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【エッセイ】赤福スタイル

 母方の祖母は、お盆やお彼岸に赤飯を炊いたらしい。母もそれにならい、近頃は我が家でもお盆とお彼岸には赤飯を炊くようになった。しかし、彼岸といえばおはぎである。赤飯もおいしいが、おはぎも食べたい。結局、赤飯の半分は、あんで包んでおはぎにすることにした。
 母が赤飯をひと口大にまとめて皿に置く。私がラップを使ってその赤飯にあんをつける。……あんはべたつくし、赤飯はやわらかいし、ラップは扱いづらい。作業は遅々として進まない。
 仏壇用と納骨堂用の六つが出来上がったところで、やや昼食の時間になった。
 見かねた姉、「もう、あんこかけちゃえば?」
 私は母を見る。「……そうする?」私も、もう面倒になっていた。
「そうしようか。もち米とあんこを一緒に食べればおはぎだ」
 かくして、母が皿に並べた小さな赤飯のおにぎりに上に、なるべく均等にあんをかけ、平らにならしてから、ひとつずつの大きさがわかるようにあんにうすく線をひいた。あとは各々が自分の皿に取り分けて食べる。
 この考えは完璧だった。作るのが楽で、見た目もそれほど悪くなく、味は完全なるおはぎ。「これってアレだね、赤福みたいだね」
このひと言で、今回のスタイルは我が家にとって正当なおはぎとなった。
 次回からも、彼岸には「赤福スタイル」のおはぎが登場することだろう。
 もちろん、オリジナルの部分もちゃんとある。うちのあんこは、私が炊いたつぶあん一択だ。

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