小説・成熟までの呟き 31歳・1

題名:「31歳・1」
 2021年春、美穂が31歳になった後に親友の結衣が男児を出産した。他人の出産に立ち会ったのは初めてで、とても嬉しかった。その頃の結衣は、結婚してからと変わらない耳が隠れるぐらいの茶髪のショートヘアだった。もはや、黒髪のロングヘアだった頃が懐かしい。そんな美穂は、結衣と会話をした。「結衣はさ、髪が短いと少し伸びただけでも鬱陶しくなったりする?ほら、美容室とか行けないからさ。」「私、自分でセルフカットできるから平気だよ。」「結衣って器用だね!凄い!!」「ありがとう。私は20代までずっと髪が長い期間だったんだ。それは長い方がよく見られると思っていて・・。一方で、自分の性格に強い面があるのにそれを外に出せない点に不満があったんだ。でも結婚を機に、誰かと一緒に生活するようになってそんな誰かに見られるなんて気にする必要なんて無くなったから自分の欲のままによる髪型にしたいと思ったんだ。だから今の髪型が私の性格に最も合っているかもしれない。それに短い髪だとシャンプーが楽だからね。」「そうかあ。出会った頃は私の方が髪が短くて、結衣は弱そうだから私が守ってあげなきゃって思ってたんだけどね。ごめん。勘違いしてた。」「ううん、いいよ。どんな状況でも互いに心を通わせられるのが友情だと思うから!」「ありがとう。これからもよろしくね。」というやり取りが行われた。美穂と結衣の関係は、どちらも母になったということもあり一層濃くなっていった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?