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ナイトルーティーン

ぼりぼりと、目の前の男が生えてきた髭を掻き出す。
彼は自分自身のことを夢想家だと言っている。
何時如何なる時でも、自分の中に物語がやってきて、現実の自分を巻き込んでいくのだと。

そろそろ20:00になる。
彼と私の晩餐は決して穏やかなものだった記憶がない。
会話をしない。彼は、フォークとナイフを持って、一枚のハムをゆっくりと口に運び、それを楽しむようだ。
途中で、「殿下は…」などと私に語りかけることもあるため、私は食事のときですら気を抜けないのだ。
だが、今日は至って静かだった。

目の前の彼が黙って15分が経過しただろう。
そう思って、ちらと私は彼の右手に付いている腕時計の針を眺めた。
5分も経っていないようだった。
どうやら、退屈な時間は過ぎるのが長く感じるようだ。
彼は髭を掻いた手を顎に当て、無い長い髭をいじるような仕草をしている。

「実に勇猛果敢な冒険だった。」
いきなり彼が夢想の世界から帰って来て、私に向かって物語の面白さを語り始めた。
これが彼と私のナイトルーティーンである。

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演出助手、ヘアメイクしてます。 冬はみかん🍊でジャグリングします。 詩的なもの・エッセイを書いていきます。 よろしくお願いいたします。
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