出会い14~執念

お館様の言葉は続く。影丸の母親は言い交わした仲であったと、そして、私(影丸は)の子であると

明日にも挙式と言う頃に、連れ去られたのである。当時お館様の怒りはすさまじかった。必死に探したが見つからなかった。

当たると有名な隣村の占い師をコッソリ尋ねた。

その女ならこの村にいるが、神の子供を宿しているから、今は返せない。いつなら、必死に食い下がる。ぎりぎり歯噛みしながら言う

お前が本当に親ならいずれ会えるじゃろ。戦の時に目立つ甲冑を身に付ければ、神々の目に止まり必ずや出会えると、それだけ言われた。

だが、派手な甲冑は確かに目立ち、多くの敵に狙われた。腕を磨き、甲冑には誰だろうと触れさせなかった。

ある日、馬上の人になった瞬間を狙いすまし、矢が飛んできた。

キーン、凄まじい早さの矢だった。

だが作りが弱い木矢だったため、繋ぎ目にあたり兜は飛ばされたが無傷ですんだ。矢を射た敵は遥か遠い木ノ上にいた。

側近達はいきり立ち、引きずり下ろした。

まだ若者、少年と言っても言い年頃、刃を向けられても泣きもせず、ただ見つめ返し家族の心配だけをした。

占い婆はとうに亡くなっていたが、母や未だに認めない遠縁の者達は、何て言うだろう。裏切りは一族皆殺しされても、文句は言えない。

公にされていないが、この時既に、我が子であると確信していた。立場上、生涯正式な息子と認めることはない。

そばにおきたかった。ただそれだけの為に、お館様として過ごしてきた。

その者に向かい、命乞いするかと半ば願いのように言う。

観念して頭を垂れた少年の髪だけ切った。

そして、衣服と髪だけを村に送らせやっと、息子を手に入れた。

ここまで


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