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「LUCA」という光

 もうだめだ、しんどい、だけどどうしても動かなきゃいけない。
 そういうほんとうに苦しいときに聴いてテンションを上げ、あと少しだ、あと少しだけ頑張ろう……と自分を励ます曲がTourbillonの「your place」で、私のなかで特別な位置づけになっている一曲だ。

 河村隆一のカウントダウンコンサートで、ゲストにINORANを迎えて演奏された「your place」を生で聴くところから始まる、奇跡のような年明けが二年続き、しみじみと幸せを噛み締めながら初詣に向かった。
 歩きながらLUNA SEAの「CROSS」を聴く。昨年末に発売されて以来、移動中はほぼずっと「CROSS」を聴いている。

 一曲めの「LUCA」を最初に聴いたとき、そのあかるさと開放感にハッとすると同時に「your place」を思い出した。

たとえ君が 傷ついてたとしたら
大きな翼で支えて 守ってあげる
君のそばにいるよ いつまでも
(「your place」Tourbillon)

 あまりにストレートな言葉で、作曲はともかく作詞もINORANだということにすごくびっくりした。当時の私のなかでは、あまりそういう詞を書くイメージのないひとだったのだ。
 びっくりしつつも、その優しさにストレートに慰められ、ストレートに元気づけられてきた。リリースされた2005年から、十年以上ずっと。

 そして2019年のLUNA SEAの「LUCA」。

君が自由を 求めるなら 君の羽ばたく 僕は君の空になろう
君が羽を 痛めたなら 癒えるまでずっと 星を灯すよ いつまでも
(「LUCA」LUNA SEA)

 自由を求めて羽ばたく「君」に対して「君の空になろう」と告げる「僕」の愛情は、「支える」とか「包む」とか「そばにいる」とかを超越しているように思う。
 「君が羽を 痛めたなら」(=「君が 傷ついてたとしたら」)抱きしめたり、守ったり、ではなく「星を灯すよ いつまでも」。
 実は私は歌詞のこの部分にいちばん感動した(「星を灯す」というフレーズからINORANがソロで2019年にリリースした「Starlight」を連想したのは、私だけではないのでは)。

 年末にLUNA SEAのメンバー全員で出演していたCDTVで、真矢が「(メンバーどうしが)昔は結構寄り添わないと交れなかったけど、今はみんなのりしろが広いから自由にやっていても交われる」というようなことをコメントしていた。常に一緒にいなくても、お互いがお互いを理解し、信頼しあっている。ソロとバンドの活動が噛み合っているように見える昨今のLUNA SEAを思って納得し、とても羨ましく、とてもまぶしく思った。
 十代のころから、LUNA SEAにかぎらずロックバンドの強く深い関係のありかたにずっと惹かれてきたけれど、結成から三十年が経ち、紆余曲折を乗り越えていまLUNA SEAが見せてくれるメンバー間の信頼や愛情は、ひたすらにまぶしい。

 2019年末、LUNATIC X'MASの二日間の締めくくりとしてさいたまスーパーアリーナで演奏された「LUCA」の、あの多幸感にあふれた光をいつまでもおぼえていたい。

  参拝の順番がきて、賽銭箱に硬貨を投げ込み、手を合わせて祈る。
  今年もすべてうまくいきますように、みんな幸せでありますように。



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