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コトラーのH2Hマーケティング 人間中心マーケティングの理論と実践

「コトラーのH2Hマーケティング」人間中心マーケティングの理論と実践(フィリップ・コトラー、ヴァルデマール・ファルチ、ウーヴェ・シュポンホルツ 著)

第1章 マーケティングの現状
第2章 新たなマーケティング・パラダイム――H2Hマーケティング
第3章 H2Hマインドセット――H2Hマーケティングの基盤
第4章 H2Hマネジメント――信用とブランドを重視する
第5章 H2Hプロセス――オペレーティブ・マーケティングを再考する
第6章 この難しい世界の中で

■H2H(Human to Human )マーケティング
・マーケティングは人と対立する活動ではなく、人のための活動であるべき
・信用なく人間である顧客との関係を構築することはできない
・顧客と価値を共創し自社が提供する価値を適切に伝える

■現状
・マーケティングは市場志向性(市場ニーズ)と資源志向性(技術発展による変革)のバランスが必要
・商品重視から経験重視へ
・成長の再定義(財務だけでなく社会や個人の成長など)
・個人の購入決定のfファクター(Family、Friend、Fan、Follower)
・社会の持続可能性が必要に
・消費者ニーズは所有からアクセスへ
→情報環境が変われば見えるもの、測定できるもの、操作できるものが変わり、企業と消費者との関係性が変わり、価値観も変わる。そしてマーケティングの姿も変わる

■H2Hマーケティングモデルの3つの概念と3つの実装レイヤー
1:デザイン思考
2:サービスドミナントロジック
3:デジタライゼーション
4:H2Hマインドセット(企業指針、企業文化)
5:H2Hマネジメント(戦略立案)
6:H2Hプロセス(実務)
→マインドセットは志、マネジメントは頭脳、プロセスは身体

■1:デザイン思考
・デザイナーの感性と手法で人々のニーズと使用可能な技術をマッチさせ、顧客価値や市場機会に変換するもの。
・定義は「人々が生活の中で何を欲し、何を必要とするか」「製造、包装、マーケティング、販売などについて何を好み嫌うか」この2項目について直接観察し、理解しそれによってイノベーションに活力を与えるもの。

・デザイン思考は、イノベーションへのアプローチを改善し、新商品サービス、ビジネスモデルなど顧客体験を向上させるための人間中心のソリューションを産むことを目的としている。
・デザイン思考は、複雑な問題を解決するための人間中心のアプローチ。このアプローチは形やレイアウトなどの視点を超えてユーザーのニーズや志向性がそのプロセスの中心となる。そしてデザインがデザインの文脈を超えて学術的なデザイン経験のない人と共に使われる思考モード。

「哲学、文化としてのデザイン思考」:共感力、統合的な思考力、楽観的、実験的、協働力
「方法論としてのデザイン思考」:理解、観察、視点の定義、アイデア出し、プロトタイプ、テスト

■2:サービスドミナントロジック(S-DL)
顧客はモノやサービスを買っているのではなく、価値を創造するサービス提供を買っている。モノもサービスを提供する媒体である。

・SーDLの基本前提
1経済的な交換の基礎はサービス
2間接的な交換(スキルとスキルの交換)
3モノはサービス提供の流通手段
4オペラント資源(スキル、知識)が戦略優位性
5全ての経済はサービス経済
6価値は複数の事業者に共創される
7事業者は価値を提供することはできないがバリュープロポジションの提供は可能
8サービス中心の考え方は受益者志向で関係的である
9資源を統合しサービスへ変換する
10価値は受益者によって決定される
11価値の共創は事業者の取り決めにより調整される

■3:デジタライゼーション
・デジタルデータの基盤構築、情報通信の相互接続、商品やサービスの相互接続の3段階で発展
・IoT(モノのインターネット)、人のインターネット(ソーシャルネットワーク)、データのインターネット(クラウド)
・パーソナライズ化
・商品サービスの有形から無形化

■4:H2Hマインドセット
・マインドセットとは、人間の行動を引き起こす思考ロジック。環境もその決定要素になる。理解や解釈に繋がる心の態度。
・カスタマーベースドビュー(CBV):顧客ベース理論(CBVでは、資源やスキルが顧客に認識可能な価値提供である場合、競争を必要としない経済利益になる。)
・人間中心(顧客満足度が企業価値を高める前提)
・サービス志向性(S-DLに沿ったサービス志向)(イノベーションは企業の生産物で定義されるモノではなく、企業のサービスで定義される)

■5:H2Hマネジメント
信用管理とブランド管理
・信用マネジメントは「経験上と信用」と「評判上の信用」の2つのみ管理できる
・カスタマーエクスペリエンスマネジメントによる信用の最適化(タッチポイントでのやり取りから得たあらゆる体験の累積的な認識・記憶)
・オンライン、オフライン、カスタマージャーニー

・ブランド:機能的メリットの集合体であり、競合と持続的に差別化できるよう設計されたもの
 1ブランドアイデンティティ:サプライヤーの視点
 2ブランドイメージ:顧客の視点

・カスタマージャーニーによる範囲では、自分自身の影響範囲になるとブランドの直接コントロールはできない。外的影響範囲ではブランド力が有効。
・ブランドフォーマティブデザイン(BFD):ブランドを形成するデザイン。デザインにより差別化をもたらす

■6:H2Hプロセス
古典的には4P。4C、SIVA、5C、5Eなどのモデル
・4C:Consumer needs&wants、Cost、Convenience、Communication、
・SIVA:Solution、Information、Value、Access
・5C:コミュニケーション、チャネル、コスト、顧客へのソリューション、コミュニティ
・5E:Exchange(知の交換)、Extent(チャネルの増加)、Engage(ブランドの信頼)、Expand(価値の拡張)、Evolve(ソリューションの進化)
・課題の発見:ネトノグラフィ、エスノグラフィ、ビッグデータ分析、トレンド
・バリュープロポジションの開発
・エクスペリエンス(カスタマージャーニー全体の顧客体験)のデザイン
・コンテンツマーケティング
・オムニチャネル統合
・ZMOT:思いついて検索する瞬間が大事
ジーモット(ZMOT)は消費者が購買行動を決める瞬間に関する行動心理モデル。インターネットを使った情報収集が一般的になったことによって、店頭に行く前から商品・サービス、ブランドと消費者との交流が発生している。

・FMOT:購買(顧客は店頭でどの商品を買うか判断しその場で決定する」)
・SMOT:使用(顧客は購入した商品を家に持ち帰り、実際に商品を使用することで、商品の良し悪しを判断し、その商品を継続的に購入するか決める)

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