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21歳

彼女はそこにいた。
古い紙のにおいが満ちる、隠された部屋に。

細い通路を練り歩く。
道の右や左を、上から下まで見渡し歩いている。

たまに、目を大きくして立ち止まり、ひとつ手に取る。

彼女の両手に乗るそれらは、すでにずっしりと重かった。

目を見開いたり、また細めて、歩いたり。
立ち止まったり、にっこりしたり。

彼女は、だれにも介入されない。
高なる心が練り歩く。

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