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細川周平「『熱帯の真実』を読む」

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#トロピカーリア

細川周平「アメリカでは──カエターノ・ヴェローゾ『熱帯の真実』を読む」-その2

細川周平「アメリカでは──カエターノ・ヴェローゾ『熱帯の真実』を読む」-その2

マリリン、ウォホール、シャクリーニャ
 『熱帯の真実』は「エルヴィスとマリリン」という章から始まっている。ウォホールを連想しないほうがむずかしい。カエターノは少年時代にこの二人のスターにひかれたことはなく、むしろウォホールを経由して近づいた。トロピカリズモが運動になり始めていた六七年には、サンパウロのビエンナーレ美術展で、アメリカのポップ・アーチストと接触し、スーパーマーケットに向かう自分の道のり

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細川周平「アメリカでは──カエターノ・ヴェローゾ『熱帯の真実』を読む」-その1

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月刊誌『ユリイカ』2003年2月号「カエターノ・ヴェローゾ特集」(青土社)に掲載された音楽学者の細川周平さん(現・国際日本文化研究センター名誉教授)による『熱帯の真実』評を、細川さんと『ユリイカ』編集部のご厚意により、ここに再掲します。

このテキストは、『熱帯の真実』の編集をしながら何度も参照し、そのたびに細川さんの読みの鋭さ、的確さ、深さに感嘆していました。ポルトガル語による原書の発売から5年

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