ADHDが転職して1年経過して変わったこと

6年働いた会社を辞めて転職してから早1年が経過しました。ちょくちょくと「転職してよかった~」ということはTwitterでつぶやいてきたのですが、改めて転職したメリット・デメリットと転職活動のコツについて振り返っていきたいと思います。

転職前と後の仕事の違い。よかったこと。

転職前も後も、職種としては「営業職」です。前職では、営業の中でも『本部営業』、つまり営業施策を考えたり、支社同士で取引がある会社の本社同士でのお付き合い・政治調整を行うブレーンの役割でした。そのため内勤や事務処理の多い部署で、現場に出る機会は少なかったです。
一方、現在の仕事は『現場営業』です。年の半分近く出張に出ていて商談や納品に追われています。

結論から言うとこの転職自体は『正解』だったのですが、なぜそう思うかを挙げていきます。

①事務処理が減った
事務処理自体を営業事務チームにお願いしているので格段に減りました。外部業者と社内の別部署の調整をする機会もほとんどないですし、ルーチンワークも減っています。それに支社のメンバーのスケジュールや売上を管理する必要もありません。自分のことだけに注力すればよいのです。不注意優勢・ルーチン嫌い先延ばし癖のある私にとっては負担が激減していると言えます。
もちろん、自分のスケジュールや商談管理、ルーチン事務処理なんかはあるのですが、元々他人の分までやっていたことなのであまり苦戦していません。

②時間の使い方が一任されておりマイペースに仕事ができる
週の半分くらいは地方巡業をしているのですが、決められたアポ以外の時間の使い方は自由です。なんとお昼寝の時間を作ったりしています(!)
※移動は基本車なので、1日400kmくらい運転するのである意味必須。
※上司は自由主義なので、適宜休憩を取ることはOKとしてくれています。
メリハリをつけて自由に働けることも私にとってはプラスでした。

③発想力を活かせる
元々の仕事は営業施策を考える役割だったので、企画や広告なんかもやっていて、私はその仕事が一番好きでした。今の仕事は現場仕事ではありますが、一部コンサル的な要素もあるのでお客様毎に色んな企画を作って提案することができていて楽しいです。他にも、営業施策に意見をさせてもらったり、担当者の発案で新しい営業施策がスタートしたりすることがあるので、自分の発想力や企画力を遺憾なく発揮できている部分もかなり楽しいです。

④職場の人がみんな精神的に大人で気が合う
前の会社では、いわゆる他部署のお局様にチクチクされることもあったり、噂好きの人が多かったので色々好き勝手噂を流されたりしていました。(私に限らず大体の人が同じ...)
今の会社は、いい意味で個人主義なので、人の短所があっても『あくまで短所』として笑い話にするくらいで噂されたりそれが仕事に響くことがまったくありません。仕事上で喧嘩している人達も、普段は仲良しです。トラブルがあっても【人間だからそういうところもある、お互い様である】という認識の上で人間関係が成り立っているのを感じます。
一番驚いたのは、出る杭が打たれないことです。妬みや僻みと無縁のチーム。仕事でいいアイデアを出したりいいプレーをしたりすると、皆が惜しみなく褒めてくれます。成功すると一緒に喜んでくれ、失敗すると一緒に悔しがってくれたり怒ってくれたり。結果的に私もメンバーの成功や良いところをたくさん褒めたくなって、自分の感情が素直になって来たことを実感しています。

⑤健康になった
健康診断の結果が良くなりました。笑
例年あった再検査、要経過観察がすべて消え、本年の健康診断はオールAです。

上記のような感じで、コンサータを飲まずに仕事ができているだけではなく、メンタルのお薬を現在一切飲んでいません。心身ともに健康です

転職したデメリット

正直あまり思いつきません。強いて言うのなら、年収が下がったこと、会社が家から少し遠くなったこと、出張ばかりなのでまったく自炊できなくなったことの3つですが、メリットが大きすぎて私の中ではあまり問題になっていません。
あとは、どちらかと言うとベンチャー気質で、まだ事業が完全に波に乗っているわけではないので、解散の危機と常に隣り合わせであることくらいかなと思います。(これについては後述)

どうして転職で成功できたのか

割と諸手を挙げて「成功!」と叫べるような転職になりましたが、なぜ上手く行ったのかについて少しお話したいと思います。これはTwitterのリプライやDMなどでも度々質問いただいていたので、まとめての回答となりますが参考にしていただけると幸いです。

①自分の得意・不得意の自覚を正しくできていた
メリットの所でも述べましたが、自分が得意なこと、不得意なことの分析がきちんとできていたことがポイントだと思います。

よく言われる、Want(やりたいこと)、Can(できること)、Must(社会から求められること)が明確にわかっています。これを整理するためには、自己評価だけではなく他人からの評価も受け止めてることが肝要です。

例えば、私は営業の仕事自体は好きではありません。向いているとも思っていません。Wantの中に「営業」という仕事は入っていないんです。でも、常々上司やお客様からは、「営業」が向いている、という評価をいただいてきました。これはCanでありMustにあてはまります。

キャリアを考えるための3つの要素

上記の図のピンクの部分の面積が大きいほど適職と言われています。
「営業」は確かに私のWantではないのですが、その中でも例えば化粧品や電化製品や広告枠を売るなどの仕事には輪をかけて興味がありません。でも、コンサルでお客様のやりたいことを形にするお手伝いには魅力を感じます。
だから最終的には、私にとっての最低限のWantとCanとMustは比較的面積が大きく重なっていたということです。

このように、自己評価と他己評価が解離していても適職であるケースもあります。だから、「自分がどうしたいのか」と同じくらい「他人からどう思われているか」も大切な指標です。転職を考えている方は、客観性を少しずつ大きくしていくのが大切だと思います。

そして転職した時の決め手の1つに、「事務仕事は営業事務に丸投げできる」という点もありました。得意なこと、できることを極めるのと同時に、苦手なことをどこまで排除できるかも考えていました。
前職時代に自分が精神的にダメになっていくときは決まって苦手なタスクが詰みあがっていったときだったからです。

②精神的な成長
これ、とっても大事だと思います。以前の私はとても卑屈でプライドが高く、自罰的なのにどこか原因他人論的なところもありました。それで毎日余計なことで傷ついたり、その責任を他人に転嫁することで心を落ち着けようとしたり、泥沼の真ん中を溺れながら「世界で一番私が不幸!」と思っていたようなところがあります。
でもそのままではずっと不幸なままです。泥沼の真ん中で「足がつかない」と騒ぐなら岸まで移動すればいいのに、「岸辺はもっと深いかも」などと余計なことを考えて動こうとしていなかったんです。でも岸に向かって移動してみると、ちゃんと足がついた。それがこの転職です。もちろん途中、真ん中より深いところだってありましたが、岸に上がってしまえば溺れないと信じて進んでいきました。

ちょっと抽象的でわかりづらかったかもしれません。要は自分自身の精神的な成長ということです。『類は友を呼ぶ』という言葉がありますが、卑屈でプライドの高い私が、噂好きで他人を妬む人が多かった前の会社にいたのは必然だったのかもしれません。
そうありたくない、と思って、卑屈さやプライドの高さを手放して転職した先にはちゃんと居心地のいい場所がありました。結果論かもしれませんが、やっぱり環境に不満があるのであれば、その環境を変えるためにまず自分が変わることが必須だと思っています。
もし私が卑屈でプライドが高いままだったら、今の会社でも結局みんなから煙たがられたり、一方的に迷惑をかけたりして、仲良くなれないですものね。

環境を変えれば何もかも上手く行くわけではない

ADHDやメンタル的な意味で言うと、環境を変えれば上手くハマるケースというのは往々にしてあり得ると思います。でもどこに行っても結局起こる問題って同じです。嫌な人はどこにでもいるし、自分の嫌いな仕事が全くない職場なんて相当レアです。レアケースを引き当てるために環境を変えるのは私はお勧めしません。
もちろん、今いる場所があまりにもひどい場合は、まずは抜け出して環境を変えるのは1つの手です。避難所みたいなものだと思います。でも避難先が住み心地が良くずっと避難所で暮らすことってないと思います。だから、自分に合った環境を探すために避難先で自分のコンディションを整えるのはほぼ必須です。だから、暗に「自分に合った転職先」を探すというよりは、自分が適応できる範囲を広めながら、そこに重なる面積の広い職場を探していく、ということが大事かなあと思います。

私の転職活動は、そうやって努力も沢山してきたのですが、それでもなお「運がよかった」と思います。でも私は頑張っている人の所に「運」はついてくる論者なので、悩んで適切な努力ができている人の所には必ず「運」が巡ってきます。だから今悩んでいる人たちには、諦めずに1つずつ自分と向き合って、時にうろうろ寄り道しながらも良い環境に巡り合えることを信じてほしいなと思います。

そんなこんなで、私はもし今のチームが解散したとしても、また良い縁に巡り合えると信じているので、これもデメリットとは思っていないわけです。
自分の掘り下げも完了したと思っていません。今も日々新しい自分の悪癖やいいところを発見しています。もっともっと自己研鑽して、定年を迎えるころには「仕事を辞めたくない!」と思えるくらい楽しい仕事をしていたいです。

おしまい。
何か疑問や質問があればぜひコメントやTwitterでご連絡ください。お答えできる範囲で、回答しますので参考にしていただければ幸いです。

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