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介護施設のベテラン相談員が教える。後悔しない介護施設の選び方

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・施設が多すぎてわからない。
・退院しても家で生活ができない。
・年を取ったら、どんな生活になるのか不安。

病院へ入院しても1か月~3か月で退院することが多いです。
高齢者の場合、本人やその家族は退院について大きな不安を抱えています。

 

私は、介護老人保健施設で約10年支援相談員として働いています。
また、介護老人保健施設の全国大会で受賞経験もあります。

※支援相談員とは・・・施設申し込みなどの窓口業務をする仕事
  

施設に来られても、私はすぐに施設の申し込みの説明は行っていません
なぜなら、施設申し込みの説明をしなくても家族に満足していただける提案方法を知っているからです。


施設入所する際に、どんなことに気を付けて話をしているか。
施設入所で悩んでいる家族、将来ソーシャルワーカーを目指す方に、退院後に後悔しない、後悔させない施設を選ぶ方法について解説します。

    

1. 具体的にニーズを引き出す

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電話や来所される家族は、必ず施設申し込みを希望します。ここで、すぐに施設申し込みの手続きをする相談員は二流です。


なぜなら、必ずしも施設に入ることが正解だとは限らないからです。入所を対象にした希望に該当する施設を上げてみます。

特別養護老人ホーム
介護老人保健施設
介護医療院
サービス付き高齢者住宅
介護付有料老人ホーム
住宅型有料老人ホーム
小規模多機能居宅介護
看護小規模多機能居宅介護
グループホーム
養護老人ホーム
ケアハウス

えっこんなに施設ってあるの?」そう感じませんでしたか。
これは、あくまでも一例にしかすぎません。

 

 介護保険は、専門職でも知らないこともある複雑な制度になっています。介護をしたことがない家族が知らなくても当たり前なのです。


だから、具体的なニーズを家族から引き出す必要があるのです。


2. 施設選びの6つのポイント

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私は、話をしながら6つのポイントを中心に話を聞いていきます。

① ニーズ(入所したい理由)
② 入院前と退院後の体の状態
③ 医療ニーズ
④ 認知症
⑤ 支払い能力
⑥ 家族と施設の距離

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 2-① ニーズ

 なぜ施設に入りたいのか?理由は大切です。  

・一人暮らしで生活ができない。
・家族が日中不在で看る人がいない。
・家族が高齢でお風呂に入れることができない。

  家族によって入所したい理由は様々で、具体的に困っていることにフォーカスを当てて詳しく聞いていきます。

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 2-② 入院前と退院後の体の状態

 入院前の生活の様子や体の状態の把握は、本人の思いにも繋がるので確認しましょう。      

・入院前は、毎日畑をしていた
・お酒が大好きだった
・デイサービスやヘルパーを利用していた

 入院前の様子を知ることで、本人が「また畑をしたい」「通いなれたデイサービスに行きたい」という退院後の目標に繋がります。
      

  家族が諦めていても、本人にやる気が大きく 退院後の生活も変わってくることが多いです。

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 2-③ 医療ニーズ

 医療ニーズによっては、入所できない施設があります。
具体的な医療ニーズは以下のような ものになります。

注射類(インスリン・骨粗しょう症・貧血)
経管栄養(胃瘻:いろう)・経鼻影響
尿道カテーテル留置・人工肛門
褥瘡(じょくそう)・吸痰・吸引
素・透析・抗がん剤治療

 これらは医療ニーズの一部ですが、施設によっては対応できないこともあります。

 ですので、医療ニーズを知らずに入所の手続きをしてしまうと後々入所ができないケースがあります。しっかりと入院先の病院で確認しておきましょう。

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 2-④ 認知症

 介護認定を受けている人には、認知症を患っている人が多いです。施設側も認知症については理解が進んできており認知症があるからといって入れないわけではありません。

 
 具体的に次のような行動があると、入所できない場合があります。

・強い帰宅願望            
・他者への攻撃的行動(暴言、暴行)  
・汚染行為(放尿、排せつ物を触る行為)
・洗剤などを飲んでしまう異食行動   

 一人暮らしで家族が気づかない場合や、入院中に進行する場合があるので本人の行動に注意してみる必要があります。

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 2-⑤ 支払い能力

 施設によって、支払う金額が大きく変わります。
例えば以下のようなものがあります。

入居金・家賃(部屋代)・電気代・お薬代
食事代・日常生活費・教養娯楽費    
介護サービス費用(リハビリ・掃除など)

 本人の貯金と年金等の収入、または家族が負担できる部分がいくらなのか具体的に話し合っておいてください。
        

 支払える金額によっては、入れる施設も大きく変わります 
また、収入や貯金が少ない場合、食事代やお部屋代が一部減額できる制度が使える施設もあります。


 具体的な金額を答えられるように準備しておきましょう。

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 2-⑥ 家族と施設の距離

 施設に入所できても、家族が施設に呼ばれることがあります。
具体的には以下のような時です。

・体調悪化時の入院対応  
・洗濯物の持ち帰り    
・入所継続困難なための相談

 どこでもいいので、とりあえず入所してしまうとあまりにも遠すぎて困るケースも多く見受けられます。
 施設によっては、バスも通らない山の中にある場合もあります。
        

 何かあった際のために、通える範囲がおすすめです。

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3. 特別養護老人ホームだけがゴールではない

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 介護老人保健施設で支援相談員をしていて、多くの家族は特別養護老人ホームへの入所を希望されます。しかし、地域包括ケアという概念が生れてからは、自宅を中心に介護する概念に変わりました


 そのため、特別養護老人ホームのような大人数が入れる施設は建設されることはほとんどなくなっています。そのため、ベッド数が増えることはなく入所はますます難しくなっています。


 代わりに、現在はサービス付き高齢者住宅や有料老人ホームが多く建設されるようになりました。これらの施設は、特別養護老人ホームとは違い部屋代など以外にも、介護サービスを別途支払う必要があります。


そのため、特別養護老人ホームや介護老人保健施設のように安く入所することは難しいです。また、食事代やベッド代が安くなる減額制度も使えません。


 よって、いかに自宅で長く生活するかということに焦点が当てられているのです。特別養護老人ホームに入れる人は、ごく限られた人のみになってしまったのです。


4. 自宅でも暮らせる選択

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     施設に入れない人はどうすればいいのか。
結論は、自宅で生活するといことです。
私が働き始めた10年前までは、自宅で使用できるサービスは限られていました。
  

     しかし、日帰りで通えるデイサービス、お泊りができるショートステイなどのサービスを提供する施設が増えました。


  自宅で生活をしている人でも、亡くなるギリギリまで自宅で過ごす人も珍しくはありません。医療処置が必要な場合でも、訪問看護や訪問リハビリなど医療サービスも充実しており、自宅で暮らすという選択肢が当たり前になってきているのです。


5. 認知症や医療ニーズが高くても入れる施設

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 それでも、重度の認知症を患っている場合や、寝たきりで特殊な医療処置を受けられている方もいます。そうすると、家族だけでは対応できないこともあります。
 

 重度の認知症の場合なら、グループホームや認知症対応のデイサービス、ショートステイで対応できる事業所もあります。


 また、重度の医療処置が必要な場合は、介護医療院という新しい制度もできました。まだまだ数は少ないですが、今後は介護老人保健施設や病院の病棟の一部が介護医療院へと転換されることが予想されます。

6. まとめ

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 もし、介護施設に入所が必要だと感じたときは、私はまず具体的なニーズを引き出します。なぜ、施設に入らないといけないのか。本人がどのような施設に入れるのか、詳しく聞き取りをします。


もしあなたが施設入所を考えているなら、まずは詳しく話を聞いてくれる専門家や施設の担当者を探すことをお勧めします


 次に、後悔しない施設を選ぶためには次の6つのポイントに注意しましょう。

① ニーズ(入所したい理由)
② 入院前と退院後の体の状態
③ 医療ニーズ       
④ 認知症         
⑤ 支払い能力       
⑥ 家族と施設の距離    

 これらの点を押さえておくだけで、入所した後に後悔することは避けられます。


 また、最終目標は特別養護老人ホームに入所することだけではありません。反対に、特別養護老人ホームだけに絞って考えると入所ができず、ますます介護が大変になります。


 自宅も選択肢にいれて、どんなことが自宅では、できないのか考えてみましょう。

 そして、できない部分についてサービスを入れて生活ができるか、担当のケアマネジャーさんと一緒に考えてみましょう。


 認知症の進行、重度な医療が必要になる場合があります。その際は、これらを専門としている施設も視野に検討してみて下さい。


 介護保険制度は、私たち専門職でもわからないことがあります。
それぞれの施設に一度問い合わせてみることや、かかりつけの病院に相談する、ケアマネジャーさんと相談してみることをお勧めします。

 今後も、専門である介護保険制度や医療保険制度についても解説していきます。

 それでは、また会いましょう。

7.自己紹介

アルココーポレーション(架空会社2021年現在)
サラリーマン兼投資家 Youtuber
日頃は、介護施設で働く社会福祉士です。将来は、自分ビジネスで起業しサラリーマンからの卒業と本当の自立することが目標このブログでは、私が読んだ本を小学生にでもわかりやすく解説しています。あなたの本を読む時間の短縮にもご活用ください。

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