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私が飛び込んだ『CAE』という世界

今回は私の仕事について書きたいと思います。前に何度か仕事の話を書いていますが、今回は改良版という位置付けです。

それでは、早速書いていきたいと思います。

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『CAE』という未知の業界

私は『CAE:Computer Aided Engineering』を生業としています。専門性が強いため、ほとんどの人が初めて聞く業界だと思います。

既に自己紹介でも書いていますが、私は工業高等専門学校(高専)という特殊な学校に在籍していました(専攻科課程2年間を含めて計7年間)。そして、5年目の卒業研究で初めてこの業界を知りました。

もともと実験が苦手で、数学や物理学が得意だったこともあり、新たにこの世界と関わることに。

そこから現在の仕事までを通算して、もう十数年の付き合いになります。学生時代の研究と仕事ではスタンスがまるで違いますが、今なお学生時代に習得した専門性を十分に生かしています。

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『CAE』について

そもそも『CAE』とは、機械設計のプロセスにおいてコンピューターによる数値解析技術を活用すること。製品設計の過程で行われる実験や試験を、コンピューター上で再現することだと書くと伝わるでしょうか。

具体的には、物理現象を対象としたコンピューターシミュレーションのことを指します。ソフトウェアごとに得意とする分野は異なりますが、基本的には力学に留まらず、流体・伝熱・電磁場など、多種多様な物理現象に適用できます。

なぜ、CAEが必要とされているのか。CAEを導入することで、次のようなメリットを受けられるからです。

1.不具合の原因解明
製品に不具合があることで、時には人命に関わる重大な事故を引き起こすことがあります。CAEを利用して製品の材質や形状などを設定し、シミュレーションを行うことで、不具合を引き起こした原因を解明する手助けとなります。

2.材料試験データを用いて製品の性能を予測
材料の強度や疲労寿命に関するデータがあれば、製品設計で仕様や形状が決められた段階で、製品の強度や寿命を予測できます。製品を試作する代わりに、様々な設計検証を事前に行うことができます。

3.実験ができない代わりにCAEで検証
車体の乗員安全試験など生身の人体を介在するような場合は、試験を行うこと自体が困難です。CAEを導入することで、現実的に不可能だった実験を行い、検証を進めることができます。

つまり、設計・製造工程の効率化や新製品の事前評価ができるようになります特に、開発コストが大きい車の業界(車体設計)を中心に、製造業の分野で積極的に利用されています。

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研究を通じて数値解析技術を習得

CAEを実現するために必要不可欠な数値解析技術。その背景には、有限要素法に代表される様々な数値解析の理論があります。それらをソフトウェアとして実装し、世に売り出します。

私が高専の5年目で初めて勉強したのも有限要素法でした。有限要素法の理論は大学院で勉強する内容で、当時の私は担当教育の助けを得ながら、独学で有限要素法を習得しました。

有限要素法:微分方程式を近似的に解くための数値解析手法。連続した解析対象を微小な要素で構成される解析要素で分割して、連立方程式で近似します。各要素の数値解を求めることで、全体の挙動を予測します。

高専の研究では、軟鋼に見られる特有の材料特性をモデル化し、同特性が巨視的な変形挙動に及ぼす物理的な影響について検証しました。この辺の詳細は、また機会あれば書こうと思います。

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現在の仕事について

現在は有限要素法を実装したソフトウェアの品質管理の仕事をしています。ここで言う品質管理とは、様々な機能に対して期待通りの解析結果が得られるかテストすることです。

具体的には、会社で保有している多種多様な解析モデルを用いて、バージョンアップしたソフトウェアの機能テストを行います。データの量が膨大であるため、計算処理は自動化しており、その自動処理プロセスも自前で開発しています。

想定外の結果の場合は問題を分析しますが、ソフトウェアの不具合の他に、解析モデルに問題がある場合もあるので、その切り分けから調査します。この作業が大変ではあるのですが、終えたときの達成感もあるので、自分なりに日々格闘しています。

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おわりに

今回は私の仕事(業界)である『CAE』について紹介しました。

私は実験よりも解析の方が好きな学生でしたので、高専での有限要素法の出会いはまさに人生の分岐点だったように思います。

会社員として仕事する身なので、辛い思いをする時期もありました。現在は心身ともに安定していて、ようやく楽しさを見つけたような気がします。

これからもこの業界に身を置くことになりますが、引き続き頑張ろうと思います。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。なるべく毎日更新する気持ちで取り組んでいきます。あなたの人生の新たな1ページに添えたら嬉しいです。何卒よろしくお願いいたします。

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