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デザイン史

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デザイン史を建築学科の講義で教えています。講義だけで終わらすのはもったいないのでここに皆に届くように綴っていきます。 参考テキスト:
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さらっとデザイン史5〜バウハウスから近代デザインへ〜

さらっとデザイン史5〜バウハウスから近代デザインへ〜

1919年春、ドイツワイマールにてこれまでにない全く新しい総合造形学校バウハウスが誕生します。
バウハウスは近代デザイン史の上でもアーツアンドクラフツの流れを引き継ぎながらも、学校教育という共同体を介したデザイン運動として、同時代の芸術思想の中でも独特な意味を切り開いていくことになります。
それは、芸術の側から近代工業社会の文化の課題に立ち向かった総合造形(デザイン)運動として、広く世界に波及し、

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さらっとデザイン史4〜AEGとドイツ工作連盟の活動〜

さらっとデザイン史4〜AEGとドイツ工作連盟の活動〜

デザインが工業化社会の中で、生産者にとっても消費者にとっても重要な意味を持つものとして自覚されてくるのは20世紀に入ってからになります。
なのでデザインの歴史はわずか100年余りの話になるという事です。以外と短く感じるのではないでしょうか?

20世紀初頭のヨーロッパでは、とりわけドイツにおける芸術と産業の結合の動きが際立った出来事として注目されていきます。
具体的にはベルリンの大企業アルゲマイネ

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さらっとデザイン史3〜グラスゴー派とウィーン分離派の活動〜

さらっとデザイン史3〜グラスゴー派とウィーン分離派の活動〜

さらっとデザイン史2〜アールヌーボーからアール・デコへ〜の続きです。

ウィリアム・モリスが機械生産に異議を唱え、工芸復興を呼びかけることで生まれたアーツアンドクラフツ運動は、様々な思想や様式を生み出していきます。
用の為の美にこだわり続けたモリスの思想とは相反し、スコットランドの工業都市グラスゴーの展開には美への著しい傾倒も見られるようになってきました。

グラスゴー派の活動グラスゴー派の中心人

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さらっとデザイン史2〜アールヌーボーからアール・デコへ〜

さらっとデザイン史2〜アールヌーボーからアール・デコへ〜

さらっとデザイン史1〜工場制手工業からアーツアンドクラフツ運動まで〜
の続きです。

アールヌーボーの世界アーツ・アンド・クラフツ運動は国を飛び越えて職人、建築家、工芸家など、様々な人々に影響を与えました。時を同じくして鎖国をやめた日本の文化、ジャポニズムがヨーロッパに流行しはじめたことで、フランスのデザイン様式に微妙な変化が起こりだします。これらの影響は、装身具、家具調度、建築、ポスターに至るま

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さらっとデザイン史1〜工場制手工業からアーツアンドクラフツ運動まで〜

さらっとデザイン史1〜工場制手工業からアーツアンドクラフツ運動まで〜

様々な分野で「デザイン」という言葉が世の中に溢れていますが、そもそも「デザインする」とはどのような意味なのでしょうか?
広辞苑によるとデザインとは以下の内容で記されています。

デザイン:意匠計画。製品の材質・機能および美的造形性などの諸要素と、技術・生産・消費面からの各種の要求を検討・調整する総合的造形計画。

デザインするとは単に格好の良さを追求する行為を示すものではないということです。外観が

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