広報の未来

パブリシティのその先へ〜「戦略的広報」の実行〜

1.中長期の企業価値を作り出す広報PR事業戦略の確立

私は現在、企業の広報業務を行っているが、元々はメディアの記者だった。経済や金融書の編集者、経済メディア記者、経済番組ディレクターから、出版社の創業・経営に携わり、ウェブメディア事業も経験。その後、経営コンサルティング会社を経て、広報PR・IR・CSR、さらに企業ブランディングの領域で現在は仕事をしている。対政府へのリレーション活動であるロビイングを行い法律づくりに関わったこともある。
最近は、スタートアップ企業で広報組織づくりから、広報戦略の立案・実行を行うことが多い。

こうした経験から、「広報」という業務の役割を下記のようにバージョンアップさせるべきだと考えて自ら実践すると共に、組織に浸透させてきた。

広報という職種が、社会的にも企業内においても、今以上に評価せれるべく、「経営に貢献できる広報」を確立すべきだと私は考えている。

①事業立案型広報(オープンイノベーション志向の広報)

広報は、既存業務の領域を超えたネットワークを持つことになる。例えば、同業他社、大学、行政、NPO、社会的企業家など。こうした他組織との連携の窓口に広報部門はなりうる。

同時に、こうしたコラボレーションがPRのソースになり、自社の成長にも寄与する。

広報を情報の受発信業務に止めず、社内外のビジネスシーズの「結節点」とする。平たく言うと、広報が扱う領域を、「ニュースのネタ」から「事業のシーズ」にまで拡大させる。そのことで、広報が企業価値向上の中核を担うことになる。→下記の2)「企業のメディア化」で実現

②統合型広報

PR、IR、CSRが連動した広報。

CSRはサプライチェーンや雇用環境など、企業の存続基盤と密接なつながりがある。CSRが企業の価値向上の根源に位置すると考え、CSRの具現化が、PRであり、IRであるとして、コーポレート・コミュニケーションを統合化する。

2.企業のメディア化

組織内の情報に発信するために、社内の全リソースを広報的視点で精査し「再編集」する。

①広報目的別に

・企業ブランディング、商品サービスの認知、採用など

②広報資源の抽出

・自社商品サービスのサプライチェーンの中で(開発、マーケティング、販路)

・企業内タレントの発掘と育成(トップだけではない会社の「顔」)

・アライアンス事例

・CSR(社会課題解決との関連付け) 等々

③メディア露出を自社のマーケティングやブランディングに還元する仕掛けを作る


3.発信のためのメディア:関係づくりと、自社発信の整備

①マスメディア(パブリシティ/「売り込み」だけではなく、企画立案からの関与も)

②ソーシャルメディア

③自社メディア(自社宣伝ではない中立的メディアをつくり、理念の共有者を集約する。

「社内シンクタンク」的な組織を立ち上げる):オウンドメディア

④人的リソースのメディア化(社員の広報マインド情勢、顧客のファン化=アンバサダー戦略)

4.経営の目的、目標から考える広報(長期の目線)〜【戦略的広報のフロー】〜

 B/Sにつながる広報。

 1.事業目標・企業コミュニケーション目標の設定(why)

→2.ターゲット設定(who)→3.ストーリー作り(what)→4.広報施策(how)

→5.6.7.成果測定  →8.経営へのインパクト  →社会へのインパクト

画像1

5.稼ぐ広報として(短期の目線) :「広報(PR)→マーケティング→営業→クロージング→成功事例をさらに広報」の循環をつくる

P/L視点での、売上・利益につながる広報。

図2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?