2019年はInstagramに何が起きた1年だったのか?データをもとに振り返ってみた
テテマーチ株式会社の有賀です。
1/22に #コネクトドット Vol.6 InstagramマーケティングLT祭 というイベントに登壇させていただき、「データから見る最近のInstagram事情」というテーマでお話をしました。
今回は、その内容の一部を抜粋してここにまとめます。
昨年のInstagram投稿エンゲージメントの変遷
2019年夏季頃には、Instagram全体でいいね数非表示のテストが本格始動しました。では、投稿のエンゲージメントに影響は出ていたのか?投稿のエンゲージメントが1年間でどう変わっていたのか?調べてみました。
※ここから掲載するデータは、以下にもとづいています。
・テテマーチ株式会社のInstagram分析ツールSINISに登録されているInstagramアカウント(個人利用アカウントではなく企業アカウントが大半)のうち、フォロワー300人以上のアカウントのみを抽出。そのうち約2,500件のアカウントのデータを参照
・2018年10月~2019年12月までの、3ヶ月ごとのデータを集計し、アカウントのフォロワーレンジ別に折れ線グラフで時系列表示
・広告経由の数字は含まない(オーガニック経由のみ)
投稿1件あたりにつく平均いいね数のグラフは以下のとおりです。
・フォロワー数300000以上のアカウントが一番上のオレンジ色の折れ線グラフで、下にいけばいくほどフォロワーレンジが少ないアカウントの折れ線グラフ
・一番左が2018年10月で、右にいけばいくほど最新のデータ
グラフで見ても数字で見ても、フォロワー数小規模のアカウントでは、投稿につくいいね数は停滞、もしくは減少傾向にありました。
一方で、フォロワー数大規模のアカウントでは夏季頃から平均いいね数はやや増加傾向にありました。
また、1投稿あたりの平均保存数も同傾向でした。
ここまでをまとめると以下
リーチ数への影響
ここまではエンゲージメントの変化の話ですが、ではリーチ数にはどんな影響がみられたのでしょうか。
その前に、昨年はInstagram公式が以下のような発表をしていました。
※このようなInstagramのアルゴリズムについて記載しているnoteはこちら。
「ストーリーズはエンゲージメントが高いほど左側に表示される」「フィードはエンゲージメントが高いほど上部に表示される」というアルゴリズム。このアルゴリズムの強化により、エンゲージメントとリーチの相関関係は強まったと考えられます。
実際に数字にもあらわれていました。
投稿1件あたりにつくいいね数と保存数が伸びていたフォロワーレンジについては、同時期にリーチ数も伸びている傾向がみられました。
一方で、いいね数や保存数が停滞もしくは減少していたフォロワーレンジについてはリーチ数も停滞ぎみという結果となりました。
つまり2019年は、今回のデータから見る限りでは、「フォロワー数の多い」アカウントの成長が、特に著しかった1年であったといえます。
フォロワーが多く、伸びが著しかったアカウントの傾向
フォロワーが多く、エンゲージメントやリーチの伸びが著しかったアカウントを見てみたところ、「保存されやすいコンテンツの発信」に注力しているという共通点が見られました。
エンゲージメントの中でも、「保存」がリーチと相関性があり重要な指標であるという声は2019年に入ってからは多く聞くようになりましたが、保存が大事という声には、「保存される=投稿への滞在時間が伸びる」というアルゴリズムが関係していると考えられます。
『その投稿へのユーザーの滞在時間が伸びる』とリーチが伸びる、というアルゴリズムも実際に存在するようです。
そのため、投稿するコンテンツを考えるときのポイントとして、「ユーザーが保存したくなるようなコンテンツってなんだろう?」という視点で設計することももちろん正解ですし、「ユーザーが長く滞在したり、何度も見返したくなるようなコンテンツってなんだろう?」という考え方もまた正解で、そのような視点でコンテンツを最適化できた、フォロワー数の多いアカウントが、特に伸びた1年だったのではないかと考えています。
(あくまで考え方の話で、「長く滞在しそうなコンテンツや見返したいコンテンツ」と「保存したいコンテンツ」は着地としてイコールになるケースが多いかと思いますが)
保存されやすい(滞在時間が長くなりやすい)コンテンツの傾向
2019年に特に伸びていたアカウントの傾向として、保存されやすいコンテンツの発信に注力していたということは前述しましたが、実際にどのようなパターンがあったのかを3つにわけて紹介します。
①Howto系
レシピや、ライフハック、ダイエット法やメイクテクなどさまざまですが、ユーザーの「知りたい」「試したい」を解決するようなHowtoコンテンツは、そもそもユーザーが内容理解するために読む(見る)ため、滞在時間が長くなります。
また、ユーザーは自分の保存タブにこれらの投稿を保存することにより、保存タブを自分のための検索エンジンのように活用し、そのHowtoを実際に活用したいタイミングにあとで見返せるようにするという行動をとるでしょう。
②いつか必要になる系
2019年のフィード投稿を振り返っていて、特に家具系の投稿はフォロワーレンジに対してエンゲージメント率が高い投稿があることに気づきました。
家具の投稿はHowtoのようにテキストで訴求するものではないですし、読み物ではないため意外でしたが、このような投稿はユーザーにとって、「いますぐ自分にとって必要なものではないけど、後で自分が模様替えや引っ越しをするときに見返したい投稿」になるため、保存されやすいと考えられます。
また、このような投稿は保存された後にあとで見返されることにもなり、単純に滞在回数が増え滞在時間が結果的に長くなるということも考えられます。
また、「このお店で、こんなに美味しそうなグルメが食べられるんだ」「こんなメイクもあるんだ」「このトップスにはこんなスカートが合うんだ」とユーザーに気づかせるような投稿たちも、「いますぐ自分に必要ではないけど、いつかの自分にとって必要になってくる投稿」にカテゴライズされるのではないかと思います。
ユーザーはこれらの投稿を保存し、保存タブを「自分だけのための(自分の好みがつまった)カタログ(雑誌)」のように活用しているのではないかと考えられます。
③読み物系
最後に、小説のような読み物系のコンテンツも、保存数や滞在時間が伸びます。投稿に出会ったタイミングで読むユーザーもいるかと思いますし、時間があるときに読もうと保存することで、保存タブを自分のためのKindleのように読み物をためていくように活用しているユーザーもいるかもしれません。
以上が、3つのカテゴリの紹介でした。
これについて、弊社社員も以下のように言及していましたが、ユーザーが、体験できたりベネフィットを感じたりするような発信をすることの重要度があがっています。
Instagramが、「写真の世界観重視のアルバム」のような使われ方だったのはもう昔の話で、「メディア化」が日々加速しているのを実感します。
(余談ですが、「SNSに運用コストを投資できない(社内承認がおりない)」という声もまだまだ聞きますが、一種のメディアと考えると、ある程度のコスト(費用面も人件面も)は免れないということも納得感がありますね。)
おわりに
ここまでのまとめは以下です。
・2019年の夏季頃から、フォロワーの多いアカウントの投稿の、平均いいね数、平均保存数、平均リーチ数が伸びる傾向がみられていた。
・伸びていたアカウントには、「保存されやすい(=ユーザーの滞在時間が長くなりやすい)」ようなコンテンツの発信に注力している傾向がみられた。
・「ユーザーが保存したくなるコンテンツとは?」という考え方以外にも「ユーザーが長く滞在するようなコンテンツとは?」という視点もコンテンツ設計の幅を広げるポイント
・Howto系、いつか必要になる系、読み物系、のようなコンテンツは、保存されやすい(滞在時間が長くなりやすい)傾向があり、ユーザーに、体験やベネフィットを感じてもらえるようなコンテンツの重要度があがっている。
これらはあくまで2019年にみられた傾向です。
ユーザーがInstagram全体やInstagram企業アカウントに求めるニーズがあり、そのニーズ起点で素早く最適化をしていけたアカウントが伸びたというだけの話なので、今後もユーザーのうつりかわるニーズに対して、それに合わせたコンテンツを発信していけるようなアカウントが伸びていくかと思いますし、ニーズやアルゴリズムが変わっていけば、伸びやすいコンテンツもアカウントも変わっていくかと思います。
いままで調子のよかったコンテンツを発信していても急に成果が悪くなったということがあれば、ユーザーのニーズが変わったのかもしれないし、そのような変化に気づくためにも、やはり投稿するだけにならずに、日々データから見て最適化していくということが重要なのではないかと思います。
以上、データからみる最近のInstagram事情でした!
今回アカウントのエンゲージメントなどのデータの参考にした、Instagram分析ツールの紹介はこちら
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