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【エッセイ】need a break

 疲れると頭が働かなくなり、ぼんやりしてしまうタイプである。感情の起伏がますます平坦になり、何事にもあんまり興味を持てず、集中力が途切れたまま淡々と作業をつづける。
 ところがこのところ、なんだかイライラして仕方ない。自分としては珍しいほどのイライラぶりである。

 気さくで相談ごともできる職場の先輩にデータを送る際、メールにちょこっと添えてみた。
「データ送ります。 この数日、(特定のことに)イライラして仕方ないです。。。」
 声に出すとそのイライラがよけい自分に襲いかかって来る気がするが、文字だけで短い言葉にすれば少しは軽くできる気がした。どこかに発露を探していた。

 数時間後、返信があった。
「ありがとう。 need a break ですね。自分も朝ぜんぜん起きられません。」
 先輩は留学経験があり、英語が堪能である。そこから湧き出る言葉選びのセンスに感服した。
 ほどよく軽いアドバイスが、そのときの自分にちょうど良かった。「大丈夫?」とか「休んだ方がいいよ」とかでは深刻すぎる。
(言葉は軽いが、意味は命令調なのもミソだ)
 そうか、疲れていたのか、と素直に納得した。

 幼いころから休む習慣がなく、すっかり休み方がわからない大人になってしまった。
 休むと言うとなんだか仰々しいが、breakという言葉なら受け入れることができる気がする。
 そして、いつも休日出勤をしているコーヒー好きの先輩にそのうち言ってあげよう。
「need a break ですね!」

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