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わたしが30歳からFemTech事業をはじめる理由

26歳後半、そして27歳のわたしにはプライベートと仕事で大きな変化があった。

- 愛する人と婚約をし、結婚をした。そして、子会社社長に抜擢された。

端的に言うとこうだ。女性が活躍する現代社会において、わたしが結婚した年齢をもしかしたら早いと思う人もいるかもしれない。
26歳までに生涯を共にする相手を見つけ婚約、27歳で結婚すること、そしてキャリアアップ。全てわたしの理想通りだった。

正直なところ、新卒から26歳までは、仕事も自分磨きも頑張ることが生きがいだった。特に「昨日より可愛くなる」ということは、わたしにとって働くこと、そして生きることのモチベーションだったのだ。
だから、可愛くなる情報を発信する女性向けWebメディア運営という業種は、「“好き”を仕事にするってこういうこと!まさに天職だ」と思っていた。

わたしがFemTech領域に挑むことになったのは、26歳後半で結婚が決まり、産婦人科でブライダルチェックをしてもらったところから始まる。

産婦人科には、生理不順だった高校3年生の頃から毎月通っていた。結婚するからブライダルチェックしよう!くらいの感覚で受けたのだが、後日医師に結果を聞きにくと、

「あなた、これじゃあ子ども産まれませんよ。婚姻関係にある方はいますか?そう、入籍前ですか。では、専門のクリニックも紹介できません。いまできることはありません。」

と言われたのだ。

あまりに突然で衝撃的な事実に、頭が真っ白になった。約10年、毎月産婦人科に通っているから安心していたが、目の前の医師曰くわたしは絶望的な状況らしい。びっくりして診察室でわんわん泣いた。号泣しながら渋谷の宮益坂にある病院から道玄坂のオフィスまで歩いた。

土曜日だったが一旦仕事をして冷静になろうと、いつもの席に座ってPCを開き仕事をするのだが、涙が止まらなくて画面が見えない。

神様は不公平だ。いつもわたしに普通の幸せを与えてくれない。

このまま生きている意味があるのだろうか?と、悲劇のヒロインモードに浸ること3時間。
現代の治療技術は進歩しているから、きっと何か手立てがあるはずだ。あの先生は「子どもが産まれない」とかなり極端な表現をしたけれど、セカンドオピニオンを受けよう!とポジティブモードに切り替わる。
Webメディアを運営しているだけあって、検索力には長けている。あらゆるキーワードで解決策を導こうとググりまくった。

しかしびっくりすることに、情報が乏しかった。ブログや掲示板で少数の方の経験情報がちらほらある程度。

その時もまた自分を悔やんだ。わたしはこれまで2年間可愛くなる情報を自社のWebメディアでたくさん配信してきたが、女性の未来に繋がる肝心な情報は発信できていなかったんだ、と。

結局、唯一誇れるといっても過言ではない検索スキルで、信頼できる専門クリニックを見つけ出すことができ、速攻で電話予約し受診した。

「あまりにも雑な判定でしたね。あなたはまだ若いですしいろんな要因が関係していると思うので、子どもが産まれないと断言できる状態ではありません。まずは、初歩的な治療から段階を踏んで様子みていきましょう。」

わたしの症状を専門とする病院の医師は優しい言葉を投げかけてくれたが、同時に同じ症状の人ですぐ子どもを授かる人もいれば、10年も治療に費やす人もいることを教えてくれて、自分じゃどうしようもない未来にまた絶望を感じたのも本音だ。ここから予測不可能な長い闘いが始まったのだ。

後悔も含めて自分の人生にプラスになると信じているので悔やまない主義なのだが、しばらくは後悔の沼から抜けられなかった。

最大の救いは、旦那さんが理解してくれ、あたたかくサポートしてくれること。
お互い仕事が忙しくすぐに子どもを迎え入れる状況ではなかったが、とりあえずわたしは「いつか」の可能性を失わないために今できることを全力でしようと産婦人科に通ってみることにした。

初歩的とは言えども、一般的な治療よりもハードな治療をせねばならなかった。遠くの病院に週1回、待ち時間も含め4時間程度かかり診察してもらい、毎日お腹に注射をしたり、採卵をしたりする。はじめの2年間は月最低20万円以上、高額な時は60万円程度のお金を費やした。
正直いくら仕事で稼いでいてもかなり高い治療費だと思う。しかし、お金に換えられない価値がある。習慣化すると怖いもので、お薬代だけの会計で1万円程度の週は、今回のお会計は安いなと思えるほどにまでなった。

このような背景から、わたしは26歳後半から可愛くなりたいと思わなくなった。それよりも、いつか望む時にきちんと子を産める体調にしておきたいと心から思った。もっと早く気づきたかったし、誰かに教えて欲しかった。
10年間も産婦人科に通っていたのに、自ら希望してブライダルチェックをしなければわからなかったから。

つい最近まで社長だった会社では、独身女性向けメディアとママ向けメディアを運営している。
どちらも強く自立した、幸せキラキラなメディアを運営しているから、わたしも対外的にはいつだって強くキラキラしなきゃいけないと自分を奮い立たせていた。
しかし、29歳のわたしはどちらのターゲットでもなく、きっとどこかで苦しかった。

30歳目前、今後のキャリアをどうするか考えた時に、改めて自分が熱中できる世界観を作りたいと思った。
時間もお金も費やしたことってなんだろう?と振り返ってみた結果、直視していなかった、誰にも語ったことのなかったこの3年間の絶望経験が誰かの未来を幸せにするんじゃないかと思い立ったのだ。

どうしてわざわざ社長を辞める必要があるんだ、水面下でやってみてうまくいきそうだったら乗り換えればいいじゃないかと助言してくれる人もいたが、そんな中途半端な気持ちでは世界は変えられない。

調べると、わたしの症状が20代で発症するのは1000人に1人らしい。
早くから「妊孕力」についての知識を知っておくことで、その症状で悩む人を2000人に1人、3000人に1人にできるのではないだろうか。

起業は甘くない。これから困難なことだらけだと思う。
わたし以上に賢い人は山ほどいるのも理解している。だけど、想いだけは誰にも負けない自信がある。

若くして「子を産むこと」の絶望を味わったわたしは、FemTech領域の発展を望むターゲットのひとりだ。この絶望には意味があるのだと信じたい。そして一人でも多くの誰かの笑顔に変えたいと強く願っている。

2020年2月。
30歳のわたしは、もう悲しくもない。絶望も感じていない。
これからもっと自分らしく生きられると思うと、この上ない喜びでいっぱいだ。


【追記】2021.1.12
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