2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ【ピーター・ディアマンディス】
著者:ピーター・ディアマンディス シンギュラリティ大学創立者で世界の偉大なリーダー50人にも選ばれた
ここ10年間で私たちの生活は大きく変化した
2007年に最初のiPhoneが誕生した
それから10年間でスマートフォンが世界を変えた
今では高性能なカメラがついていてお金の支払いができて、道を調べて動画を見られるようになり家の鍵、エアコンのリモコン、メモ帳、ゲーム機にもなった
だがこれからの10年間はそれよりもさらに変化のスピードが速くなっていく。激動の10年間だ
ハンコがどうとか終身雇用がどうとか言っていると、あっという間に置いていかれる
今日の授業を受ければ、これからどういう時代になるのかを知ることで将来の人生設計に役立てることができるだろう
自動運転車をシェアする、空飛ぶ車が生まれる
一つ目は車の未来
✅2030年には、ほぼ全ての車が自動運転になる
すでにAppleが「2024年に自動運転車の生産を開始する」と発表しているし
ソニーやGoogle、ウーバーなどの名だたる企業も、自動運転車の開発を進めている
自動運転になるのは時間の問題だろう
自動運転が実装されると車内で寝ることができたり会議ができたり、映画を見ることができるようになる。もちろん飲酒運転で捕まることもない
要は車が家みたいにくつろげる空間に変わり、注意力の不足による事故が減るだろう
そして車を所有する時代が終わる。車を買わなくなる時代になる
実際に車の使用率の調査結果では「1日に全体の5%の時間しか使っていない」ことが分かっている
その5%のためにわざわざお金を払って車を所有する必要がないだろう。現在でも若者は車を持たないのが普通になってきている
✅車はシェアする時代になる
つまり映画をNetflixで見るように、車も「使いたい時だけ借りる」という感じになる
それなら駐車場を借りる必要もないし、車検も免許も自動車保険も必要なくなる
つまり「月額2万円で整備された自動運転車を1ヶ月利用できる」という課金サービスが生まれて、車そのものを販売する会社は消えるだろう
もしかしたらトヨタは世界最大のカーシェアの会社になっているかもしれない
それだけじゃなく「空飛ぶ車」も出現する。ただ車型の乗り物にする必要がないから、車の形ではない
これも実際に「ジョビー・アビエーション」という会社が開発を進めていて、トヨタが約400億円を出資している
早ければ2023年に実用化される予定
つまり2030年には当たり前のように自動運転車が走り回り、誰も車を所有しなくなる。そしてタクシーは空を飛んでいる
時代は急速にそちらに動いていっている
最大時速1200 kmのハイパーループの出現
二つ目は「移動」の未来
今は東京から大阪まで新幹線で2時間30分もかかっているが、2030年にはそんな無駄な時間はなくなる
なぜなら移動手段として「ハイパーループ」というものが使われるようになるから
ハイパーループ:テスラのCEOであるイーロンマスクが手掛けている事業で、電気で浮上させる技術を使って筒状のチューブの中を車両が最大時速1200キロで走行する乗り物
これを使えば東京から大阪まで24分で着く。ちょっとランチを食べに大阪から東京に行ってくるというのが当たり前の時代になるし、ディズニーランドからUSJへのはしごも可能
それだけではなくイーロンマスクは「スターシップ」という時速28000キロで進む交通手段も考えている
これはもともとは惑星と惑星の間を移動するために開発した宇宙船を、地球で乗り物として使うことにしたもの
イーロンマスクは「3年以内には形になるが、安全性を確保するためにもう少し時間がかかるだろう」と発言している
2030年までには実装されているだろう
これを使えば「ランチをしにちょっとヨーロッパまで行く」ということが可能になる
小売店が消える。AIが服を選んでくる。
次は「買い物」の未来
買い物の変化も凄まじい。まず私たちは自分で商品を選んだりしない。
✅一人に1台AIのデジタルアシスタントがつくようになり、そのAIに買い物を完全に頼むようになる
すでにAmazonの「Alexa」やAppleの「Siri」などのAIはかなり精度が向上してきているが、2030年には今とは段違いの性能になる
具体的には、
「AIが私たちに代わって商品の注文、美容院への電話の予約、トイレットペーパーの注文、配管口を呼ばなければならなくなった時の手配まで全ての問題を解決するようになる」
とGoogleのCEOスンダーピチャイさんは発言している
AIは私たち以上に私たちを理解している
AIは私たちの表情や瞬きの数などで感情をモニタリングして理解する能力を身につけている
服のサイズにおいても、体のデータは登録されているから問題ない
VRヘッドセットを装着してバーチャル空間に行き、そこでAIが選んできてくれた服を試着する。洋服を選び終えるとAIが代金を支払う。3Dプリンターが洋服を作り、ドローンがそれを自宅に送り届けることになるだろう
つまりお店に行く必要はなくなる
イオンに関わらずショッピングモールは「体験」を売らなければ厳しい時代になる
わざわざ出向く価値のある体験を提供できる小売店だけが生き残るようになる
気持ちによってストーリーが変わる映画
次は「エンタメ」の未来
ほんの少し前までテレビとレンタルビデオの時代だったが、今ではYouTubeやNetflixの時代になった
そしてこれからの10年で、さらにその変化は加速していく
まずエンタメは「その日の人の気分」を予測して最適なものを提供するようになる
さっきも言った通りコンピューターは顔の表情、手の動き、視線、声のトーン、瞬きの数などの情報から人間の感情を理解することができるようになっている
そうなると映画などのエンタメは観客の感情に応じてストーリーが変化されていくようになる
➡「泣きたい時に泣けるストーリーになる」ということ
自分が選んだ選択によってストーリーの内容が変化するゲームのように、見た人によってストーリーが変化する映画やアニメが出てくる
また映画館ではスクリーンも無くなる。これからはARの時代になる
実際にAppleのCEOであるティムクックは「ARはスマホと同じくらい大きな市場になる」と発言している
ARのコンタクトレンズなどを装着することで、どこにいても大迫力の映画を鑑賞できるようになるだろう。目の中が映画館みたいな感じ
ポケモンGOに出てくるポケモンも、スマホのカメラ越しではないコンタクトレンズ越しに見えるようになるう
実際にGoogleやSamsung、MojoVisionといった大企業がすでにARコンタクトレンズの開発に取り組んでいる
平均寿命が100歳を超える。老けない。
次は「寿命が伸びる」
私たちの寿命は伸び続けている。そして2030年には確実に私たちの平均寿命は100歳を余裕で超えるようになるだろう
2030年までに私たちの体は車や建物と同じように、古い部品から新しい部品へと交換して永遠に動かし続けるようになる
✅3Dプリンターによって義足の製造、臓器、耳、脊髄、股関節、人工の目を作成して古くなった部分を取り替えるようになる
実際にすでに3Dプリンターも手術室に進出してきている。
それだけじゃない。私たちは老けなくなっていく
スタンフォード大学の研究グループは「若い血を流し込めば若返るのではないか?」という発想でマウスの血を入れ替える実験をした
その結果なんと若い血を流し込まれたマウスの体が若返った
逆に老いた血を流し込まれた若いマウスはどんどん老化していったそうだ
さらに研究を進めた結果、血液に含まれる「GDF11」というタンパク質が若返りに効果的だということを突き止めた
早速このGDF11をマウスに注射したところ、予想通り体は若返った
まだマウスでの実験が成功しただけで、人間に応用できる段階までは来ていない。だがこれも2030年までには実装されるはずだ
「永遠の命が手に入るかはわからないが、生き延びる時間を大幅に伸ばすことはすでに『できるかどうか』から『いつできるか』の問題に移った」とこの本には書かれている
たくさんの新しい仕事が生まれる
次は「仕事」の未来
当たり前だが2030年には、至る所にロボットやAIが入り込んでいくことでほとんどのことが自動化されていく
オックスフォード大学の研究では「世界全体の約85%まで仕事が失われる可能性がある」と指摘している
まず真っ先に消える仕事として「トラックの運転手・タクシードライバー・倉庫の管理・スーパーの従業員」などが挙げられている
実際にAmazonが2018年1月にシアトルに「AmazonGO」という無人のコンビニを開いている
このお店では商品を手に取って出れば勝手に決済されるレジで長蛇の列に並ぶ必要がないし、態度の悪いレジ打ちと話す必要もない
そしてAmazonは「この店舗を2021年までに3000店舗に増やす予定だ」と言っている
日本でもこれから無人のコンビニがちらほら見られるようになってくるだろう
しかし「仕事が減って日本は無職で溢れる」とはならない
「インターネットによって消えた雇用を1とすると、新たに生み出された雇用は2.6である」ことが分かっている
つまり、
✅テクノロジーの進歩によって減る仕事よりも、増える仕事の方が2.6倍も多い
ということ
近年になって動画編集者やYouTuber、プロゲーマーのような仕事が出てきた。あんな感じで新しい仕事が増えていく
もちろんレジ打ちやタクシーの運転手などの仕事は真っ先になくなるだろう。その代わりに違う分野で新しい仕事がたくさん増える
これから大事なのは「時代の流れを見ながら新しい仕事に飛び移っていくこと」
培養肉を食べるようになる
次は「食料」の未来
2030年は自分で料理をすることはもちろんない。お腹が空いていると料理ロボットが私たちの好みに合わせた料理を作ってくれる。お袋の味はロボットの料理になっているだろう。
食材がない場合は食材を注文すると数分でドローンが届けてくれる
そんなことよりも食料が問題
✅食料は無駄が多すぎる。現在食料の40%が食べ残しや手つかずの状態で廃棄されている
特に一番の無駄が牛肉。牛肉を1キロ作るのに15000リットルの水が必要。そして今牛は15億頭いて、この牛に世界の水の70%が使われている
そして世界の温室効果ガスの14.5%が食肉工場から発生している
つまり「肉を作るのは環境にすごく悪い」
こんな無駄と環境破壊をなくすために、2030年には培養肉が食べられるようになる
培養肉:生きた動物から幹細胞というものを取り出して作る。幹細胞とは分裂して自分と同じ細胞を作る、いわゆる自己複製能力のある細胞。これを培養液に浸すことで培養肉が出来上がる。
こうすると牛を殺さずに牛の肉を食べることができる
これにより人口が増えても牛を増やさずに多くの人にステーキを提供することができる
おそらく2030年までには食肉処理場はなくなっているだろう
環境問題により7億人が移住する
これはだいぶ先の2050年の話になるが、多くの人が移民となる
✅環境問題によって水没と干ばつに苦しめられる国が出てくるから
クライメート・セントラルという研究所は「2050年までに地球の気温が4度上昇する」と言っている
そうなると現在約7億人が住んでいる地域が水没する
特に「ロンドン・香港・リオ・ムンバイ・上海」などの巨大都市は水没して逆にヨーロッパ・イタリア・スペイン・ギリシャなどの国は温度上昇により
乾燥と干ばつに苦しめられる
とにかく今までないがしろにしてきた環境問題が一気に起こり始める
そして7億人の人口の大移動が起こる。日本にも大勢の移民がやってくるだろう
それだけじゃない。
✅2050年にはほぼ全ての人が都市に住むようになり、田舎が消滅する
実際に世界では都市に住む人の数が年々増えてきている
1900年までにアメリカでは国民の40%が都市に住んでいたが、2000年には80%になっている。他の国も同じようなもの。日本だと東京や大阪、名古屋、京都、札幌、福岡など
ほとんどの人が都市に住めば移動距離の減少に交通手段の共有病院や学校などのインフラを効率的にすることができるようになる
移民もたくさんやってきて都市に一極集中することで、イノベーションが生まれるだろう
まとめ
この本の中で仕事に関して一つ確実に言えるのは「2030年には今やっている仕事が消える可能性が高い。その代わりに新しい仕事がたくさん生まれるYouTuberや仮想通貨、投資家、インスタグラマーなどの仕事が生まれたように新しい仕事が生まれるだろう。だから転職を視野に入れておくこと」
こんな未来では独身でも生きていくの余裕になって、日本の独身率はすごいことになっていそう
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