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Physarum polycephalum

人間の固定観念を尽く無視するような存在で素敵。気になったので情報を茶々っと集めてみました。生物は面白いですね。

性別は720種類、脳がないのに学習 特異な生命体、パリ動物園で一般公開
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
界 : アメーボゾア Amoebozoa
門 : アメーバ動物門 Amoebozoa
亜門 : コノーサ亜門 Conosa
綱 : 変形菌綱 Myxomycetes
目 : モジホコリ目 Physarales
科 : モジホコリ科 Physaraceae
属 : モジホコリ属 Physarum
種 : モジホコリ P. polycephalum
学名:Physarum polycephalum
Schwein, 1822
和名:モジホコリ
英名:Many-Headed Slime.Grape-Cluster Slime
モジホコリ(Physarum polycephalum)はアメーボゾアに含まれる変形菌の一種。林床の落ち葉や朽ち木の表面など、日陰の冷涼で湿潤な環境を好む。巨大な多核体の単細胞生物で、モデル生物の一つとして様々な研究に利用されている。

特徴

モジホコリは原生生物でありながら、肉眼で観察することができる。典型的には黄色であり、菌類の胞子や細菌、その他の微生物などを捕食する。モジホコリは最も培養が容易な真核生物の一つであり、アメーバ運動や原形質流動といった細胞運動の研究においてモデル生物として利用されている。培養された細胞の面積は時に5m2以上にも達する[1]。

体制・生活環

モジホコリの栄養相は、原形質流動を行う活動的な変形体である。変形体は流動する原形質のネットワークと、その中に散在する多数の細胞核より成る。進行方向に対して前部ではシート状、後部では網目状の管構造が形成される。モジホコリが餌を探すのはこの状態である。餌を見つけると原形質で取り囲み、消化酵素を分泌してこれを消化・吸収する。

食事や移動の最中に環境の変化によって変形体が乾燥すると、モジホコリは皮体(sclerotium)と呼ばれる体制に変化する。皮体は休眠態として振舞う多核の構造で、長期間にわたって環境の変化に耐えることができる。再び好ましい環境になると、皮体は変形体となって餌を探す。

餌が尽きると変形体は摂食を止め、生殖のための相である子実体へ移行する。変形体から胞子嚢と柄が生じ、胞子嚢の中で減数分裂が起こって単相の胞子が形成される。モジホコリの胞子嚢は胞子が飛散しやすい構造になっており、胞子は風に乗って運ばれる。胞子には耐久性があり、そのままで何年も生存できる。環境が好転すると、胞子は発芽して鞭毛虫型もしくはアメーバ型の遊走子を生じる。これらの遊走子は互いに融合し、新たな変形体を形成する。

遊走子の融合は、性(接合型、交配型)が異なる細胞間で起こる。モジホコリでは接合型が複数あり、15の複対立遺伝子を持つ matA 遺伝子に支配されていることが知られている。また多くの生物においてミトコンドリアDNAは母性遺伝であるが、モジホコリにおけるミトコンドリアの遺伝の優先順位も matA の制御下にあり、これにより伝達の優先順位が決定されている[2]。

原形質流動

モジホコリの変形体の運動は変形体や小変形体(microplasmodium、変形体の一部が分離したもの)の形状により様々である。変形体はゲル状・皮質で流動性の低い外層(ectoplasm)と、流動性に富むゾル状の内層(endoplasm)より成る。アメーバ状の変形体は、外層を構成するアクチン繊維の収縮と弛緩によって運動する。この運動が変形体の各部に圧力勾配を生じ、内層のゾルを流動させる力となる。内層のゾルは "shuttle streaming" と呼ばれる運動をしている。これは前進と後退とを周期的に繰り返す往復原形質流動であり、約2分周期で逆転する。このような原形質の運動に伴い、細胞内の ATP やプロトン濃度も周期的に変動しており、変形体全体として様々な要素の振動が相互に影響し合う複雑系を構築している[3]。

知性

モジホコリは単細胞生物ながら、状況により様々な「知性」を示す。

迷路の解決

中垣らの研究グループは、モジホコリが迷路実験において餌までの最短経路を発見する能力を備えている事を見出し、ネイチャー誌に報告した[4]。これはモジホコリを 30cm 四方の迷路に餌を用いて誘い込み、ゴールの餌を目指して迷路を解決させるものである。中垣らはこの論文において、モジホコリがある種の原始的な知能を備えていると結論している。

通常、モジホコリの変形体は管状の仮足を広げてネットワークを作り、到達可能な平面を充たす。しかし迷路内の離れた2点に餌を置くと、変形体はその2点間を結ぶ経路に原形質を集約する。これは少ない原形質で効率良く餌を得るための戦略であると考えられている。このような挙動が2点間の最短経路を選択させ、効率的に迷路を解くことになる。

――研究によると、単細胞生物の粘菌(変形菌)は、ある種の“記憶”を活用している可能性があるという。 オーストラリア、シドニー大学の研究チームが粘菌の一種モジホコリ、学名:フィサルム・ポリセファルム(Physarum polycephalum)を用いて実験を行っていたところ、一度たどった移動経路を避けるパターンに気が付いた。研究チームは、一種の“外化空間記憶”を利用して移動しているのではないかと考えた。

研究チームの一員で同大学の生物学者クリス・リード(Chris Reid)氏は、「モジホコリが移動すると、ネバネバした粘液の痕跡が残る。後でこれを検知することで、“既に通ったことがある場所”を認識できるようになっている」と話す。

この仮説を検証するため研究チームは、ペトリ皿にU字型の障害物を置き、その手前にモジホコリを配置した。障害物の向こう側にあるエサに向かって一度は直進するが、障害物は越えられない。手前に戻ってきたモジホコリは、自分の痕跡を避けて障害物を回り込み始める。制限時間の120時間以内に、実にサンプルの96%が糖分まで移動することができた。

しかし、ペトリ皿のゲルの表面に先に粘液を塗っておくと、モジホコリは自分の痕跡を識別できない。制限時間までにゴールにたどり着いたのはわずか3分の1だけになり、元の場所に戻るのも10倍の時間がかかった。

モジホコリには、ほかの粘菌種が残した痕跡を認識して反応する能力もあるという。

リード氏は、「自分のフェロモンを残して、食物への移動経路を示すアリと似ている。原始的生物は外化空間記憶を活用して、私たちの脳が今日直面している問題と同種の問題を解いている可能性がある。記憶の進化の出発点だ」と話す。

「これまでの研究で、モジホコリが迷路を解いたり、周期的事象を予測したりできると判明している。このような点をすべて踏まえて、新たな“知的生命体”の仲間を歓迎したいと思う」。

この研究成果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌オンライン版に2012年10月8日付けで掲載された。

環境予測

中垣らはまたモジホコリの周囲の環境を変化させて変形体の挙動を観察した。寒天培地上を動く変形体に対し、毎時最初の10分間だけ低温や乾燥によりストレスを与えた。ストレスを与えている間、変形体は動作が鈍る。このようなストレス付与を3回行った後でこれを止め、変形体がパターンを学習したかどうかを観察した。すると、多くの細胞は再び来るであろうストレスを予測し、60分毎に運動を減縮した。しばらく安定な環境に変形体を置くと、細胞は動作の減縮をしないようになったが、再びストレスを与えると60分ごとの挙動の変化が再度見られるようになった。動作間隔は60分に限らず、30分から90分の間で任意に学習させることができるという[5]。

粘菌コンピュータ

ブリストルにあるウエスト・オブ・イングランド大学(University of the West of England)の Adamatzky は、光と餌を使ってモジホコリの挙動を正確に制御できるとの考えを示した。モジホコリの変形体は同じ刺激に対しては同じように振舞うことから、生体コンピュータの材料として理想的な生物であると述べている(→粘菌コンピュータ)[6][7]。

脚注・参考文献

1)Hausmann, Hulsmann, Radek. p29
2)Moriyama Y, Kawano S (2003). “Rapid, selective digestion of mitochondrial DNA in accordance with the matA Hierarchy of multiallelic mating-types in the mitochondrial inheritance of Physarum polycephalum.”. Genetics 164 (3): 963-75. PMID 12871907
3)Nakagaki T, Yamada H, Ueda T (1999). “Modulation of cellular rhythm and photoavoidance by oscillatory irradiation in the Physarum plasmodium.”. Biophys Chem. 82: 23-8.
4)Nakagaki T, Yamada H, Tóth A (2000). “Intelligence: Maze-solving by an amoeboid organism”. Nature 407: 470. doi:10.1038/35035159.
5)Barone Jennifer (2008年12月9日). “Top 100 Stories of 2008 #71: Slime Molds Show Surprising Degree of Intelligence”. Discover Magazine. 2009年3月4日閲覧。
6)Andrew Adamatzky (2008年8月6日). “Steering plasmodium with light: Dynamical programming of Physarum machine”. arXiv. 2009年8月10日閲覧。
7)世界初の菌類を使った生物ロボットの開発 - MAKE: Japan
● Gawlitta W, Wolf KV, Hoffmann HU, Stockem W. (1980). “Studies on microplasmodia of Physarum polycephalum. I. Classification and locomotive behavior.”. Cell Tissue Res. 209 (1): 71-86.
● Hausmann K, Hulsmann N, Radek R (2003). Protistology (3rd ed.). Stuttgart: E. Schweizerbart'sche Verlagsbuchhandlung. ISBN 3-510-65208-8.
● 中垣俊之、山田裕康 「粘菌の収縮リズムと数理モデル」 数理解析研究所講究録、1167、p65-8、2000年。 
● 中垣俊之、小林亮 「粘菌変形体の流路ネットワークの形態形成」 数理解析研究所講究録、1305、p1-7、2003年。 
――Wikipedia

母性遺伝

細胞核内の染色体上にある遺伝子は、メンデルの法則に従って生殖細胞を通じて子孫に伝えられる。また母親の細胞の細胞質は卵を通じて子に伝わる。しかし父親の細胞の細胞質は、受精の際、精子の核のみが卵に入り、子には伝わらない。

核内の遺伝子によって産生された物質が細胞質に貯えられ、それが母親の卵を通じて子に伝わり、子の形質として現れてくるものが知られている。このような遺伝を母性遺伝 (maternal inheritance) という。母性遺伝の例としては、カイコの卵の越年性 (正常卵) と不越年性 (褐色卵) があり、越年性 (遺伝子型++) は不越年性 (bw/bw) に対して優性であるが、F1の卵は父親の越年性、不越年性に関係なく、母親のもっている遺伝子型によって支配される。つまり母親のもっている遺伝子型が次世代の卵の細胞質を通じて発現される現象である。——「基礎遺伝学」(黒田行昭著;近代遺伝学の流れ)裳華房(1995)

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