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「#本を読む前に聴く音楽」をつくる話

 これまで本と出会うための本屋「文喫」は、さまざまなスイッチをつくることで読書体験のリデザインに挑戦してきました。つくってきたのは、こんなスイッチです。

・入場料というスイッチ
 24時間常に誰かとつながりっぱなしの今、ひとつのことに集中する時間は意識してつくるものになっています。文喫では入場料というスイッチを設けることで「本と出会うため」のモードに自分自身を切り替えてから本棚の中に飛び込むことができます。

・#本と過ごすためのビール というスイッチ
 本屋がビールをつくる。なぜ?私たちはビールの持つスイッチする力に着目しました。お酒を飲んで、いつもより大胆になった自分に出会ったことはないでしょうか?いつもより熱く語り合い、お互いに理解を深め合うこともできたりします。そんな風に、いつもとは違うモードで本と向き合ったら、本はいつもとは異なる表情を見せてくれるはずです。
 詳細はこちらの記事でチェックしてみてください。

そして今度は「本を読む前の時間」にスイッチをつくります。
 こんな経験はあるでしょうか?音楽が鳴っているカフェで本を読んでいる。読むことに集中するといつの間にか音楽が聴こえなくなり、集中が解けると音楽に気づく。音楽が煩わしくて集中できない時もある。かと思えば音楽を鳴らすとノイズが消えてすんなり集中できたりする。

 こんな経験もあるかも知れません。職場に着く直前、駅のエスカレーターで最後の1曲を聴く。仕事モードに切り替わるように、アッパーな曲を爆音で。家に帰ったら静かな曲を流す。ゆったりしたテンポに呼吸を同期させると、ざわついた感覚が解きほぐされていく。

 音楽についての経験から音楽の持つ効果についての空想が膨らみます。
「音楽は集中度をはかるバロメーターになるんじゃない?」
「音楽によって集中度をコントロールできるかも知れない。」
「音楽には自分のモードを切り替える力があるはず。」

 そこで私たちがたどり着いたのが、本を読む時に聴く音楽です。といっても読書のBGMではありません。「本を読んでいる間に」ではなく、「本を読む前に」聴く音楽です。もっと知りたいというモードになる音楽。感情の感度が高まる音楽。本を読もうというモチベーションを上げてくれる音楽です。

#本を読む前に聴く音楽 ってどんな音楽でしょうか?どうすれば本を読むモードに自然に入って行けるでしょう?正解はひとつの形ではなく、いろいろな形があるはず。私たちは最初のステップとして、ひとつの形を作ってみることにしました。

 私たちは音楽作品『僕の半年間』を発表したアーティストの清水文太さんに声を掛けました。清水さんの、自分を深く掘り下げるような音楽性と、文喫が実践する本を起点にした体験へのアプローチと掛け合わせたら、どんな音楽が生まれるでしょう?

 今回は清水文太さんと相談して「自分について知る」をテーマにワークショップ・レコーディングを行うことにしました。ワークショップでの言葉や音を素材に #本を読む前に聴く音楽 を制作するのです。参加者の発する声や音が楽曲の一部になります。

 そうして出来上がった音楽を聴けばワークショップで「知る」ことと向き合った体験を想起しながら、感情の感度を高めた状態で本と向き合うことができるはず。(受験勉強しながら聴いていた曲を大人になっても集中する時に聴くようにしている。そんな経験ないでしょうか?)

 清水文太さんと #本を読む前に聴く音楽 をつくるワークショップ・レコーディングは6/12にオンラインでの開催です。参加は抽選制となっております。お申し込みは6/3の23:59まで。詳細はこちらから。

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