フィンランド日誌 #4

注意
*留学報告書の下書き+備忘録+気持ちの整理も兼ねてるので今回は特に文章が酷いです。
*アウシュビッツ収容所の経験談を書いています。それに伴い、ナチスドイツに関する記述も少しあります。

11月に入り、スケジュールに余裕ができたので、アウシュビッツ収容所を見学しにポーランドへ渡航することを決めた。アウシュビッツ収容所の他にもワルシャワやクラクフには多くの観光名所があるが、スケジュールや予算を考慮して3泊4日の弾丸旅行とした。
渡航直前にポーランドとウクライナの国境付近でミサイルによる死亡事故が発生したものの、大きなトラブルもなく渡航することができた。

旅行1日目
フィンランドを出国するまでに余裕があったので、ヨエンスーから直接空港には向かわず、ヘルシンキに立ち寄り、ヘルシンキにある現代美術館(Kiasma)を見学した。
現代美術とあって、絵画に限らず、動画や彫刻など様々な形態の作品が展示されている。個人的に印象に残っているのは、国内で過去に構想されていたものの、とん挫した鉄道の開発計画に関する動画であった。フィンランド北部をつなぐ鉄道の敷設が計画されていたそうなのだが、地域住民の反対もあり、計画は中止されたらしい。政治的な要素を含む作品を展示していること自体が興味深いが、それ以上に動画内での言語表現が非常に印象に残った。動画内では、計画の目的や表面的なメリットと蔑ろにされうる要素や影響が単語として交互に出てくるのだが、頭韻や脚韻、文字の被りなどが活用されていた(exploitation / exploration というように)。政治的な複雑性のみならず、メリットとデメリットの二面性を孕むインフラの開発という事柄を言語的な工夫で表現し、見る人にシンプルに印象を与える点で非常に印象に残った。また、フィンランドの自然を捉えた画像に線路を模した赤色のラインが引かれていき、動画の終盤には引かれた線が消えていくというプロットも簡潔かつインパクトがあり、印象深かった。

以前訪れたヘルシンキ市立美術館とともに感じたのは、フィンランド人のアイデンティティは自然によって、その根幹が形成されているのではないだろうかということ。現代美術館の展示テーマがNavigating Northということもあるのだろうが、様々な作品から自然への回帰や敬意、自負といったものが感じられた。
そんなことを思っているときにふと、自然への受容、忍耐という点では日本人と似る部分があるのではないかと思った。特に、東北や北陸などの降雪地帯に住む人々のアイデンティティに似るかもしれない(あんま知らんけど)。フィンランドの人々は日本人のように、シャイでパーソナルスペースを広く持つというのをオリエンテーションの授業の中で聞いた(バス停で待つ際にも距離を置くとか)。実際に生活する中でもそうなのかもと思うことがある。

美術館を満喫した後は空港へ。預ける荷物もなく、空港の端末でスマホをかざすだけなのでチェックインはスムーズ。ポーランドはシェンゲン協定内なので、出国も非常にスムーズだった。1時間半ほどで到着。イメージはまんま国内線。

旅行2日目
ワルシャワで一泊した後にクラクフへ。行きはハリーポッターで出てきたような格安の乗り合わせ列車に乗車。3時間ほど揺られながらクラクフへ。平原や林、農地が地平線に広がっているのも含めヨーロッパっぽかった。正直、景色が様変わりしないので、退屈だったが、クラクフに近づいた際に見えた高低差のある農地や平原は凄く綺麗だった。それにしてもチケットが安い。日本円にして約2000円。ポーランドは自国通貨を使っている(行ってから知った馬鹿)のだが、物価が安い気がした。Cash Onlyのところもあるけど、自分は現金は一回も使わなかった。必要じゃないけど、あったら安心かもしれない。

個人的な感想なのだが、クラクフの方がワルシャワよりも都会っぽく感じた。駅に隣接しているクソでかショッピングモールめっちゃ混んでたし、駅のホームも日本の都会にありそうな感じ。ほぼ全く観光できてないけど、ワルシャワはニューヨークのダウンタウン感が強い気がした(ニューヨークにも行ったたことないけど)。
ショッピングモールで買い物を済ませ、明日乗るバスの停留所を確認した後にホテルへ向かった。オニギリがカリフールに売ってたので買ってしまった。てか、カリフール懐かしすぎた。
クラクフの街は素晴らしかった。多くの国や街に行ったことがあるわけではないが、人生で訪れた中で最も美しいと感じた街であった。是非訪れてほしい。これはオススメできる。

宿泊したホテルが凄く良かった。フロントの対応が丁寧で、朝食も美味しかった。雰囲気も滅茶苦茶良い。リーズナブルな値段なので、アメニティ等が完璧というわけではないし、部屋も滅茶苦茶広い!というわけではないが、必要最低限+あったら嬉しいものが揃っていたので大満足。アメニティに関してはフロントで買えそうだったし。ミネラルウォーターを用意してくれるのが良かった。水道水は普通に飲めるんだけど、ポーランドは硬水なので、あったら嬉しいよね。コスパを考慮すれば神です。Wi-Fiはサクサクじゃなかったけど。朝食付き2泊で約14000円。満足したので、リンク張っておく。
https://www.booking.com/Share-E8x6ml

旅行3日目
いざ、アウシュビッツ収容所へ。クラクフからアウシュビッツ収容所があるオシフィエンチムまではバスで1時間半ほどかかる。自分は事前にガイド無しの個人で予約。チケットには14:00と表記されており、普通に考えれば入場時間なのだが、14:00までに入場しないといけない可能性に怖くなって早めに行った。10時前にアウシュビッツ収容所に到着。案の定、入場できず。日本語のブログなどには冬の期間であれば早い時間に行けば個人入場できると書いてあったが、もっと早い時間の話っぽい。入場できないという最悪の可能性は回避できたので、まあ良しとした。売店で予め日本語のガイドブックと書籍を購入。これがあるから個人で予約した。そして、待ち時間にポーランド料理を堪能。酸味のあるポーランドスープはすっぱいもの好きの自分好みの味。ポーランドの餃子、ピエロギも美味しかった。作ってみたい。
30分前から入場できると聞いたので、30分前に行ったのだが、ツアー客やガイド付きの団体、自分を含めた個人入場含めて結構混雑していた。列に並びながらセキュリティチェックと本人確認を行った後に入場。
覚悟していったつもりだが、予想を遥かに超えていた。
アウシュビッツⅠの後はビルケナウへ。アウシュビッツⅠとアウシュビッツⅡ(ビルケナウ)は距離が離れており、無料のシャトルバスが運行している。行って知ったのだが、ビルケナウは入場自由。先に行けばよかった。

見学を終えクラクフへ帰還。偶然、ホテル近くにあったラーメン屋で生ビール、梅酒、日本酒を堪能。思わぬ癒し。久々の納豆も美味しかった…

アウシュビッツ収容所の感想
トラウマになりかけました(こういうの二次受傷というらしい)。後悔は全くしていないけど、人に簡単に勧められない。感じたことを嚙み砕いている最中。戦争体験を継承していくことの意義について考えさせられる。
半端な覚悟で行くとトラウマになると思います。行くのであれば、覚悟を決めるか、複数人で行くか。個人の場合でも連絡できる人がいればいいと思う。てか必要だと思う。自分は精神的にキツくなって助けを求めるために初めて家族に連絡しました。インターネットがなかったら冗談抜きでやばかったかもしれない。すごく孤独感を感じた。人間不信になる。
手を取り合って向き合うことが大事なのかもしれない。
戦争体験の継承や二次受傷という言葉に興味を持ち、色々調べていると、『なぜ戦争体験を継承するのか』という本の紹介ページを見つけた。本の最後はこの文章で閉じられているらしい。
「私たちは、大きな地平をもった新たな経験の入り口に立っている」
この文章がすごくしっくりきた。自分の経験に意義がもたらされ、不安定な感情が少し落ち着いたように感じた。帰国したら読んでみようと思う。
https://www.mizukishorin.com/14-7naze-keishou

個人的な意見だけど、アウシュビッツ収容所の見学がこれほどまでに衝撃的だったのは、そのまんま感があったからだと思う。マジでそのまんま残ってる。リアルすぎた。
後は、相互的な可視性。歴史的な施設、特に戦争体験を継承している施設は被害者寄りになりがちな気がする。日本がいい例なのかも。アウシュビッツ収容所に関しても被害者にフォーカスが向かうが、同時に虐殺を実行した主体も浮かび上がる。施設内にある説明文にもSS(親衛隊)やヒムラー、人体実験を行った医師の固有名詞が使用されていてより鮮明に浮かび上がる。

一番キツイと感じたのは、犠牲者の証明写真。身元の把握のために撮られた写真が1人ずつ額縁に入れられて展示されているのだが、写真に収められた全ての人は亡くなっている(殆どが虐殺)という事実が重い。職業や誕生日なども記載されている。証明写真なので真っすぐこちらを向いている。狂気性が滲み出ていた。額縁が一面に飾られた廊下に立った際の光景がフラッシュバックする。彼らの目線が脳裏に焼き付いている。

旅行4日目(最終日)
午後の便のために、朝8時の列車でクラクフからワルシャワへ。行きとは異なり、新幹線のような列車を利用。Wi-Fi、コンセントが利用でき、めちゃくちゃ快適だった。レストランカーもあるような旅客列車。2時間半でワルシャワに到着。価格は普通席で約5000円。快適性も考慮すると、破格な気がする。電車や飛行機の遅延はあったものの、その日のうちにヨエンスーに帰ってこれた。

写真はTwitter・Instagramにアップしてます。Noteにアップするのめんどい

https://twitter.com/Na0ki_0818
https://www.instagram.com/na0kiarabia

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