No hero,but dream⑦ 葉脈標本

4年生になった。
姉は、地元の公立日蔭中学校に入学した。

この学年から日蔭小学校では「クラブ活動」を選択できるようになる。と言うより、選択しなければならない。
私は「理科クラブ」を選択した。
別に理科が格段に好きだった訳ではないのだが、スポーツ系は向いていないだろうし、消去法で決めた。

兼田聖司くんが転向してから仲が良い友達もいなくなっていたし、本当は友達ができれば良いなと思ったのだが、同学年の男子はいなかった。
ただ、小学校入学時に隣の席だった、水本里香がいた。
彼女とは特別に仲が良かった訳ではないのだが、向こうからちょっかいを出してくれるのででこちらが何もしなくてもコミュニケーションを取れるので、私は楽だったのかもしれない。

一緒に葉脈標本(ようみゃくひょうほん)を作ったり、実験をしたりした。
手先が不器用な私は苦戦することも多かったが、割と楽しかったように思う。


家の方は、姉が「学校に行きたくない」等と言い出し、両親と揉めることが増えていた。
当時は校内暴力が社会問題となっていた時代の色合いがまだ強く、私は「中学は怖いところなんだな…」と、何となく思った。

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