冬の魔人
ミカミの魔人さんと帰った
新宿駅の人混みを掻き分けて
総武線に向かう
寡黙だった魔人が「おっ」と声をあげる
知り合いが居たらしい
人混みの中 少しホームを引き返し
その男の腕を掴んだ
振り返ったのは白髪のおじさん
魔人さんはこんな人とも知り合いなのかと思った矢先
当人は「あっ」と声を上げ再び引き返し歩き出した
。まさか
「やべー全然知らん人やった」
冬の魔人はお茶目が多い。いつもに増して顔も赤い。
知らない中華丸顔赤小僧に突然腕を掴まれたおじさんは
心当たりのある行為をあれかこれかと考えたことだろう
ぼくがニヤニヤ笑っていると
スタスタ歩く魔人さんはさらに顔を赤くして
動揺の最先端発言を聞かせてくれた
「あぶねー」
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