30代社会人が中国語ゼロから1年でHSK6級になるまでにやったこと
こんにちは、初めまして。
会社の海外研修制度にて、上海に2019年4月から一年間赴任中の、しがない30代サラリーマンです。「赴任先は上海」と会社に告げられた時点(18年10月)で知っていた中国語は、「谢谢」「你好」「我爱你」のみ。そこから突貫工事で一年中国語を詰め込み、HSK6級合格レベルに到達できました。
(正確には、勉強開始一年でほぼ合格ライン到達ですがこの時点で3点足らずの177点、翌々月受験した2回目チャレンジで合格点クリア)
現在はビジネスシーンでのメール、チャットのやりとりや資料作成なら基本的なことはそれ程困らずできるようになってます。会議での深い議論など、さらに高いレベルで実践できるように引き続き磨きをかけています。自分の振り返りをかねて、これまでやってきたことを全てさらけ出してみたいと思います。*長いです(7千字超)!!
1. 入門 〜ピンインてなんやねん?〜
とりあえず、全くのゼロからのスタートで時間がないため、グダグダせず会社の法人契約のあったベルリッツ即決で1回1.5時間、週3コマのレッスンをはじめました。これで基本的な挨拶、赴任当初の自己紹介やレストランでの注文のような基本会話はできるようになりました。
*「英語」というのは5年ほど前から続けているオンライン英会話レッスン
ベルリッツは最初から中国語のみで指導というスタイルです。ピンインから初め、会話定型文メイン。文法事項の説明はほとんどなしでした。教科書はベルリッツ指定のもの、まだ日本での仕事がフルMAXに忙しかったこともあり、予習・復習らしいものはできませんでした(週末も死んでた)。
またひとまず中国語のしくみ《新版》を読んで、中国語という得体の知れない言語の全体像をさらっと見渡してみました。言語学習における一番最初に読む本としては良いシリーズだと思います。
あと、そういえばこの頃は色々な有料アプリも試行錯誤していました。試したアプリのレビューも別途いつか書くかもしれません。
[ポイント]
何でもいいからとりあえずはじめましょう。迷って何もしないより、何かやれば、もうそれだけ前進です。難しいことは動き出してから考えましょう。
初めに習うピンインは中国語の基本要素であり超重要。ただし完璧になるまで待つ必要はない(完璧レベルには永遠にならない)。だいたい分かれば次に行っちゃいましょう。
*意見分かれそうですが、ここで挫折するよりは多少間違ってても後から修正できればその方が1億倍マシ)
2. 基礎 〜中国語”学習”のベース作り〜
そうこうしてると春になり上海に上陸、中国での仕事が始まりました。迷ってる暇はないので、駐在員の先輩に紹介してもらった国営?のスクールに週6で通いはじめました。ここで一気に詰め込み、夏前までにHSK5級レベルまで上げました。
平日のうち3日間は午前中丸々学校に言ってレッスン&自習をしていました。中国のビジネスシーンにおいては英語だけでなく中国語がないとどうにもならんということに気付いたので、夏までは就業時間中も、語学学習に時間を割かせてもらえるように認めてもらいました。
<HSK試験対策・文法>HSKを受けたことすらない中、いきなりHSK5級のテキストでスタート。この時の先生は日本語不可、英語で指導するスタイルでしたが、正直理解しきれないことが少なくありませんでした。お互い母語ではない英語を媒介していることで、細かいニュアンスの違いなどスッキリと理解できないことが多々ありました。またこの先生自身との相性も良くなかったので、HSK5級受験1ヶ月前くらいの頃に先生を変えてもらいました。新しい先生は平気な顔して膨大な宿題を出すスパルタ式、かつ日本語で指導するスタイルでした。どうも自分にはそれが合ってたようで、一気に学習効率が上がりました。「中国語を何語で勉強すべきか?」という点についてはまた別テーマとして書きたいと思います。また私の躓きから言えることは、先生も人なので相性が全て、「これはあかん」と思ったら即変えましょう!変な気遣いは無用!
<ベーシック会話>
試験対策だけやって実務で使えないのでは意味ないので、試験対策とは別に会話主体のレッスンも入れるようにしました。こちらの先生は上記HSK対策とは別の方なのですが、日本留学の経験があり、完璧な日本語で詳細な解説をしてもらえました。テキストは学校指定のこちら。レベル的にはHSK4級程度。HSK5級の勉強と並行していたので、ちょっと後追いの復習にもなりそういう意味でもちょうどよかったです。
<自習>仕事が終わった後の夜は、どうも疲れて勉強に集中できないので、朝方のライフサイクルに変えました。22時半までに就寝、毎朝5時半に起きて勉強(ついでに5分筋トレ)。起きたらまず学校の予習・復習を終えてから自習の時間に当てました。毎日5時間くらいは中国語の勉強に確保してました。以下、具体的な自習のやり方です。
レッスンの振り返り:授業で習った中からテキストに載っていない単語や、重要な文法事項をまとめノートに整理。このタイミングで理解が甘い部分は、諸々の参考書を見ながら完全に理解をするように徹底。
予習:次のレッスンの単語、本文を自習。本文はまず音声を聞き、段落ごとにある程度スラスラ読めるようになるまで音読を繰り返した。
文法復習:HSK対策レッスンがいきなり5級から始まったこともあり、それまでに押さえておくべき(4級レベルまでの)基本文法で理解できていない部分がポロポロ出てきました。なので、並行して新ゼロからスタート中国語 文法編を完璧になるまでやりました。HSK4級に合格した頃から、文法応用編にステップアップし、さらに文法理解を補強。この頃にはレッスンの授業進捗に知識が追いついてきました。
また並行してこのあたりの本なども読み漁っていました。とにかく何かやらなければ!というプレッシャーから手当たり次第に手を出していた感じがします。
HSK・中国語検定 最強の学習法 (中経出版)
3分でつかむ! 超実践中国ビジネス会話のコツ 3分でつかむ! 超実践中国ビジネス会話のコツ
通勤・通学中:NHKラジオ講座を聞いていました。無料でかつ一回15分という長さもレベル感もちょうどよかった。HSK4級までは「まいにち中国語」、4級合格以降は「レベルアップ中国語」。
ちなみにKindle版テキストをAmazonで買う場合、なぜかアプリ経由ではなくブラウザ経由でないと買えません。ラジオ音声については海外でも、NHKゴガクというアプリで聴けます。(テキスト→まいにち中国語、レベルアップ中国語)
単語:フラッシュカードアプリAnkiAppでひたすら毎日繰り返す。このアプリ自体は様々なフラッシュカードコンテンツのプラットフォームであり、誰かが作ったコンテンツを自分で選んでDLして使うという仕組みです(単語学習用以外にも中国の省の名前暗記用など色々あります)。
私がHSK単語用に選んだフラッシュカードは「HSK Level 3~6 Word List」(レベル別に別れてます)。やり方はなんでもいいと思うけど、特にピンインでの発音に慣れないうちは必ず音声とセットで意味を覚えられるようにすべきです。私が選んだコンテンツ自体には音声データがなかったけど、iPhoneの音声読み上げ機能で音を聞き、自分でも発音して覚えていきました。
またHSK試験直前になると、テキスト巻末の単語リストを全てチェックしていき、覚えきれていないものを集中的に潰しこむようにしました。
<HSK試験>結果から言うと6月に4級、8月に5級を受けてそれぞれ7割超えで合格でした。直前対策は基本的に模試問題集です。読解は自習できるので、先生には特に作文の添削とヒアリングのコツを教えてもらってました。
[ポイント]
語学学習は筋トレ。ルーチンを作り、自分の中で仕組み化することが大事。一日にどれだけ時間確保できるか・すべきか、は仕事の状況や目標によって様々です。早く習得したいのであれば単純に1日あたりの勉強時間の絶対量をなるべく多く(そして、できれば朝に)確保しましょう。
そしてこの時期に学ぶ文法項目は中国語のコアでこの先もずっと重要。ただし完璧主義は捨て、ある程度で切りをつけてじゃんじゃん進んでOK。
3. ステップアップ
さて、上海での初めての夏も終わりました。HSK5級も無事合格しましたが、仕事のプロジェクトも忙しくなってきたので平日はフルタイムワークに戻し、学習スケジュールを見直しました。まとまった時間は早朝・終業後・週末しかない中、総勉強時間をなるべく落とさないように調整しました。
<HSK試験対策・文法>引き続き同じ先生、同じシリーズのテキストのHSK6級バージョン(HSK Standard Course 6A)で。かなりレベルを上げてもらったこの先生ですが、別の仕事のスケジュールが変更になったそうで、レッスン時間が減ってしまいました。また私自身の仕事も忙しくなったことで、終業後のレッスンだと疲れ果てて集中できないことが増えてきました。
そこで、この先生とのレッスンは終了し、朝出勤前にeChineseLessonというオンラインレッスンに切り替えました。ここは通学レッスンよりも割高なのですが、先生のレベルは高いと思います。また日本人をメインターゲットにしたサービスというわけではないので、中国語か英語での指導になります。ただこの頃になると私の中国語もだいぶ基礎力ができてきたので、「中国語で中国語を教える&どうしてもわからない時だけ英語で補足してもらう」というスタイルで問題ない状態になっていました。
6級までくると、新しい文法事項は出てきません。よりマイナーかつ個別の用法と、5級までの内容をいかに正確に抑え応用できるかが問われていると感じました。それまで曖昧だった語彙や文法を潰し込んでいくだけでも6級の(過去問の)成績アップに繋がっていきました。一方、新たに覚えるべき単語量は倍増し、日本語から類推できるものが減ってきます。
<HSK試験>6級の結果は合格ライン180点まで3点足らずの177点。听力が力及ばずという結果でした。試験対策はHSK公式過去問(日本語版)で。日本語解説があるのはやはり効率性の面でよかったと思います。特に6級の写作パート(1,000字から400字への要約問題)は独学でのチェックが不可能ですので、ここだけでもネイティブに見てもらうべきです。コツもあるので練習しましょう。
<HSK試験リベンジ> ※2020/2月追記
上記の通り初挑戦(19年11月受験)では力及ばずでしたが、その後後述の実践力アップの方針に切り替えて勉強を続け、20年1月の2回目の挑戦で晴れて合格ライン6割をクリアできました!
※追記終わり
<ビジネス会話>
前期で会話中心のレッスンをお願いしていた先生に引き続きお願いし、内容をビジネス会話に特化したものに変えてもらいました。テキストは商务汉语提高。
[ポイント]
やはりこれまで確立したルーチンをいかに崩さず続けられるかが大事。状況に合わせて臨機応変にやり方を変えていきましょう。そして常にちょっと自分よりレベル高めの教材を身体に”擦り込んでいく”イメージが近い気がします。同時に、5級までの内容で理解・記憶が甘い部分を潰し込んで行きましょう。
4. 実践力アップ *現在進行中
<ビジネス会話レッスン>
eChineseLessonを継続していますが、内容を商务汉语(=ビジネス中国語)に変更してもらいました。テキストは学校指定のPDF版。一回50分、週5回までというプランなので、フルフル5回出勤前に入れています。
通学レッスンの先生については週1だけ終業後のレッスンを継続。たまたまテキストも上記とは被ってないのでちょうどいいかなと思っています。面白いのが、どちらの商务汉语用テキストも、最初のテーマは宴席での会話です。それだけ中国のビジネスシーンではお酒が重要ということでしょうか。
<自習ルーチン>
これまで試験対策のガリ勉にに重きを置いていたため、会話力すなわちリスニングとスピーキングが大きな課題でした。やってることは以下
会話フレーズ叩き込み(スピーキング力アップ):実際の会話であり得るフレーズをパターンとして覚えてしまいます。音声教材として、口が覚える中国語を使っています。やり方はまず、日本語でセンテンスが流れますので、頭の中でもしくは口に出してその中国語訳をします。続いて、間を置いて流れる中国語訳で答え合わせをします。一つの文法事項について10フレーズがまとまっていますので、これを30分の通勤中にリピートで延々と流します。一通り中国語訳ができるようになれば次の単元に進む、と言う繰り返しです。
長文読解垂れ流し&シャドーイング(ヒアリング力アップ):朝の出勤準備をしながら、聴読中国語をリピート再生で垂れ流します。そして出勤準備ができたところで、スクリプト文面の確認とシャドーイングをします。CD音声のペースに合わせて自分でもスラスラ読み、内容の理解ができるようになるまでやります。(実際には、時間がないときは完全にできないときもありますが、、)
中国映画や動画を観る:中国語音声・中国語字幕で映画を見ます。中国で見れる映画は音声が普通語であっても普通語の字幕が表示されていますし、Netflix等のサービスでも字幕設定が選べるものが色々あります。Youtubeにも中国のドラマやテレビ番組がたくさんありますし、TED TALKの中国語版もあります。ここまでのレベルまできていると、字幕を見ながらであればストーリーの流れくらいは理解できるかと思います。映像もあるので、HSKで音と文字だけで類推するより分かりやすいです。なにより、中国映画結構面白い!個人的に面白いと思ったコンテンツはまた別で書きたいと思います。
[ポイント]
マインドは筋トレと同じ。一回ですぐに上達効果を感じられることはありません。この先は長いです(終わりはありません)。はい、いかに続ける仕組みを作るか。だから、最後は楽しくなければ無理だと思います。なので中国のエンタメにハマるというのは一つの良い手段かと思います。
5. その他:中国語学習に必要な諸々
<中日・日中辞書>この一年で、私が最も接触回数の多かったアプリはこの辞書アプリかWeChatでしょう。こいつはまじで相棒です。レビューにもある通りたまに落ちますが、個人的にはそんなに気になりません(アプリが落ちるくらい酷使しているんだなと勝手にポジティブに捉えています笑)
<翻訳アプリ>中国人との会話やチャットの場面など、単語ではなくフレーズで調べたい時には辞書では難しいので、中国人同僚にオススメされたこちらの翻訳アプリを使ってます。課金サービスもあるようですが、無料のみで使ってます。無料だからなのか、コピペができないなどやや不便なところもありますが、わざわざ手打ちすることで少しでも記憶に残すことに繋がると思ってそのまま使ってます。
<文法書>中国語学習者であれば必携書と言われる文法書が、Why?にこたえるはじめての中国語の文法書です。死ぬほど詳しいですが、正直私は今までほとんど開いたことがありません。
良くも悪くもHSK6級にギリギリ受からないくらいの程度であれば、このレベルまでの知識は不要とも言えるかもしれません。ただし、やっぱり独学していてどうしてもわからないこととか、最後の砦としてはやはり手元に持っておくべきかと思います。あとこれを持たずに中国語勉強していると、先達の方々からはモグリだと言われるかもしれません。
<その他自動翻訳サービス>実際の仕事の場面で意外と使えるなと思ってるのがパワポの翻訳機能です。仕事中は大体パワポを開けてるか、すぐ開けられる状況が多いですし、日本語・英語・中国語の翻訳切り替えも簡単、そして文章丸ごと一発変換もできるので効率的です。仕事上では、勉強云々言ってられない場面が多いので、そんなときはこれで時間をショートカットしてしまいます。
*翻訳サービスというとまずGoogle翻訳が思い浮かぶと思いますが、中国本土ではGoogleが使えません。(VPNアプリを使えばGoogleも使えますが、切り替えがめんどくさい、かつ翻訳したいときはすぐに知りたいことが多いので使いません)一方、中国最大の検索サービスであるBaiduは検索精度が最悪なので僕は使ってません。
<ICレコーダー>語学学習というよりも、海外での仕事を乗り切るためのものです。私は英語も中国語もまだ会議中の会話をその場で全て理解できる自信はないので、必ず録音しています。スマホの録音機能でやっちゃうとすぐ容量がいっぱいになるのと、バッテリーが死ぬので実用的ではありません。中国でスマホのバッテリー切れは死活問題です。
まあ録音できれば機種とかはなんでもいいと思いますが、このシリーズ(パナソニック ICレコーダー 4GB スティック型)はペンみたいにシュッとしてて目立たず、容量も十分、音声もクリアに拾う、かつ7000円程度で買えましたので満足しています。
まとめ
つらつらと長くなってしまいましたが、乱暴にいってしまうと要するに語学学習のポイントは「いかに続けるか」の一点のみだと思っています。どんなやり方が続けられるかは結局人によって違うので、やりやすいと思えるものに出会えるまで何度でも試行錯誤続けてください。とはいえ、まず何から試したらいいかの検討もつかない、という方もいらっしゃるかと思いますので、上で書いたことを一つの例として参考にしていただければ幸いです。
そして、完璧主義は捨てる。だいたいでOK。だって、自分が2・3歳の時、完璧な日本語なんて話してなかったし(なんなら今も間違いまくり)。続けながら正しいものに近づけていけばいいだけです。
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