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経営におけるNLP実践講座 【1on1 編】

皆さんはNLPという言葉をご存知でしょうか?

NLP = Neuro Linguistic Programingの略で、心理療法の分野から発展したコミュニケーション手法です。

最近自分は経営者としてコミュニケーション能力をもっと身につけるためにNLPを学び始めました。

「コミュニケーション能力」というと、「人とうまく喋れる方法」くらいの認識に捉えられがちですが、自分の認識としてはもっと広く、会社のメンバーや自分が会社を通して自分のなりたい理想的な状態に達成できるように、どうコミュニケーションすればよいかだったり、クライアント企業とコミュニケーションする際にどうコミュニケーションすると両者がハッピーな状態になれるかを探求できるものだとおもっています。

NLPは他者との対話だけではなく、自己実現のために自分自身とどう対話し、セルフマネジメントしていくかを考える上でも役に立ちます。

まだまだ初学者な自分ですが、今回はそんな自分が実際のスタートアップでどのようにNLPの手法を取り入れているかをご紹介したいと思います。

NLPとは

NLPは3人の優秀な心理療法士の対話方法や療法を体系化して、一般のコミュニケーションでも活用できるように進化させたコミュニケーション手法です。

他者、もしくは自分自身との対話を通して心を開いてもらったり、意識にアクセスし、対話相手の意識を自由に変える(プログラミング)できるようになります。

始まりは1970年初頭にリチャード・バンドラーとジョン・グリンダーという二人の人物によって原型が開発されました。その後欧米を中心にセラピーの分野で急速に広まり、様々な功績者による進化を経て現在ではビジネスシーンやスポーツの世界でも広く活用されるようになりました。

今回はNLPの詳しい成り立ちについては記事の本筋から外れてしまうため、より詳細な情報に興味がある方は以下のリンクを御覧ください。

ここからは自分が1on1の場でNLPの1つの手法「メタモデル」を活用して、会社のメンバーとどのように対話しているかをご紹介します。

1on1でのスタンス

NLPの手法を1on1で活用する上で、持つべきスタンスが「メンバーの悩みの解は、メンバー自身の中にある」ということです。

1on1を実践しようとすると、「自分から解を与えてあげないと」と肩肘を張ってしまいがちだとおもいます。実際に自分も最初は「自分が過去経験したことや、知識を与えてあげないと」と構えていました。

しかし、こちらから与える経験や知識は、自分自身が実体験をしたからこそ腹落ちしているもので、口上だけではなかなか納得してもらうのが難しいものです。

NLPを学んでからは、基本スタンスとしてメンバーの悩みを解決するヒントや解は、彼ら自身が持っており、自分はその手助けをしてあげる、というスタンスで取り組むようにしています。

そしてその手助けをしてあげるのに、本日紹介するメタモデルはパワーを発揮します。

人の言葉には必ず欠損が生まれる

メタモデルは対話者が自身の思考フィルターの中で無意識に欠損させてしまった情報を回復させる手法です。

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人は何か情報を他社に伝達する際に、省略したり、歪曲したり、一般化して、無意識に情報の一部を自分の都合の良いように編集したり、欠損させてしまいます。

人から発生される字面の情報をNLPでは「表層構造」と呼びます。何も意識せずに対話をしているとこの表層構造の情報で議論をしてしまいますが、NLPではさらに突っ込んで、欠損した情報を回復させた「深層構造」へと話者の思考を誘います。

様々なメタモデル

上記にも挙げたようにメタモデルを活用する際に、意識するべき3つのキーワードが「省略・歪曲・一般化」です。

これらの観点から欠損してしまっているであろう情報を探して、その情報を回復させる質問を投げかけていきます。

■省略された情報を回復するメタモデル

言葉で表現されたものは多くのことが省略されています。「誰が」「誰と比べて」「誰に対して」など本当は特定の人のことなのに、不特定のような表現をされていたりします。

言葉の裏に隠された特定の誰か、何かをメタモデルを使って回復することができます。

例)「商談が下手なんです」→「誰と比べて商談が下手だと感じるの?」(比較削除)

■歪曲された情報を回復するメタモデル

歪曲では物事の因果関係が少しおかしい形で認知されていたり、物事の原因が言及されずに結果のみに触れられてしまっているような事象を指します。

歪曲された情報を回復することで正しい因果関係を探り、主観的な解釈を客観的なものに修正することができます。

例)「〇〇な状況になると苦しくなる」→「どのようにして、〇〇な状況があなたを苦しめますか?」(因果関係)

■一般化された情報を回復するメタモデル

本当はそれぞれ違う事象なのに全てを一般化してしまい、情報を欠損させてしまうことがあります。

一般化されてしまった一つ一つの事象を具体的に探っていくと、深層構造に隠れていた違う課題が見えてくることがあります。

例)「仕事中はいつも気持ちが落ち込んでしまいます」→「いつもというのは具体的にどんな時に落ち込んでしまいますか?直近思い出せる範囲で気持ちが落ち込んだと感じた瞬間を教えてください。」(全称限定詞)

とある1on1での一幕

実際に自分とメンバーで行った1on1の中での一幕を1例としてご紹介します。(個人や企業に関わる具体的な内容については一部省略したり、内容を変えています)

その1on1ではあるメンバーが「ほぼ全てのプロジェクトで、他メンバーとのミスコミュニケーションが多発している」という悩みを話してくれました。

このときに「ほぼ全てのプロジェクト」という情報の一般化が起こってしまっていたため、本人の思い出せる範囲で具体的に「ミスコミュニケーションを生んでいた」と感じた事象について聞いてみました。

すると、プロジェクトの中でも特に詳細にどのプロジェクトのどの部分でその事象が発生しているのか具体的な事象が複数挙がりました。

そしてそれらの事象について話していく内に、単に本人と他メンバー間でのコミュニケーションの課題である前に、本人がプロジェクトに関する情報をインプットし、理解するスキルをもっと高める必要があるというより根本の課題に本人の言葉を通して気づくことができました。

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最初の言葉だけをなぞってしまうとコミュニケーションの課題解決になってしまいそうですが、メタモデルの考え方を用いることで、一般化された情報を回復し、情報をキャッチアップするスキルをより伸ばすという、より根本の課題に一緒に気づくことができたと考えています。

今回はあくまでメタモデルという手法を1on1に活かす考え方についてご紹介したかったので、例の紹介は網羅しませんが、上記で紹介したものの他にもたくさんのメタモデル活用ケースがあるので、ご興味ある方はご自身で調べてみてください。

「なぜ?」という問いかけは最初は避ける

メタモデルにはたくさんの質問が存在しますが、「なぜ?」というワードは存在しません。

「なぜ?」というワードは時に攻撃力の高い問いかけになってしまい、問いかけられた人が責められたような感覚に陥ってしまうことがあります。

その結果、言い訳を考える方に走ってしまい、本質的な解決にならない可能性があります。

まずはメタモデルを使って欠損させた情報を回復させ、本質的な議論ができるような状態になった後に、「なぜ?」という質問をするようにしましょう。

メタモデルを活用した1on1の2つの効用

NLPのメタモデルを活用した1on1を実践しはじめて、様々な効用を感じることができましたが、中でも一番自分が感じた効用はメンバーの納得、腹落ち度が高い、ということだと感じています。

そしてもう一点はもやもやして言語化しづらい課題感にも踏み込んで話すことができることだと思っています。メタモデルで回復する情報は話している本人も欠損させていることに気づかないような情報です。

しかしその欠損させた情報が原因で、もやもやしてしまい、言葉では言い表せないわだかまりができてしまうと考えています。

メタモデルを使うことで、1on1を始める前は本人も言語化できなかった悩みやわだかまりに一緒に到達でき、そういったもやもややわだかまりを一緒に取り除くことができると考えています。

最後に

今回はMESONで行っている1on1をテーマにご紹介させていただきました。1on1はMESONを構成する大事なカルチャーの1つですが、MESONにはその他にも様々なカルチャーがあります。

MESONではCulture Deckを作成し、MESONで実践されているカルチャーをご紹介していますので、今回の1on1の話に興味を持っていただけた方はぜひMESONのCulture Deckも御覧ください!

またMESONでは一緒に働いてくれる全職種の方を積極採用中です!Wantedlyに採用している職種の紹介を掲載していますので、ご興味ある方はぜひそちらも御覧ください!

最後までこの記事を読んでくださり、ありがとうございました!

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