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シリーズ 青く滲む「しみ」に極楽浄土を見た (その2)


幾重にも書き連ねた濃淡のある青い墨の 「沁み」の中に、「仏」を見出した体験は私に大きな感動と安らぎを与えてくれた。


私には振り向く観音さんの姿がハッキリと見えた。
左肩の方に僅かに首をかしげた仏の姿がじわーっと浮かび上がってきたのである。

青い沁みの重なりから突然振向き観音像が浮かび上がってきた


それはいつも突然にやってきた。

実は、この体験に連なってゆく前に一年近い道のりがあった。

その間にも、青い墨の「沁み」から有機的な連関の中で幾つかの作品が生まれ出ていった。


「沁み」から生まれた最初の作品がこれ(↓)である。

皆さんにはどう映るだろう?


私にはうずくまる一匹の虫の姿が突然目の前に浮かび上がってきた。

私はこれに「 絶望するカブト虫 」というタイトルをつけた。



しかし・・・・・・


カブト虫も絶望するのだろうか?

( するはずがない )

いや私が知らないだけで  カブトムシにもkokoroがあって

絶望する時があるかも知れない。

( いやいや )と再び打ち消しても____

確かに私の前では1匹のカブト虫は身体を震わせながら、深い悲しみに沈んでいたのである。


「絶望するカブト虫」

人の内面にある自覚されていない「 無意識の投影 」、それを潜在意識からの何らかのメッセージとして解釈する心理検査がある。

「絶望するカブト虫」は 私自身も気づかないでいる 癒されない悲しみの顕れであるということになるのだろうか。

私の心の奥底にうずくまったままになっている「悲しみ」とは一体なんだろう。

                            (つづく)





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