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作品紹介 河野裕「いなくなれ、群青」

どうも、みなさんお久しぶりです。アリーです。

自己紹介でも少し触れていました、僕の愛してやまない作品たちを紹介していきたいと思います。

今回は、河野裕さんの「いなくなれ、群青」。この作品を含む6冊から成る階段島シリーズを紹介していきます。

河野裕さんって誰?って人もいると思うので紹介すると、サクラダリセットの人です。河野裕と言うとわからないけれどサクラダリセットは知っている、という人は多いんじゃないでしょうか。(ちなみに僕はサクラダリセットは未読です笑)

階段島シリーズは、僕が自信をもって「一番好きだ。」と言い切れる作品です。僕を構成する一要素と言ってもいいかもしれません。それぐらいに僕はこの作品に影響を受けました。もうね、衝撃ですよ。笑 こんなにおもしろい物語があるのかと、圧倒されたのをよく覚えています。僕が小説を書き始めたのも、この作品みたいに素敵な小説が書きたいと思ったからです。

このブログをやり始めたのも、半分くらいはこの作品を紹介したかったからかもしれません。笑 この記事を見てくれた皆さんにもぜひ手に取ってもらいたいので、精一杯魅力を伝えたいと思います。

まず、階段島シリーズが「どんな人におすすめか」書いておきたいと思います。それはずばり、きれいな話が好きな人です。細かい描写であったり、登場人物の言葉遣いであったり。河野裕さんの作品はきれいで素朴な、いい意味で非現実的な世界を表現しています。ともすれば、絵本を思い浮かべるような素敵な世界観が好きな方におすすめしたいです。といっても、単純にストーリーがおもしろいのでみんなに読んでもらいたいというのが本音です。

では、いよいよ階段島シリーズの紹介に入ります。河野裕さんの作品はとにかく「世界観」が抜群にいいです。世界観がいい。と言われてもよくわかりませんよね。古人は言ったそうです。百聞は一見に如かず云々。ということで、独断と偏見により僕のいいなと思ったところを引用しようと思います。

 一〇〇万回生きた猫は移動こそが幸福の本質だと語った。でも僕は安定した停滞が嫌いじゃない。それは幸福からは遠い場所にあるかもしれないけれど、同時に不幸からも遠い場所にある。不幸じゃなければ、幸福だと言い張ることだってできる。 この島は少なくとも今のところ、安定した停滞の中にある。だから僕は階段島の真実なんてものを求めはしない。そのつもりだった。 僕の奇妙だけれど安定した日常が崩れたのは、一一月一九日の、午前六時四十二分だった。そろそろ冬になるころの夜が明けたすぐ後、吐く息が初めて白くなった朝に彼女の顔を見たとたん何もかもが大きく動き出すのを感じた。それは望まない変化だった。 真辺由宇。 この物語はどうしようもなく、彼女に出会った時から始まる。

どうでしょうか。一〇〇万回生きた猫というのは友人の名前です。彼は友人と話すとき、その友人の好きな本の名前を名乗ります。七草(主人公)が「一〇〇万回生きた猫が好きだ」と答えたから、彼は七草の前では一〇〇万回生きた猫になりました。不思議な登場人物ですね。僕も初めて読んだときは困惑しました。笑 他にも様々な個性を持つ登場人物がたくさん出てきます。それぞれが物語を持ち、階段島に来ています。彼ら一人一人の物語にも注目してみてくださいね。

階段島は謎に包まれた島です。わかっていることは「捨てられた人々の島」だということ。階段島は魔女に支配された島だということ。しかし、暮らしていくのに不自由はなく、至って穏やかなこと。階段島を出るには自分が捨てたものを見つけなければならないこと。繊細に作りこまれた世界観と、スマートな主人公、真辺由宇の存在、すべてのピースが融合した心地のいい物語になっています。

僕が思うに、階段島シリーズはやさしさの物語です。そして、この物語はどうしようもなく真辺由宇を中心に動きだします。真辺はまるで弾丸のような女の子で、空気を読むなんて器用なことができる子ではありませんでした。悪事を見ると飛んでいって問題を起こす。七草が飽きれながら問題を解決する。二人は互いを補完しあう最高の相棒でした。そして、七草にとって真辺は唯一無二のピストルスターでもありました。そんな彼女が階段島にいる。七草にはそんなことを許せるわけもないのです。(七草にもいろいろな想いがあるんですよね笑)

読み始めはよくわらないこともあると思います。けれど、最後、物語を読み終わった時の何とも言えない充実感は計り知れないものがあると思います。ぜひ、シリーズ初作の「いなくなれ、群青」だけでも試しに読んでもらえればうれしいです。

今回は僕の大好きな河野裕さんの階段島シリーズを紹介しました。河野裕さんの魅力がみなさんにうまく伝わったことを祈るばかりです。笑 ネタバレをしないように魅力を伝えるのは思ったよりも難しいですね。もっとうまく紹介できればよかったのですが……。まあ、初めてなので及第点といったところでしょう。(そういうことにしておきます笑)

というわけで、今日の記事はこんなところで終わりたいと思います。今後も一週間に一回くらいのペースで記事をあげていこうと考えているので、気になった方はチェックしてみてください。拙い記事でしたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。

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