです。コツは「統計学は厳密に正しい計算をしているわけではなく、おおよそこのくらいという数値感を求めているだけ」と理解することです。何言っているか分からないと思いますが、このコツさえ頭に入っていれば、大学レベルは大丈夫だと安心してください。

また、統計手法にも色々ありますが、経済学で使うのはほとんど回帰分析だけですので、ここに特化して理解すればよいという理由もあります。

長くなりましたがまとめますと冒頭に書いた通り、よっぽど数学が嫌いでない限り大学卒業は大丈夫ということです。しかし、大学院に行って将来研究者になりたいという夢があるのでしたら、立ち止まって一考する価値があるくらいには、ある程度の数学レベルは必要になります。



■経済学部と商学部の違いは?

これは結構重要ですよね。あまり知らないまま、とにかく両方受験した方も多いのではないでしょうか。

経済学部は政府目線、商学部は一般企業目線という捉え方が分かりやすいと思います。

経済政策は実施主体が政府ですから、これは経済学部の範疇です。政府は公共投資を増やすべきなのか?日本銀行は量的緩和に踏み切るべきなのか?先程ご紹介したマッチング理論も、政府等の第三者機関が臓器提供者と患者をマッチングさせますので、経済学の一部といえます。

一方で、会社経営論、組織論、会計学といった学問は、一般企業で役立つものですから商学部の範疇です。

一応上のような分け方はしましたが、実のところ大学によって様々なようです。商学部が存在しない大学はその機能を経済学部に内包しておりますし、そもそも他学部の授業を広く履修できるようにしている大学もあります。しかし入学してからミスマッチに気付いては遅いので、経済学部、商学部のざっくりとした違いは頭に入れておいた方が良さそうです。



■色んな経済学!

拙い文章でどれほど伝わったか分かりませんが、最後に多様な経済学をご紹介して終わりとさせて頂きます。

・ミクロ経済学:ある特定の市場に着目して分析する学問です。旅客サービス市場、ゲーム市場、DCG市場と、区切り方は無限です。ミクロとは小さいという意ですが、後述するマクロ経済学と対になっています。

・マクロ経済学:複数の市場の集合体に着目して分析する学問です。国を最小単位として捉えることが多いでしょうか。金融(貨幣)、財政が代表的な研究分野です。当時教授に言われてなるほどと思ったのですが、ミクロが他の市場の影響を考慮しないため「答えがある学問」なのに対して、マクロはありとあらゆる影響を考えるため「答えのない学問」といえます。そのため、マクロは大きく分けて2つの学派「古典派」「ケインズ学派」が存在し、今日でも議論されております。

以降はマクロ・ミクロをさらに細分化した学術分野となります。

・都市経済学:トシ経済ではない。ミクロ経済学に空間の概念を取り入れ、時価、住宅市場、交通など、主に都市問題を分析する学問。

・労働経済学:労働市場に着目した学問。普段モノを買っている消費者が、労働市場では労働サービスを企業に売っているので、立場が逆転しているのが面白いところ。最低賃金、失業問題、ベーシックインカムなどが研究対象です。

・産業組織論:生産主体(資本主義においては大半が企業)の動向を分析する学問。企業の行動理論を解き明かす目的を持っており、資本主義下において政府は企業の行動を直接制限できないため、企業行動を上手いことコントロールできる経済政策の考案にあたって産業組織論は重要な役割を果たします。

・厚生経済学:そもそも理想的な経済状態は何なのかを追究する学問。国民みな等しくモノが分配されている状態なのか、そこに不平等がある方がかえって幸せなのか。少し哲学的な話も混じります。

・教育経済学:単に教育サービス市場を問題とする場合もあるが、教育を人的投資と捉え、それによりどの程度経済に影響を及ぼすのか、それを根拠として財政負担はどの程度が適切かといった幅広い内容を含む学問です。

・行動経済学:経済学は「人は経済的に得をするよう最も効率的に行動する」ことを前提としてその理論を発展させていきました。しかしすべての人が利益ばかりに囚われているわけではありません。心理学を取り入れてそもそもの前提を議論する学問です。

・ゲーム理論:いくら生産するか、いくらで価格を設定するかという模範的なことから、違法な談合をするかという予想外のことまで、企業などの経済主体は常に意思決定を行っています。その意思決定を解き明かす学問としてゲーム理論が存在します。これは制度設計に応用されていて、いかに企業がルールを守ってくれるように意思決定するのか、というところまで考慮できるようになりました。電波オークションなどの落札制度、初めの方に紹介したマッチング理論もゲーム理論の一つです。

・経済思想史:経済にも歴史があり、それを研究した学問もあります。哲学、歴史学に近い学問です。



以上になります。

前回の記事と異なり真面目に書いたのですが、どうも肌に合っていないようですね。読みづらく、クオリティが落ちている気がします。

分かる人には分かればよいということで、ここはおひとつ。

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