ラブコメ界に革命〜ぼく勉150話を読んで〜

※この記事は『ぼくたちは勉強ができない』の
150話までの内容のネタバレを含みます。





3月9日発売の週刊少年ジャンプにて、
人気ラブコメ漫画『ぼくたちは勉強ができない』(以下、ぼく勉)
がひとつのエンディングを迎え、

来週から残りの4つの物語が描かれることが明らかになりました。


本誌では本作のヒロインのひとり、
武元うるかと主人公・唯我成幸が結ばれ、
物語を終えました。

残りの4人のヒロイン、
古橋文乃、緒方理珠、桐須真冬、小美浪あすみ
と結ばれるストーリーが今後、描かれるわけです。


これはいわゆるマルチエンド方式と呼ばれるもので、
恋愛ゲームでは普通にあるものですが、

漫画に適用されることはほとんどなく、
ましてや『ぼく勉』のように少年ジャンプという
超有名雑誌で、映像化もされたような人気作に

マルチエンド方式を採用するのは
史上初なのではないでしょうか。


単行本などの描き下ろしという形で
他のヒロインと結ばれる世界線はあっても、
あくまで最初に結ばれたヒロインとの物語が
正史として扱われることが多いですが、

『ぼく勉』の作者、筒井先生曰く、

「どの物語が本当の結末か」は、読者の皆様次第です。

とコメントを寄せています。


つまりは

ここまでの話はひとつの結末でしかなく、
残りの結末を描きますので、
どれを正史とするかはあなた次第です。

ということでしょう。

この前代未聞の事態にTwitterでは
賛否を含め、いろんな議論が飛び交いました。

ファンからは比較的賛の声が多かったように思えます。

自分も賛成派です。


という前提から、いくつかの視点、不安点や不満点も含め、
自分が思ったことを書いていこうと思います。


本題

①残りの4ルートをどこから描く?


ジャンプにて、どこから個別のルートに入ったか
ということが書かれていました。

分岐点は
コミックス8巻の文化祭編の最後の
花火のジンクス
からだそうです。

コミックスは3月9日現在15巻まで発売され、
うるか編は17巻までできっちり収まりそうです。

つまりはうるかルートに入ってから、
コミックス9巻分の物語が紡がれてきたのです。

これから4人分の物語が描かれていくにあたって、
流石に文化祭編以降から描かれるということは
ないと思います。

コミックスあと、36巻増える計算になりますし、

それに重要な話は他のルートであっても
共通だと思われます。

重要な話というのは
個別の長編と試験本番の話です。

文化祭から卒業式までのストーリーをダイジェストに
少しエピソードを追加、
そして最後の卒業旅行の話からじっくり描かれるというのが
妥当なところでしょうか。

実際、うるかと結ばれる長編、泡沫の人魚姫編は
全9話でした。

つまりはコミックス1巻分。

残りのストーリーは
これらをヒロイン分描いて、
コミックス4巻分のボリュームという感じでしょうか。

今年いっぱいは『ぼく勉』を楽しめそうです。

描かれる順番も確定していて、


理珠

文乃

あしゅみー

桐須先生

の順だそうです。

最後に圧倒的人気の桐須先生を持ってくる辺り、
桐須先生推しの自分としては大分、焦らされます。
楽しみで仕方がないです。


②実際のところ、そんなに恋愛してなかった


作品の主軸として受験がテーマであり、
作中でも「受験が終わったら・・」とか
「卒業したら・・」など、


本格的な恋愛戦争は受験が終わってから
という暗示のようなものが
前々から仄めかされていたので、

受験終わったら本格的に主人公の取り合いが始まる!
と思っていたらあっという間に
うるかルートにまっしぐらになっており、
自分は少し残念に感じてたのですが、

元からマルチエンドでいこうとしていたと考えると、
うるかルートで他のヒロインが恋愛に干渉してこなかった
というのも納得がいきます。


『ぼく勉』はこれまでキュンキュンする話は
数多くありましたが、
あまり”恋愛”をしてる感じはほとんどなかったと
自分は感じてました。

最後のうるか長編は恋愛してたなと思いますが、
それ以外は恋愛してる感はあまりなかったように思います。

しかしマルチエンド方式を取ったことで、
これからそれぞれのヒロインとの
ラブストーリーが描かれるのは楽しみです。


③正直、最後ら辺は駆け足だった


見出しの通りですが、最後のうるか長編は
少し雑だったな感はありました。

雑というか駆け足感と言った方が正確でしょうか。

うるかとの話の中で散っていた恋物語が
あまりにもふわっとしか描かれてなかったから。

例えば、文乃や理珠は告白せずに終わり、
桐須先生は何も言わず身を引いたりと、

成就せずとも綺麗な終わり方を期待してたのですが、
あっさりと終わったので、モヤモヤ感はありました。

特にあしゅみー先輩との関係は、
あしゅみー先輩の親父さんを言いくるめるための
ニセコイ関係であり、
嫌な言い方をするとずっと騙していたということに
なるので、少なくとも成幸は謝罪をしにいくべきでは?
と思ってましたが、そこは描かれませんでした。

それに関城さんや猪鹿蝶など、他のヒロインのことを
気にかけていた人達の様子も描かれてなかった。

そういう不満というかモヤモヤは
多少回収して欲しかったな感はあるのですが、

今後の別の世界線の話でまた失恋した際に
多少描かれる可能性があるので、少し期待。


④個別長編の仕様における違和感


『ぼく勉』ではヒロイン個別の長編の話があります。

最愛の星編(文乃編)
氷の華編(桐須先生編)
砂上の妖精編(あしゅみー編)
機械仕掛けの蛍編(理珠編)
泡沫の人魚姫編(うるか編)

順番的に最後に描かれたうるか編は
そのまま物語の結末へと繋がりました。

この個別の長編に少し違和感を感じてます。

見出しにもありますが、
個別長編の仕様というかコンセプト的な点です。

うるか編以外の4つにはある共通点があり、
それは個別長編における重要なところだと感じてます。

それは以下の2つです。


①個別長編の主人公はヒロイン

②長編のコンセプトはヒロインの成長

だなと自分は感じてます。


例えば①、
『ぼく勉』の主人公は言うまでもなく
唯我成幸ですが、
長編においては別で
読んでる人なら分かって頂けると思うのですが、


ヒロイン視点の物語が描かれ、
あくまでも成幸はサポート的な立ち位置

のように描かれてると思います。


ですがうるか長編は完全に
成幸メイン


そして②

個別長編はヒロインの成長、
ヒロインが自分と向き合うストーリー
を描いていたということ。


最愛の星編(文乃長編では

自分の親と向き合うストーリー


氷の華編(桐須先生編)では

自分の過去と向き合うストーリー


砂上の妖精編(あしゅみー編)では

自分の夢と向き合うストーリー



機械仕掛けの蛍編(理珠編)では

自分自身と向き合うストーリー


が描かれていたように思います。


ですが、うるか長編では

成幸が武元うるかは自分にとってどんな存在か問う
というストーリーが描かれます。


これらに対するモヤモヤが少し
自分の中ではあるのですが、

今後の個別ルートで少しでも
うるかの成長が描かれるストーリーが追加されるといいなと
願います。


⑤今後の個別ルートのクオリティ


上記にも書いた通り、ここまで
うるか長編に対して自分が感じてる
違和感を少し書いてきましたが、


ヒロインと結ばれるストーリーとしては
とても素敵でいい話だったなと思ってます。


となると、これから先の物語に少し不安があります。

それは

このクオリティ並のストーリー
あと4つも描けるの?

という点で少し心配に感じてしまいます。

これまで『ぼく勉』を読んできて
面白くないと感じたことはないですし、

これまでのヒロインの個別長編の話を読んでも、
筒井先生のストーリーは本当に素晴らしいので、

そこまで心配にならずに信頼していますし、

期待もしています。


終わりに


ここまで読んで頂いた方がいらっしゃるか
分かりませんが、

お礼を伝えさせて頂きます。

ありがとうございます。


少し批判的なことを描きすぎたかなと
不安はありますが、

自分は『ぼく勉』が大好きで、
今後も変わらず応援しているので、

これから筒井先生が紡ぎ出す
『ぼく勉』を楽しみにしたいと思います。



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