見出し画像

日本語ができない君に、英語はできない。

はじめに

日本語が母国語の人は英語の能力を上回ることはない。これは近年の研究で明らかになった事実です。そして、英語でも日本語でも、知識がなければ "話せない"ということ。国語という学問が、第二言語の向上には必要不可欠です。国語力とは、情報整理をしたり、自分の意見や思いを他者に伝える時に論理的なコミュニケーションが取れることです。暗記や読書感想文を書くことでは鍛えられない能力です。情報化社会、グローバル化、AIが進化する世界で、ただ暗記や詰め込みの授業をこなすだけでは社会に出て活躍する力はつきません。特に子どもの脳は、12歳までにほぼ100%完成されると言われています。そんな大事な時期に、自分の頭で考えないような、押し付ける勉強ばかりでは、この日本に明るい未来はありません。子どもは好奇心旺盛で、新しいことには夢中で飛びつきます。学ぶことの面白さ、発見することの楽しさを気づかせることで、子どもたちは自ら創造的な脳を育てていきます。大人はその環境づくりをしてあげるだけで良いのです。そして大人の自分たちでも英語力は確実に伸びます。効率的な学びができれば確実に!

外国語を学ぶ意味

海外旅行で必要な英語力は、比較的簡単に習得することができます。相手が目の前にいる状態では、表情、ジェスチャーや簡単な英語でコミュニケーションが取れます。これは相手が察してくれるので、論理的に説明しなくても相手に意図は通じます。タクシーでホテルへ行く時も、レストランで注文する時も論理的な説明をする必要はありません。ここでタイトルにある "英語はできない" とはこのことではなく、目の前にいない相手に対して論理的に表現できる英語のことを指しています。グローバル時代に必須な力がこの論理力なんです。今の時代は、民族も人種も文化も教育も異なる強烈な他者とコミュニケーションを取る必要があります。そんな相手にオンラインで思いを伝えて、議論することは簡単な英語力、国語力では通用しないでしょう。そして、読み書きできることが非常に重要です。逆にこれらの能力があるだけで、可能性が爆発的に広がります。日本語って世界の人口の数パーセントの人しか使っていませんから。

成績は良いけど、理解していない子供たち

国語の授業で先生が一方的に喋っていたり、子供たちが考えるべき本質の部分を黒板に書き続けている先生を見かけることがあります。生徒は与えられた情報を必死にノートにまとめて、定期テストのために暗記する。それで高い点数を取り、国語の能力があると評価をされている子供が多い気がします。ただ暗記しているだけなんです。なので模擬テストなどで別の文章になると、全く文章を理解することができない。文章を読んで、フィードバックを書かせたり、大意を自分でまとめるという活動を通じてしか、言葉の力なんてつかないんです。読書はアウトプットで完結するということを聞いたことがありますが、その通りだと思います。自分で読んだ内容を他の人に伝えることで、徐々に理解力や読解力が磨かれていきます。教育現場は先生の自己満足を押しつける場所ではありません。子供が考えて、気付く場所です。試験のための勉強ではなく、国語力をつけるための勉強が必要なんです。

気づきを与えるのは大人の役割

英語を勉強するモチベーションを見つけること、そして子供には気づきを与えてあげることが大切です。そのきっかけとして、海外旅行はとても良い機会だと思います。現地で、生の英語にふれて、会話をする機会を与えることで、子ども自身に英語をなぜやるのかという理由を考えさせることができます。海外で生きていくため、海外に情報を発信するために英語は必要なんだと自覚したら強いです。何のためにやるべきか? ここって大事です。

中には言語能力の発達の遅い子どもがいます。そんな子供に "なぜできないの?" という問いかけをしてはいけません。これは能力の問題ではなく、タイミングの問題です。日本語をうまく使いこなせないうちに、塾などで詰め込み学習を強いられると、学ぶことが嫌いになり、劣等感が芽生やすくなってしまします。日本の教育制度はみんなで一斉に受験を受けなければなりません。この教育システムが大器晩成の子どもたちの可能性を低くしているように思います。言語能力向上にはじっくり時間をかけて取り組みましょう。

子どもの論理的思考の入り口

言語脳が発達していない二歳までは、しっかりと子どもの顔を見て、ゆっくり、丁寧に言葉をかけて上げることが大切です。その後、小学校低学年までは絵本などで読み聞かせを行ったり、子どもの話を根気よく聞いて上げることで、いつしか身の回りの不思議に興味が湧いてきて、"なんで?" という質問が出てきます。その際も丁寧に説明をしてあげて、逆に質問をしてあげることで、どれほどの理解力があるのかを確認してあげることができます。中学校に入るまでの間は、親が読んで聞かせていた本を徐々に一人で音読してもらい、徐々に文章に馴染んでもらう作業が必要です。そこで漢字や語彙の取得、そして言葉に規則があることに気づいてもらいます。そうすることで論理的にものごとを捉える脳に進化していきます。じっくり、丁寧にです。

まずは国語力を上げる

豊かな感性や創造力はもちろん必要です。自分もここの"個性"はとても大切にしています。大人になって感性を磨くことって難しくなってきますが、この論理力を磨くことで、知的な活動が飛躍的に発達していきます。論理力は学習することで、大人でも後天的に伸ばすことができます。効率の良い学びができ、他言語をより深く理解することも可能になるでしょう。論理的に文章を読む時に大切なことは、主観的な自分をいったん外すことです。それは作者が意図している内容を理解することです。自分の主観で文章を読みすぎてはいけないんです。登場人物の心情を客観的に分析しなければなりません。物語文や小説問題は思わず主観を入れて解釈しがちですよね。小説っていろんな読み方があり、それが醍醐味なんだと思います。ですが入試問題で問われる能力は、小説のひと場面をどのように客観的に分析できるかというものです。あなたがどう感動して、作品を評価したかは求められていません。この能力こそが国語力であり、論理的な思考を育む方法なんです。

読める、書ける力こそが重要

良く海外では仕事においてパーティーや社交の場が設けられます。多少の英会話ができたとしても、中身がなければ1〜2分もすれば会話は続かなくなります。留学や海外勤務されたことがある人は分かるかもしれませんが、大切なのは書く、読む力だと思います。要は仕事をするにしろ、勉強するにしろ、コンテンツを理解できなければ意味がありません。最近は "英語を使う=英語を話す聞く"がメインになっている気がします。その能力は大切ですが、後天的に英語を伸ばそうと思ったらまずは読めないといけないですよね。近年の大学入試でリーディングの配点が大きくなっているのは、英語を読む力のある人に入ってきて欲しいという、大学からのメッセージなんだと思います。

英語の勉強方法を少しだけ

英語は努力をすれば絶対にできるようになります。日本語ができる方には英語はシンプルで表現も難しくありません。何度も書いてますが、英語を伸ばしたければ、日本語力を伸ばすことを意識しましょう。そのベースがしっかりあれば、英語の知識や語彙力を増やすことで、面白いほど英語力は伸びていきます。知らない語彙や表現があればどんどん覚えて、使っていきましょう。その反復力こそが言語の定着には必要不可欠です。人間は忘れる生き物です。忘れることを前提にどんどん反復していきましょう。そして、特に英語において単語力は重要です。聞く、話す力を伸ばしたい方にとっても、単語を知らなければ何も始まりません。その単語の意味を覚えたら、次は正しい発音で読めるスキルを身に付けましょう。そうすることで自然とリスニングの能力も向上していきます。英語力の向上には時間がかかりますが、論理的に、根気強く学習することで、確実に成長できると思います。

最後に

今ある多くの仕事が、AIやロボットを駆使すれば効率的にできる時代がきています。そんなAIに曖昧な何となくという感性や感覚は通用しません。論理的な思考や説明する力が必要です。ですが悲しいことに、子どもたちから論理的な思考がどんどん奪われていくのが今の時代です。スマホやゲームの登場で光と音による刺激により、文章を読む感覚が失われ、活字よりも早く伝わる情報を得て分かった気になっている人が多い。きちんと毎日、論理的に文章を理解してコミュニケーションをとっていますか? "やばい" を連呼することをやめましょう。もっと日本語は深くて、美しい言語です。まずは日本語の文章をきちんと理解して、整理して、思考を深めて表現する力をつけること。その上で、英語という別言語でモノを捉えることはどういうことか、外国の文化的背景やいろんな事情が、違う角度で見えてくるんです。日本の外に向けて英語という言語で発信することは重要ですが、そこに日本語での論理的な思考がなければ深みが出ないのです。

では。



この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?