飯豊連山と星空に癒された樽口峠
2020年は感染症の影響で撮影遠征や星見遠征の計画は総崩れになってしまった。幸い北アルプスへは3回ほど撮影山行に行けましたが、星見は3月の天城高原以来まったく行けていなかった。
季節は巡ってもう秋。
今年はほとんど星見遠征は行けていないのだから…と10月の新月期は贅沢に東北遠征へ。
東北の自然と樽口峠
東北の自然はフォトジェニックでとても美しい。
日本アルプスはどちらかというと日本的ではなくヨーロピアンな山岳風景。それに比べて東北の山々は『これぞ日本の山』といった緑が瑞々しく牧歌的で雄大な山容。そして何と言っても一級品の星空が素晴らしい。
今回遠征した山形県小国町の “樽口峠” はその東北の山岳風景と一級品の星空を贅沢に味わえる展望台だ。私は過去、2回ほどこの美しい峠に遠征したことがあった。2回とも飯豊連峰の残雪の美しさが際立つ春。星空で言うとちょうど『さそり座』や『いて座の天の川』が昇ってきている季節だ。
それはそれはなんとも美しい情景だった…。
若干西側、つまり新潟市がある方角だけほんのり光害があるのですが、ここは本当に真っ暗な峠。東京の光害を受けてしまう関東ではなかなか見ることができない透明度の高い美しい天の川。
そして薄明を迎えると真っ白な稜線が輝く飯豊連峰が一日の始まりを告げてくれる。
秋の夜空と飯豊連峰の朝焼け
今回の遠征はその情景が忘れられなくて秋にも訪れたいということで決めました。山はすっかり紅葉し、春とはまた違う美しい山岳風景が迎えてくれました。
もう10月ともなると『はくちょう座』あたりの夏の対象は西へ傾いている。秋はアンドロメダやカシオペア、ケフェウスなど北天や天頂が撮りごろを迎えますが、今回は早々に東から昇り始めた冬の対象を狙いました。
撮影中にいくつかミスがあったりでしっかり撮影できたのはM45(プレアデス星団)とオリオンのバーナードループ。樽口峠は天体撮影には最高の立地ですが新月期にもかかわらず同業者の方々は私以外にわずか2,3人ほど。
途中、曇られることもなく一晩中きれいな星空を見ることが出来ました。
そして薄明を迎えると、ここまで遠征してきた者へのご褒美である飯豊連峰の美しい朝焼け。天体撮影地・観測地は各地に有名無名に限らず多くありますが、これほどローケーションが素晴らしいところもそう多くはありません。
紅葉した美しい稜線が赤く染まる瞬間。
この極めて贅沢な風景、時間にしてほんの数分…。
飯豊本山から朳差岳までのたおやかで雄大な山並みが薄紅色に染まる。
この美しい稜線。私にとって歩きたいと思いつつ、いまだに歩けていない稜線でもある。その強い憧れがあるからこそ余計にこの美しい稜線に魅了されるのかもしれない。
そう、私にとってアンタッチャブルな『聖域』なのかもしれない…。
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