FOMCレビュー 2023年末まで現状の低金利を維持

■ FOMCは「当面は緩やかに2%を超える物価上昇を目指す」と声明に明記した

■ 参加者の政策金利見通しは、2023年末まで現状の低水準の維持を示唆

 9月15、16日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策据え置きを決定。「米国経済を支えるためにあらゆる手段を尽くす」との米連邦準備理事会(FRB)の姿勢は不変であることを引き続き表明した。また、8月27日に公表された、物価が目標の2%を超えることを容認する新たな政策指針に従い、「物価上昇率が平均で2%となるよう、当面は緩やかに2%を超える水準の達成を目指す」と声明文に明記した。

 新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた経済は、「ここ数カ月で持ち直してきたが、年初の水準は依然下回る」、「今後の経済の道筋はウイルスに大きく左右される」との認識は前回の声明文と変わりない。ただ、市場が注目していたFOMC参加者の経済・物価見通しでは、今年の成長率見通しが6月時点のマイナス6.5%からマイナス3.7%へ、失業率見通しも9.3%から7.6%へ上方修正された。パウエルFRB議長は会見で、回復は予想していたよりも早く進んでいる、と修正の理由を説明する一方、3月と4月に失われた2200万の雇用のうち半分しか戻しておらず、職種や人種で雇用回復にばらつきがあることを指摘。先行きはウイルスの制御と政府の支援にかかっていると強調した。こうしたなか、物価見通しは目標の2%に到達するのは2023年とし、政策金利見通し(中央値)は2023年末まで現状の低金利維持を示した。

 今回のFOMCへの市場の反応はまちまちとなった。執筆時点では、円高とユーロ安が同時進行するなどドル全面安の流れにはなっていない。FRBは低金利の長期化を示唆する一方、追加緩和の必要性が差し迫っているとは考えていないことも示され、ドル円については円高ドル安が進み、7月FOMC後に付けて以来の104円台後半へ値を下げた。菅新内閣はアベノミクス継承を謳っている以上、極端な円高は回避するとみられ、ドル円は7月31日安値104円17銭辺りでは下げ渋ると予想する。一方、米追加財政政策の協議膠着の悪影響が米個人消費などに出始めており、当面の上値は50日移動平均線106円16銭辺りと考えている。

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