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「ヴァイオリンも生き物である」弦楽器の職人とは?

この記事は全文公開です。
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(インタビュー:2019年7月)

TANQ-JOBライター渡部みどりのインタビュー記事第8弾!
弦楽器の職人とはどのような生活を送っているのでしょうか?今回は音楽の世界の人にインタビューしてきました!

松下みきさんの紹介

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ヴァイオリン専門店で働く松下未来(まつした みき)さんです!現在ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリンというヴァイオリン専門店で働いています。

ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリン京都店の情報
京都四条烏丸通りにあり、とても便利な場所にあるお店です!弦楽器専門店です。入門クラスからドイツ、イタリアの名器など様々なグレードの楽器を置いています。京都の他には名古屋やイタリアに店舗やオフィスがあります。オンラインの販売も行っています。
ホームページはこちら

基本的なヴァイオリンのパーツ

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なぜヴァイオリンに関わる仕事をしようと思ったんですか?

子供の時にヴァイオリンを習い始めました。きっかけはテレビでみてかっこいいと思ったからです(家族にヴァイオリンを弾く人はいません)。小さい頃から物を作ることが好きで、高校は農業系の学校にいました。高校を卒業した後の進路(就職か進学か)を考えた時に、楽器に携わる仕事がしたいなと思い、ヴァイオリンの先生に相談し楽器製作や修理を学べる専門学校を教えてもらったり、自分自身でもインターネットを使って学校を探したりしました。(実際にはインターネット上で見つけた学校に行きました。)

楽器を作る専門学校でも入学試験はありました。音楽や楽器についての知識をテストされました。専門学校には様々な人がいて、私のような高校を卒業した後すぐに専門学校に来た人たち、大学卒業後に専門学校に来て学んでいる人たちにも会いました。その専門学校はいろいろな楽器製作の学校で、ヴァイオリンの他に管楽器について学ぶ科もありました。

実は弦楽器科は私の学年が最後の世代だったので、私が卒業した後は無くなりました。後輩がいないのは少し寂しく思いますが、弦楽器科を希望する学生も多くないので仕方がないのかもしれません。

ヴァイオリン科では2年間勉強をし、その間にはヴァイオリンの組み上げの仕方から実際にヴァイオリンの作り方まで職人になるための基本を学びます。2年目の最後に全員が作ったヴァイオリンを展示します。
展示会ではそのヴァイオリンの色合いや、形、他には音を含めて、どれくらいよいヴァイオリンが作れるのかというテストみたいなものです。

高校生の時は?

高校は農業系の学校で、楽器や音楽には全く関係がありませんでした。卒業後音楽の世界に行ったのは学年中で私だけでした。高校の畑に行って自分達で野菜をそだてたり、実際にお菓子を作ったりしました。ただ物作りが好きということでは繋がっていると思います。

ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリンではどんなことをやっているんですか?

このヴァイオリン専門店の工房ではヴァイオリン、ヴィオラ、チェロに必要な部品を用意し、破損した楽器の修理などを行っています。
他には楽器自体も売っています。店に置いている楽器や部品の多くは海外でつくられています。ヨーロッパ、ブラジル、中国などです。国内産も一部あります。海外で製作されたものは、飛行機に乗せて日本に持ってきています。

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お店の中

私が一緒に働く人は弦楽器の製作や修理について学校で学んだ人達です。私は今ヴァイオリンの組み上げ(最終的にヴァイオリンを完成させる作業)をやっています。組み上げやお客さんの対応以外の時間には、弦楽器の修理に必要スキルを身につけるため練習しています。うまくできるようになると達成感があり、自分が組み上げたヴァイオリンをお客さんが選んで買ってくれた時に嬉しく思います。一人前なるには10年単位で時間がかかります。日々コツコツ頑張ることが大事だと思います。
私は練習のために店で技術作業をしたり、本を読んだりします。

松下さん:
技術は何度も繰り返し練習する必要があるので、私もまだ練習中です。壊れたヴァイオリンなどを次また壊れないように修理する、そんな職人を目指しています。

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作業風景

組み上げとは
いろいろな楽器で最後に本体につける部分をつけて、楽器を完成状態まで組み立てること。例えば、弦、ブリッジや指板をつけることを組み上げと呼びます。

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修理途中のヴァイオリン

ヴァイオリンはどのように入手されているんですか?
私の会社の社長がイタリア、ドイツなどにいる職人さん達の工房に直接に行って、弓やヴァイオリンを持って日本に持って帰ってきています。
ヴァイオリン職人さんたちがたくさんいるのは主にイタリア、ドイツで、弓などはフランスで買ってきます。そのほかに、イギリスやフランスの楽器オークションに参加して、買い付けをしています。弓の原料であるフェルナンブーク(Pernambuco wood)という木はブラジル原産で、その木が絶滅危惧種に指定され、ワシントン条約で国際的にその木を守るため、原材料の輸入・輸出が禁止されています。製品の輸入はできるので、ブラジルからも弓を買っています。
弓の毛は馬の尾の毛で、モンゴルから輸入されています。

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実物の馬の毛

ヴァイオリンの取扱説明書

・車の中に放置しない
・車内の温度と湿度の変化によりヴァイオリンの膠(にかわ)が溶けたりして、音が悪くなったり、破損したりします。
・極度の高温多湿、低温乾燥を避ける
・木でできているチューニングペグ周辺が膨張、縮小をくり返すことでだんだん合わなくなるので定期的に点検をしてもらう。

松下:
ヴァイオリンは生き物と同じで、人間がちょうどいいと思う温度、湿度以上に過酷な場所に放置しないでください!

一番大変だった修理:首が折れたチェロがきて、前に修理したものがまた折れてしまったものでした。その時は前の修理で使われた膠(にかわ)をとって、慎重にダメージを与えないように直しながら、首をネジで元に戻さなければいけませんでした。
そのほか、ヒビが入ったヴァイオリンなどはよく修理にきます。

楽器演奏や職人に興味が湧いた子供達へ

みなさんも興味がある楽器を見つけて、とにかくトライしてください!始めるきっかけはどうでもいいのです。私もヴァイオリンを始めたのはテレビでバイオリニストが演奏しているのをみて「かっこいい!」と思って、ヴァイオリンを始めました。
諦めないで物作りをやってみてください。
いろいろな仕事に挑戦してみてください。
手作りに比べると音の質はちがいますが、初心者用の手ごろなヴァイオリンなどもあります。
ヴァイオリンなどは(値段が)高くて無理と思っている方でも是非トライしてください。

音楽が好きな方達へ

日本弦楽器演奏家協会、日本弦楽指導者協会、日本弦楽器製作者協会、日本弦楽協会というものがあります。
興味があればホームページをのぞいてみてください!

それぞれの協会のホームページ

日本弦楽器製作者協会のホームページへはこちら
日本弦楽協会のホームページへはこちら
日本弦楽器演奏家協会のホームページへはこちら
日本弦楽指導者協会のホームページへはこちら

弦楽器フェアについて

弦楽器製作の技術の研究、情報交換が目的のイベントです。
2019年度の弦楽器フェアは11月1日から11月3日に開催されます。
会場:科学技術館
102-0091
東京都千代田区北の丸公園2番1号
イベントのホームページはこちら
科学技術館のホームページへはこちら

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松下さんが組み上げた2台のヴァイオリン
左:松下さん 右:渡部

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