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アトピーについて~治療と思わぬやっかいごと~

実は、この数ヶ月体調を崩していました。
持病のアトピーが急激に悪化し、体中火傷のようにただれ、とてもじゃないけれど仕事どころではない!
だから、思いきって2ヶ月ちょっとお休みすることにしたのでした。

「思いきって」
というのは、ちょっと語弊があるかもしれない。

しょうじきに話すと、仕事を休むのがとても怖くて、直前までグダグダと、どうにか仕事は続けられないものかと考えていました。
仕事が、自分のアイデンティティーに直結していたので、休んだら自分が自分でなくなってしまうのじゃないか、自分の価値がなくなってしまうのじゃないか と。
それが怖かった。

でも、そんな思いとはうらはらに、悪化するアトピー。
痒くて夜も眠れず、業務効率も落ち、それがストレスになってさらに悪化するという悪循環。

2日に4時間ほど、痒みに疲れ果てて眠り痒みで起きる という日々でした。

こうなってしまっては、頭もボーッとして、痒い 意外のことが思い浮かばず、日常生活を送るのさえしんどく、リンパが腫れてまともに足を動かすこともできない。

そこまで悪くなってからやっと、あ、これはやばいかもしれない…。

見かねた夫の
「休んだ方がいいと思うよ。その方が俺は嬉しい。」
の一言をきっかけに、とりあえず3月~5月中旬までの間、治療に専念して療養することに決めました。

アトピー性皮膚炎はラテン語のアトピック-「奇妙な」の意味をもつ単語に由来する皮膚疾患です。

食事や環境汚染など、原因と言われているものはたくさんあるけれど、どれも「渾身の一撃これが原因だ!!!!!」という最適解には今一歩足りません。

絡まった糸のように、複数の原因がちょっとずつ絡み合って解けなくなってしまった玉結びのような症状がアトピー性皮膚炎です。


私のアトピー歴は10才の頃から始まり、よくなったり悪くなったりを繰り返しています。

「しています。」と、現在進行形で書いたのは、2ヶ月まえの火傷のような状態を乗り越えて、今はかなり良くなったけれど、完治したわけではないから。

小さい頃から大人になったら治ると言われて、でも治らず。

一通りの治療法を試し、食事療法も漢方もホメオパシーも全部やったけれど一向によくなりませんでした。

同じくらいの年の女の子が、化粧品やエステ、美容室にお金をかける中、私のお給料は治療費で消えていく。
何を食べても「体が痒くなったらどうしよう」と恐怖がつきまとって、全然楽しくありません。心から食事を楽しめたことも、物心がついてから一度もありません。
ストレスが溜まってもアトピーは悪化するので、夜遅くまで働いたときには悪くなるだろうな…と不安になりました。

症状が出ている時は特に大変で、必死に痒みをこらえて仕事をしています。
痒みを我慢するのにかなり集中力がいるので、うっかりミスやついボーッとしてしまいがちになり、普段ならできることが上手にこなせなくなってしまったりしました。

お洋服だって、好きなものを好きなように着ることができません。
皮膚に塗ってる薬がついてシミになってしまったり、体液がついて汚れてしまうからです。
私は黒いワンピースが好きなのですが、皮膚がカサカサして落ちてしまうので汚らしくなってしまうのが嫌で、なかなか着ることができませんでした。

首や体を包帯で覆ったり、コットンのタイツを履いたりして、服に直接肌が触れないようにして、やっと好きな服を着ることができます。
でも、擦れて痛いので、ウエストを絞った服やスキニーデニムのような綺麗なラインの服は難しい。
着れるのはフワッとした体に圧力を加えない服装。
シルエットがダボっとしてしまい、私の好みでないので、本当にいやでした。

いつか食べたいなと思ってメモしてるお料理やレストラン。
いつか着たいなと思って買って飾って、結局袖を通すことができなかった服。
食べられるものがなさそうで諦めてしまった国内や海外への旅行。
痒みが強くこなせないと判断し断らざるをえなかった友達の誘いや仕事のチャンス。

このまま一生痒いままならどうしようと、不安で泣き寝いる夜もたくさんありました。

アトピーのせいで手放してきた暮らしの楽しみが数え切れないほどあります。
何か始めるときに判断基準が「悪くならないかどうか」になってしまっているのはもはや普通のことで、体が痒くない日なんてない日常を送っていました。

アトピーの治療はステロイドという塗り薬での治療がメインです。これは対症療法にすぎず、原因にアプローチするものではありません。

お腹が痛い時に痛み止めを飲んだとして、「腹痛」を感じなくなっただけで治ったわけではありませんよね。それと同じです。

ちなみに、アトピー発症歴20周年ということもあり、ステロイド薬剤の強さの強弱はフルで頭に入ってます。なんの自慢にもならない!

私はそこまで重症化はしませんでしたが、ステロイドは使用を続けると効かなくなったり副作用の方が苦しくなったりとで、最終的には臓器移植の時に使用するような強い薬剤や抗癌剤を服用することもあります。本当に、アトピー治療に抗癌剤を使うこと、あるんですよ!?
抗癌剤は、癌細胞を殺すために人が死なない程度の強い薬物です。それをアトピーに使用するのは、癌じゃない人に毒をもっているのと同じじゃないの!と、衝撃的でした。
抗癌剤治療をする病院は少ないですが、私が住む札幌でも臓器移植の際のお薬の使用を進める皮膚科は少ない数あります。

何が言いたいかというと、「原因にはアプローチせず、とりあえず痒みを抑える」というのが、今の保険適用アトピー治療の方針ということです。

紫外線療法や最近人気の痒みを抑えるアトピー用の注射も、その効きかたのメカニズム等が私の考え方には全くあったものではありませんでした。

残されたのは保険適用外の治療方法。
幸い、科学と物理の心得があったので怪しい治療を見抜くのは得意です。
大人になって、仕事を休んで治療に投資できるだけのお金はわずかながら貯蓄してあったので札幌で自然療法中心の良い病院を見つけ通い始めたのと、そこに丹羽療法を教えてもらって、ようやく改善しました。
自然療法は2年前から、丹羽療法は仕事を休んだ2ヶ月前から開始してます。

人によって治療方法や考え方は色々なので、深くは触れませんが、どんな治療をするにしても、自分の頭で納得して理解してから行うべきです。
(なので、私の場合は参考程度に、あとはご自身でお調べいただくのが1番だと思います。)

さて、強い痒みもさることながら、アトピー厄介だな!と思ったことの一つに、周囲からの理解のなさでした。

幸い、アトピーは、比較的よく知られている病気です。
しかし、症状の強弱が人によって違いすぎるあまり、社会一般では「なんとなくカサカサして、季節の変わり目とかに痒くなるやつ」と認識されているようでした。
「アトピーで休む」と周囲に伝えると、「え、痒くて休むの!?」 と驚かれました。

結局、そういう感覚で接せられれてしまうと、療養中であると伝えても、仕事や相談をされたりと休むどころではありません。
特に、私は会社経営者なので、長期休みをするためには、周りを説得するのにも一苦労。
(社長の私がニコニコご機嫌で働いているのが1番の利益に繋がるのに!!!!
それをまた、できるようになるために休みたいって言ってるのに!!!!!
みんな無理にでも働かせようとしてくる!!!!!!)

1番伝わる言葉を考えあぐねます。骨折やインフルエンザなら、症状を伝えるのがここまで大変なはずがありません。

大抵の人には、痛みやむかつき等吐き気の経験はそれなりにあるので、「痛い」「苦しい」という感覚は理解共感しやすいようです。

一方、「痒み」は、せいぜい蚊に刺されたり霜焼けになったことがある程度なので、気が狂うほどの痒みが24時間続く状態というのは、想像しにくいようでした。

皮膚の下を虫がはっているのともちょっと違うし、虫刺されデラックス版は伝わりにくそうだぞ。頭を3日間洗わなかった状態も、痒みレベルが低いだろうし、見た目の荒れ放題な感じもいまいち表現できてない。

最終的に
「全身に漆かぶれと火傷が同時にあり、24時間常に痒みと痛みで眠れず発狂しそうな状態」
という伝え方を生み出しました。
漆かぶれで強い痒みを、火傷で皮膚がただれている状態を表しています。
漆かぶれになったことがある人は少なくても、日本人には漆かぶれの恐ろしさがDNAに染み込んでいるのか、火傷の表現もあってかセンセーショナルにイメージしやすく伝わっているようでした。


これは私固有の症状かもしれませんが、私は、顔には幸いアトピーが出ておらず、顔以外の全てに火傷のようなアトピーが出ているタイプだったので、ぱっと見は健常者。
編み出した言葉でどうにか状態を伝えても、「休みたいだけでしょ」と信じてもらえません。悲しい。

でも、それが良い意味でリトマス紙になりました。

状況を伝えて親身になり、私ができるだけ仕事をしなくてもすむよう取り計らってくれる人とは、今後も末長くご一緒したい!
大丈夫?の一言もなく、変わらず強めに対応してくる人とは、ゆるやかにフェードアウトさせていただこう。その決心がつきました。
決して、私がかまってちゃんなわけではなく、思いやりや気遣いができない人とは、一緒に仕事をしたくない と常々感じているからです。

「病気はギフトだ」
という言葉を聞いたことがあります。
アトピー20年のベテランにもなると、ギフトだなんて生優しいものではないぜ と思わずにはいられません。
でも、アトピーになったことで、2ヶ月ちょっと半ば強制的に休むことができ、その間に周囲や自分の心に対して色々な気づきがありました。

治療方針に対する自分の考え方や、周囲との関わり方を今一度確認できたのは、得がたい経験です。

ゴールデンウィーク明けのお休みまで1ヶ月くらいありますが、その期間中もしっかり休んで、治療に専念したいな と思います。







note書くときのコーヒー代や、クロエちゃんへのスペシャルおやつ代にさせていただきます٩( 'ω' )و